【ユーザー事例】 持続可能な行政経営の実現へ、システムを強化
庁内情報系ソリューション「公会計システム」 > 栃木県那須塩原市
那須塩原市 企画部企画情報課 課長 佐藤 章氏 / 企画部企画情報課情報管理係 係長 相楽尚志氏
- 住所
- 栃木県那須塩原市共墾社108-2
- 電話
- 0287-62-7529
- 面積
- 592.82平方キロメートル
- 人口
- 117,066人(平成26年9月1日現在)
- URL
- http://www.city.nasushiobara.lg.jp/
佐藤 章課長
──財務会計システムを切り替えられました。その背景について教えてください。
相楽 現行システムは、平成17年に旧黒磯市、旧西那須野町、旧塩原町が合併して那須塩原市となった際に旧黒磯市のシステムをもとに構築したもので、それ以来使い続けてきました。長年使い慣れていることもあり、特にシステムに不満があったわけではありませんが、平成27年2月末でサーバー機器のリースアップを迎えるのを機に、業務を見直し効率化を図るとともに運用にかかるコストを削減する──との観点から“より良いもの”へ切り替えようと考えました。
選定にあたって重視したのは、システムの機能に加えて運用後のサポートが充実しているかどうかでした。その結果、最終的に「TASKクラウド公会計システム」への移行を決めました。平成26年11月から本稼働の予定です。機能要件の段階ではクラウドであるかどうかは意識していませんでしたが、総合的な判断の結果、基幹系システムに次いでTKCのクラウドサービスを採用することになりました。
重視した運用後のサポート
──採用の理由は何だったのでしょうか。
相楽 第一の理由が業務の効率化とコスト削減です。特に、業務の効率化という点では、実施計画から予算編成、決算・財務書類の作成、行政評価という一連の業務を“一気通貫”で処理できる点を評価しました。基幹系システムもTKCのため、税務や給与システムとのデータ連携も可能で、この点でも効率化が図れるだろうと期待しています。
また、コスト面ではサーバー等の運用・保守が不要となり、クラウド利用料を負担しても、5年間で約1000万円の削減につながりました。
さらに、TKCシステムの規模感が那須塩原市に合っていたという点も挙げられると思います。例えば、実施計画システムをオプションで付けたいと考えると、他社システムでは本体よりも大きなシステムとなってしまうこともありましたからね(笑)。
佐藤 第二が、運用後のサポートです。
われわれにとっては、システムを導入することが目的ではありません。大切なのはシステムを有効に使いこなし業務の効率化を実現することです。その点では、システムの機能よりもサポートが充実していることが重要なんです。だからこそ、システムを運用した後でも密接にコミュニケーションをとってくれるベンダーを選びたいと考えていました。TKCの提案からは、そうしたわれわれの思いをきちんと理解してくれていることが感じられました。特に、財務会計では「複式簿記・発生主義」による統一的な会計基準による財務書類の作成への対応が目前に控えています。各社の提案でもこれへの対応策が盛り込まれていましたが、コンサル業務等は別というものが多かったですね。この点でも、システム対応に加えて、円滑に制度対応できるよう情報提供なども含めてトータルで支援するというTKCの提案は評価できました。
複式簿記導入の基盤は整った
──システム運用後、どのようなサポートを期待されているのでしょうか。
相楽尚志係長
佐藤 職員は短いサイクルで異動します。しかし、住民にとっては業務に慣れていない職員でも“プロ”であることに変わりはありません。情報化が進んだいま、業務を正しく処理する上ではシステムも理解して適切に使いこなさなければなりませんが、分からないことも多い。われわれはシステムのプロではありませんからね。実際に、ベンダーの担当者と話をしても、お互いに言いたいことがうまくかみ合っていないと感じることもあります。そうした事情も踏まえて、われわれの伝えたいことを理解しようとしてくれるTKCの社員には感謝しています。これはぜひ今後も継続してほしいですね。
相楽 継続的なコミュニケーションが基本だと思います。例えば、いい機能があってもそれを知らないままシステムを使っていることがあります。これまでにもあらためて説明を聞いて「こんな機能があったのか!」と“気づき”を与えられたことがありました。また、他団体の活用事例もわれわれにとっては大変勉強になります。ぜひ、顧客にとって便利な機能の紹介や、「他団体ではこんな機能を活用して、効果を挙げている」など、常に情報提供していただきたいですね。
──われわれとしてもサポートのあり方をあらためて考えさせられます。
相楽 まだシステムを使い始めていませんが、感覚的にはこれまで以上に業務の効率化が図られるだろうと感じています。そして業務の効率化によって、さらなるコスト削減も期待できるでしょう。プロポーザル方式による調達としたことで仕様作成は大変でしたが、それだけの甲斐はありました。
──新地方公会計基準への対応も控えていますね。
佐藤 財政部門の話では、総務省から示された公共施設等総合管理計画の策定と、固定資産台帳の整備とを並行して対応していく計画です。将来を見据えると両者は密接に関係すると考えられますからね。
また、「複式簿記・発生主義」会計の導入は財政部門に限らずすべての部門に影響するテーマですが、これを乗り切るための“道具立て”は整いました。そして今後、新たな公会計システムを使いこなすことで、那須塩原市の掲げる効率的・効果的で「持続可能な行政経営の実現」への道も開けていくものと考えています。
この5年間でICTは急速に変化し、市民のライフスタイルも大きく変わりました。自治体の業務もこうした社会環境の変化へ対応していく必要があります。その点では、TKCもわれわれとともに次代の自治体のあり方を考え、これを支えるシステムの研究・開発、その活用支援へ今後も積極的に取り組んでもらえるよう期待しています。
掲載:『新風』2014年10月号