有限会社関東実行センター 様

前が山本久一社長。後ろは左から山本翔也社長室長、
赤岩茂税理士・公認会計士、茂田雄介税理士

統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例

部門別管理と経営計画策定で
“利益体質”へ大きく転換

栃木県小山市で一般・産業廃棄物の収集運搬業を営む関東実行センターの山本久一社長と山本翔也取締役社長室長は、そのコンビネーションの良さで近年、利益体質への転換を果たしつつある。顧問の赤岩茂税理士・公認会計士、茂田雄介税理士とともに話を聞いた。

「社員の生活を守る」という信念でサステナビリティ―
経営を実践。国際的な温室効果ガス削減目標である
中小企業版SBTの認定も受けている。
環境マネジメントシステム国際規格のISO14001や
労働安全衛生マネジメントシステムのISO45001も取得。

──設立は1970年だとか。

山本(久) 個人事業の時代を含めると、古物商や精米などの商売を父が始めたのがスタートで、創業は1953年になります。70年は、法人化し、小山市からの委託事業である一般廃棄物の処理を手掛け始めた年です。

──家庭ゴミの収集ですか。

山本(久) はい。小山市には約2,982のごみステーションがあるのですが、当社はそのうちの1,622カ所で収集を行っています。

──すごい数と割合ですね。

山本(久) 現在、当社を含めて4社の民間事業者が、小山市内のごみの収集を行っていますが、最初に委託を受けたのが当社で、以来、競争入札の時代になっても続けさせていただいています。

──行政との信頼関係はどのように?

山本(久) 創業者の父、2代目の兄、そして3代目の私と、小山市とのつながりを意識しながら、情報収集に注力しつつニーズに応える努力を継続して行ってきました。

山本(翔) それにプラスして、学校での「出前講座」や「体験講座」などで、小山市が実施している学童の環境学習のお手伝いをしたり、栃木県や小山市と災害協定を結んでいざという時に動ける体制を整えたりと、地元企業として行政との信頼関係構築に取り組んできたことも大きいと思います。

──一般廃棄物の収集以外にも事業を拡大してこられました。

山本(久) 75年には貯水槽の清掃、77年には下水道の維持管理業にも進出しました。さらに、その数年後には下水道の汚泥を収集運搬するために許可をとり、産業廃棄物の収集運搬の分野にも事業を拡大。現在、この分野では、下水道の汚泥処理だけでなく、ハウスメーカーの新築物件の廃材処理を中心に、業績を伸ばしています。

山本(翔) 当社は、栃木県から「優良産廃処理業者」としての認定を受けています。この認定を受けることで、許可期間を5年から7年に延ばすことができました。

──優良産廃処理業者になるための要件は?

山本(翔) 大きくは「事実の透明性」と「財務体質の健全性」の2つです。後者については、誰でも閲覧することができる「産廃情報ネット」というところにアップする必要があり、開示情報の不備は許されません。ただ、これについては、税理士法人報徳事務所さんに税務顧問をお願いしていることもあり、完璧な会計情報をアップしているので安心です。

ムダを抽出・是正することで限界利益を5%引き上げる

2021年6月に「とちぎSDGs 推進企業」に登録

──報徳事務所とのご関係は?

山本(久) 7年前からです。当社は26台のパッカー車(ごみ収集車)を所有し、定期的に買い替える必要があるのですが、数字が見えないので、それを計画的に実施できず、結果的に無理な借り入れをして財務がひっ迫したこともありました。報徳事務所では、月次決算(巡回監査)にもとづく経営計画の策定をきちっと実施してもらえるとのことで、顧問をお願いしたという経緯です。

山本(翔) 以前は、伝票ベースでの経理だったので、経営判断を下そうにも伝票にまで戻って確認する作業が必要で、とても面倒でしたね。結果として、段ボール箱にいっぱいの紙が、倉庫からはみ出てオフィスを占領するような状態でした。報徳事務所の関与を受け『FX4クラウド』を導入してからは、適時正確な業績データをパソコン上で迅速に確認することが可能になり、オフィスもすっきりしました。

──入力面はいかがでしょう。

山本(翔) 以前は会計ソフトにベタ打ちでしたが、いまでは、当社の販売管理システムと『FX4クラウド』がデータ連携しているので、入力は一度で済むようになりました。また、クラウドなので、どこにいても自分のノートパソコンで最新の業績を見ることができます。周囲に“気色悪い”と言われるほど頻繁に見ています(笑)。

赤岩 顧問契約させていただいた7年前は、収益性が低く、資金繰りも不安定でした。『FX4クラウド』の導入によって、詳細な部門別管理が可能になり、部門ごとの課題を抽出して対策を施すことで、利益率の向上(7年前に比べ限界利益は約5%上昇)につなげることができたのだと思います。

──どのような部門分けを?

茂田 大きくは、本社部門、一般廃棄物処理の「清掃」部門、下水道関連と産廃の「しゅんせつ」部門、さらに、下水処理場など行政から包括的に委託されている「公共施設の維持管理」部門の4部門で管理しています。売上高の割合は「清掃」が50%、「しゅんせつ」が35%、「公共施設」が15%といったところでしょうか。

山本(翔)『FX4クラウド』の最大の長所は、迅速かつ正確な部門別の採算が分かるところですね。当社の場合、競争入札で仕事をいただく以上、それぞれの採算をとるために、部門ごとに細かなムダを抽出して是正していく継続的な努力が必要なのです。

茂田 それと、数年前から『継続MASシステム』を利用して経営計画を策定されるようになったのも大きかったですね。

山本(翔) はい。冒頭社長が言ったように、当社のような業態では、パッカー車の買い替えは重要です。新しい車にすることで燃費はもちろん、機能向上によってスタッフの労働環境の改善にもつながるからです。パッカー車だけでなく、下水道の中を撮影するカメラや洗浄車、特殊吸引車も同様に定期的な買い替えが必要で、いずれも数千万円レベルの高額なものです。経営計画で予算実績管理を行うことで、利益体質に転換でき、投資計画を立てて無理なくこれらを買い替えることが可能になりました。経営計画のおかげで、社会的な変化を敏感に察知し、計画を練り直すことでその変化に対応できるようになりました。そこが当社の最大の強みかもしれません。

社員を大切にしつつ1年1年ベストを尽くす

──山本(翔)室長は、以前、報徳事務所につとめておられたとか。

山本(翔) はい。公認会計士を目指して勉強をしていましたが、当社の監査を担当して外から父親の会社を見た時に、多くのウイークポイントが見えてきたのです。創業者である祖父の時代から連綿と続いてきた歴史があり、社会的意義のある仕事をしてきた会社なので、これをつぶすわけにはいかない……と、入社を決断しました。

赤岩 関東実行センターを外から客観的に見た室長の経験が、今に生かされていると思います。それと、社長と室長を見ていて思うのは、松下幸之助翁の“経営理念は「氷」のようなもので、トップが掲げた理念は、そのまま伝えるのではなく、中間の人が「温めて溶かしてから」伝えないといけない”という意味の言葉です。室長は7年前から、先代から続く歴史と理念を「温めて」こられたのだなと感じています。

──抱負をお聞かせください。

山本(久) この7年間で築き上げてきたものを継続していきたいですね。以前に比べて資金繰りはかなり楽になりましたが、その安心感にひたることなく、そして社員を大切にしつつ、1年1年ベストを尽くしていきたいです。

山本(翔) “できる限りの現状維持”が目標です。とはいえ、時代は変わっていきます。同じことをしていたら落ちていってしまうので、変化し続けることが大事だと考えています。今後も赤岩先生のもとで学んだことを生かしながら、足もとをしっかりと固め、堅実な経営を心掛けていきます。

企業情報

有限会社関東実行センター

業種
廃棄物収集運搬業
設立
1970年3月
所在地
栃木県小山市大字外城157番地3
売上高
約10億円
従業員数
87名
会計システム
FX4クラウド
URL
https://kantou-jc.co.jp/

税理士法人報徳事務所
代表社員・理事長 赤岩茂
中堅大企業支援課長・税理士 茂田雄介

所在地
茨城県古河市上辺見2120-2
URL
https://www.houtoku-tax.com

『戦略経営者』2024年11月号より転載)