【ユーザー事例】業務効率向上と将来の活用を見据え、共同で日々仕訳方式を選択

公会計システム > 福島県白河地方広域市町村圏整備組合

総務課課長補佐兼企画財政係長 藤田真一 氏

住所
福島県白河市立石山15番地1
電話
0248-22-1145
面積
1,233.08平方キロメートル
人口
143,338人(平成28年4月末日現在)
URL
https://www.shirakawa.jp
白河地方は、古来より奥州への玄関口として栄え、5世紀頃「白河の関」が設置されたと伝えられる。昭和44年、福島県下で最初に広域市町村圏の指定を受け、同年10月に白河地方広域市町村圏協議会(1市1町6村)」が設立。同45年9月に白河地方広域市町村圏整備組合が発足、現在に至る(1市4町4村)。

──共同利用によるシステム調達に至った背景をお聞かせください。

藤田 当組合では、経費節減を図るために平成15年からシステムの共同運用を開始しました。平成27年度に財務会計システムの更新時期を迎えていましたが、「統一的な基準による地方公会計の整備促進」も公表されたことから、システムの構築についてあらためて見直しました。それも、水道用水供給事業での公営企業会計の経験から、一般会計(単式簿記)を複式簿記へ移行する難しさを経験していたからです。

 調達にあたっては、財務会計システムの「日々仕訳方式」を選択し、さらなる業務の効率化とコスト削減を実現することを目的としました。複数のベンダーから統一会計基準への対応について提案を求め、システムデモも実施しました。その結果、「TASKクラウド公会計システム」を選択することに決定しました。

──調達で重視したポイントをお聞かせください。

藤田 決め手は「日々仕訳」です。

 期末一括仕訳を選択した場合、決算統計の時期と重複してしまうんですね。この作業だけで財政担当職員が残業して、ぎりぎり期限に間に合わせている状況です。そのような中で並行して期末一括仕訳を行うのは負担が大きいと考えました。

 また、固定資産・備品などの公有財産は、これまで紙や表計算ソフトで管理してきましたが、資産の取得・異動・除売却や減価償却等の固定資産管理を求められています。これらを踏まえ、翌年度予算への活用や、伝票入力時点で仕訳を完了するなど業務の効率化を実現するにあたり、TKCのシステムは非常に優れていると判断しました。

 さらに、当組合の場合、複数の市町村が共同利用するため、クラウド方式で、原則ノンカスタマイズのパッケージシステムを採用し、業務の最適化を図り、長期にわたるITコストの抑制と安定的なシステム運営を図っていくという点も重視し、調達仕様書や機能要件書に盛り込みました。

会計に強いTKCだからこそ今後の手厚いサポートにも期待

──TKCシステムを選定したポイントをお聞かせください。

藤田真一 課長補佐

藤田真一 課長補佐

藤田 まず、予算編成の段階で予算科目単位に勘定科目を細かく定義付けしておけば、伝票入力時に予算科目を選択するだけで複式簿記による仕訳が自動で作成できる点です。これで日々仕訳が9割9分終わったようなものですから、これができると非常に助かります。また、TKCのシステムの優れている点は、性質別に分類できるところです。ここまで仕上がれば決算統計もほぼできあがったも同然で、あとはチェックするだけで済む──これが1点目です。

 2点目は、公会計の伝票を入力すれば固定資産台帳が自動的に整備される「TASKクラウド固定資産管理システム」でした。通常のシステムだと、伝票は伝票、固定資産は固定資産と別々に入力する必要がありました。TKCのシステムではこのようなところもうまく連携していて、職員の業務効率化を向上させることができると考えました。

 今、市町村で頭を悩ませているのはマイナンバー対応など、どんどんシステム化されていく中でいかに効率よくシステムを利用でき、経費を節約できるかというところです。システム経費は膨大に膨れあがり、さらにそのシステムを職員が覚えなければなりません。期末一括仕訳を選択した場合には、新たに配属された職員の育成も課題になりますが、日々仕訳で体制を作り上げれば業務の持続性が可能となります。

──今後の計画をお聞かせください。

藤田 システムの共同利用にとどまらず、統一会計基準の円滑な導入のための勉強会や研修などの準備を進めているところです。9月にはTKCのご提案により大原学園を講師に招き複式簿記の基礎を学ぶことを目的とした共同の研修会を開催しました。これまで単式簿記に慣れ親しんだ職員ばかりですので、複式簿記がわからずに予算科目の細分化ができるのかと心配していたところでした。このようなサポートは非常にありがたいですね。9月1日に開催した研修会には共同運用市町村から合計124名が参加しました。

 また、平成29年度に向けては、予算編成や予算執行の研修も予定しています。新システムの操作の説明はもちろん、前述の公会計や複式簿記に関する内容も説明時に加えることで、公会計制度自体への理解がより深まるのではないでしょうか。

 加えて、システムを共同運用するため、各市町村の担当者でワーキンググループを編成し協議を行っています。今後、同じパッケージシステムを利用するわけですが、その運用方法は市町村ごとに異なります。協議を通じて他の市町村の運用方法を情報共有することで、現行の運用方法の見直しの機会となり、さらなる改善につながればと期待しています。

──今後、TKCに期待することは?

藤田 これからの公会計を複式簿記で対応するにあたって、実際の運用面でいろいろな課題が出てくると思います。TKCは当然、会計の専門家集団でもあると認識していますので、今後もサポートしてもらえればさまざまな課題もクリアできると期待しています。

 また、今回は財務会計、公有財産管理、人事給与、文書管理システムの調達でした。いま、国は自治体クラウドを積極的に進めようとしています。さらに、マイナンバー制度のスタート以降、特定個人情報の情報セキュリティーの一層の強化も求めています。

 TKCは、早くからLGWAN-ASPに取り組み、クラウド型のシステムの導入においても多くの実績があります。今後、当組合もクラウド化の進展に注目しているところですので、最新情報の提供と提案も期待しています。

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