弁護士法人KIBI 様

統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例

緻密な予実管理で成長続ける
“法のプロフェッショナル”

岡山市内に2カ所の拠点を構え、約120社の顧問先企業を抱える弁護士法人KIBI。代表を務める妹尾直人弁護士は地域密着を掲げ、地元企業の課題解決に注力してきた。TKCシステムで所属弁護士の分野別売上高を把握できる仕組みを構築。弁護士の意識を変え、業績改善をもたらしたという。

他士業との連携を通し幅広い経営課題に対応

──弁護士法人の概要を教えてください。

妹尾 2000年に弁護士登録した後、岡山市内の法律事務所に勤務しました。11年に個人事務所を開設し、17年に弁護士法人化して現在にいたります。本店に4名、支店に1名の弁護士が在籍しています。

──特色と強みは?

妹尾 企業法務を中心に手がけているところが特色といえるかもしれません。プレミアム、スタンダード、ライトの3種類の顧問契約体系を設けており、契約書等の無料作成件数や個別事件にかかる費用などがコースにより異なります。法人の顧問先数は岡山県内の中小企業を中心に120社ほど。税理士先生をはじめ他士業の方々との連携により、ワンストップでサービスを提供できるのが強みです。

──経営者からどんな相談を受けていますか。

妹尾 最近増えているのは、未払い残業代やハラスメント、問題社員への対応といった人事、労務関連の相談です。近年は労働者側の権利が重視される傾向にあり、労働問題に苦慮する経営者の方が少なくありません。

──顧問先の従業員向けに「くらしの法律相談」というサービスを提供されていると聞きました。

妹尾 ビジネスパーソンの心身をケアする制度を従業員支援プログラム(EAP)と呼びますが、EAPの一環として開始しました。おもに支店のひなぎく法律事務所で、夫婦間の問題、介護、相続などのプライベートにまつわる相談を受けています。

──中小企業を支援する団体に加盟されているそうですね。

妹尾 顧問税理士の清水先生と共に13年に、おかやま中小企業支援実務家協議会(OCS)を立ち上げました。設立目的は中小企業の成長、発展への寄与、地域経済の活性化です。中小企業支援に携わる士業など約50名の専門家が加盟し、会員間で連携して中小企業の課題解決にあたっています。

清水 OCSには金融機関の方も準会員として参画しており、会員は10士業を網羅している状況です。

──日ごろの活動内容は?

妹尾 一定の要件をクリアした専門家がタッグを組み、中小企業における事業承継、資金調達などを支援しているほか、中小企業支援コンペという催しやセミナーを定期的に開催しています。中小企業支援コンペは、架空の企業が抱える経営課題に対して、参加チームが解決案を提示し、審査員が評価するイベントです。支援策に関する知識を得られるとあって好評を博しており、今年8月の開催で12回目を迎えました。

──さまざまな業界でDXが課題になっていますが、業務のデジタル化に取り組まれていますか。

妹尾 コロナ禍で裁判手続きのペーパーレス化が進展したこともあり、事務所内の文書を順次データ化しているところです。ゆくゆくはソフト上で文書データを一元管理したいと考えています。

弁護士別、分野別に売り上げを細分化

──清水税理士と10年以上お付き合いをされているとか。

妹尾 独立開業を控えていたころ、他士業の方々とのつながりをつくるべく、異業種交流会によく参加していました。そこで清水先生と知り合い、開業2年目に税務顧問契約を結びました。

清水 事務所を開業した09年当時、弁護士の方は身近にいませんでした。妹尾先生と知り合って以降、勉強会を開くなどして知識習得に努めています。

──顧問契約後まもなく自計化されたそうですね。

妹尾 われわれは業績数値を読み取ることに関しては素人なので、限界利益や固定費等の経営指標の重要性を理解していませんでした。当初は『FX2』を利用していましたが、月次巡回監査時に清水先生に《変動損益計算書》の見方を解説してもらい、ポイントが徐々にわかるようになりました。

──現在は『FX4クラウド』を利用されています。

妹尾 システムを移行したのは、ちょうど弁護士法人を設立したころ。岡山市内の支店でも仕訳入力できる体制を整えましょうと提案されました。また、『SX2』(戦略販売・購買情報システム)を併用していて、財務と販管システム両方をクラウド型のシステムに切り替えた方が、システム間の仕訳連携をスムーズに行える点も魅力に感じました。販管システムもクラウド型の『SX4クラウド』を利用しています。

──業績面で注目している点は?

妹尾 弁護士法人という業態は仕入れや在庫が発生せず、変動費も大きく動かないため、財務管理がシンプルです。そんななか最も注視しているのは、売り上げがどう推移しているか。パソコンで《365日変動損益計算書》を随時確認し、毎月開催している業績会議でも出席者と業績を共有しています。事務所全体、あるいは弁護士別の売上高をほぼリアルタイムでつかめるのはありがたいですね。

──業績会議で話し合う内容を教えてください。

妹尾 当事務所所属の弁護士全員と社会保険労務士に加え清水先生、監査担当の宮田さんに出席してもらい、毎月1時間ほどウェブ上で実施しています。『SX4クラウド』で売上高を弁護士ごと、分野ごとに管理していて、大幅な変動があったり目標予算とかい離があったりしたときには、原因を分析しています。具体的な管理の仕方は、A弁護士の会社法、労働法……B弁護士の会社法、労働法……といった具合です。そうした売り上げデータを『SX4クラウド』から『FX4クラウド』に取り込み、「マネジメントレポート設計ツール」を用いて会議資料を作成しています。

業績会議を繰り返し計数管理意識が浸透

──業績会議を継続され、変化はありましたか。

妹尾 業績会議は各弁護士が直近の売り上げと目標予算との差を確認する場となっており、意識付けに役立っていると感じます。業績の共有を図った結果、弁護士の意識が変わって業務単価の見直しにつながり、業績も改善しました。前年度の実績がわかるため期末までの予測が立てやすく、励みにもなります。

──弁護士の方々は目標予算を念頭に置かれていると。

妹尾 5カ年の中期経営計画に掲げた目標数値を単年度に落とし込み、『FX4クラウド』に予算登録しています。経営計画には数字面だけでなく行動計画も盛り込んでいます。今年6月に実施したオフィスのフロア移転はそのひとつ。賃料を勘案して月次損益を試算したところ、限界利益で固定費をカバーできることがわかり、移転計画を実行しました。

清水 細分化した売り上げデータを会計システムに取り込み、業績会議で毎月現状を確認して打ち手を話し合われています。こうしたサイクルを習慣化している法律事務所は、岡山県内では数少ないと思います。

妹尾 業績会議が定着したのも『FX4クラウド』の利用が軌道に乗り、予実管理を綿密にできているからこそ。清水先生から、年度当初の年間納税予定に始まり、四半期ごとの決算納税予測まで示してもらえるのも心強いです。計数管理の仕組みを構築いただき感謝しています。

──展望をお聞かせください。

妹尾 今年で52歳となるので、清水先生にも相談しつつ事業承継に向けた準備をはじめたいと考えています。顧問先数と所属弁護士を増やし、県内で有数の規模に拡大した上で、後継者にバトンタッチしたいです。

企業情報

弁護士法人KIBI

設立
2017年10月
所在地
岡山県岡山市北区磨屋町1-6
   岡山磨屋町ビル7F
売上高
1億5,000万円
従業員数
11名
会計システム
FX4クラウド
URL
http://www.kibi-law.jp

顧問税理士 清水博文
税理士法人LEGARE(レガーレ)

所在地
(岡山オフィス)岡山県岡山市北区清心町16番38号
URL
https://legare-tax.jp/index.html

『戦略経営者』2024年12月号より転載)