導入事例 CASE STUDY
株式会社キャトルプラン 様
右端は税理士法人オペラ会計事務所副所長の薗田貴久税理士
統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例
月次の限界利益を注視し
「筋肉質の会社」に転換
業務用防犯機器を製造、販売し、業界で確固とした地位を築いているキャトルプラン。防犯カメラの利用用途の多様化を背景に、近年右肩上がりの成長を続けている。代表就任時から月次決算に強いこだわりを持っている佐藤圭三社長に小林章一顧問税理士、薗田貴久税理士を交え、話を聞いた。
マーケティングに活用可能なAIカメラの引き合いが伸長
──業容を教えてください。
佐藤圭三社長
佐藤 防犯カメラをはじめとするセキュリティー機器の販売から設置、アフターサポートまでワンストップで手がけています。国内外メーカーの防犯カメラを取り扱っており、幅広いニーズに対応しています。
──主要取引先の業態は?
佐藤 小売業が全体の約7割を占めます。その他、物流倉庫、マンション、医療福祉関連の顧客が多いです。
──足元でどんなニーズが寄せられていますか。
佐藤 映像データをクラウド上に保存するネットワークカメラの需要が高まっています。ネットワークカメラの利点は導入費用を抑えられ、映像データを安全に保存できるところ。昨今はAIを搭載したカメラが登場し、来店客数や滞留時間等のデータをマーケティングに生かす動きも広がっています。
──防犯カメラがいわば守りだけでなく、攻めの役割も果たすようになってきたと。
佐藤 商談時、AIカメラが集客や顧客満足度向上に役立つと伝えると、がぜん興味を持ってもらえます。例えば、ホテルや旅館で常連客が到着した際、スタッフのスマートウオッチに「〇〇さまご来店」などと表示させ、名前を呼んで出迎えることも可能です。
──サービス面のキャトルプランならではの特徴、強みは?
佐藤 一般的に防犯カメラの保証期間は1年間であるケースが大半ですが、当社ではオリジナルの5年保証を設けています。このサービスに加入すると、保証期間中は故障時の部品交換、技術スタッフの派遣費用がかかりません。通常、機器の故障時には稟議書を作成する必要がありますが、そうした手間から解放されたという声をよくうかがいます。
また、多店舗展開している顧客が多いため、蓄積したデータをもとに提案、フォロー活動を行えるのも強みです。業務担当者が頻繁に交代する企業でも、お客さまと当社間でクラウド上で図面や画像を共有できているので、引き継ぎをスムーズに行えます。
──経営理念として「身の丈経営」を掲げられています。
佐藤 売上高を急激に伸ばして従業員を大量に採用した企業ほど、業績不振のとき売上高は激しく落ち込み、人材教育も追いつかなくなるものです。そうした企業を反面教師としつつ、売り上げを身の丈のように少しずつ増やしていく経営を心がけてきました。少数精鋭かつ、1人当たり売上高と限界利益を重視する経営がうちのモットーです。やる気のある社員には独立を促しているのも特色で、これまで6名の元社員が会社を設立しました。これらすべての会社が関連会社として『FX4クラウド』を利用しており、最新データを共有しています。
「毎月が本決算」を合言葉に9拠点から仕訳を適時入力
──TKC自計化システムを導入されたいきさつを教えてください。
佐藤 以前利用していた会計ソフトは、月次で業績をしめるという発想がなく過去の仕訳を際限なく修正、削除できたので、正確な業績をつかめませんでした。そのうえ仕訳入力もおくれがちで、直近の業績が判明するのは3カ月後というケースもざらでした。これでは業績の進捗が芳しくないとき、手の打ちようがありません。
そこで、07年に代表に就任したタイミングで、私が経理業務を統括する体制に変更。仕訳を遡及訂正できない会計ソフトに切り替え、何としても月次決算したいと考えるようになりました。会計ソフトの情報を調べるうちに、TKCの自計化システム『FX2』 が条件に当てはまることがわかり、TKC全国会所属の税理士さんを探しはじめたんです。
──そうして小林章一顧問税理士に出会われたわけですね。
佐藤 面談した複数名の税理士の方のなかで、月次決算に対するこだわりと熱意をもっとも感じたのが小林先生でした。オペラ会計事務所さんと税務顧問契約を締結して、この10月で丸14年になります。会計ソフトを操作した経験がなく仕訳入力できるか不安でしたが、懇切丁寧に指導いただき『FX2』の操作方法をマスターできました。先生のアドバイスで印象に残っているのが、筋肉質の会社を目指しましょうという言葉。月次決算が軌道に乗って、限界利益を重視する経営に徐々にシフトした結果、経営が安定し、心のゆとりも生まれるようになりました。
小林章一顧問税理士
小林 佐藤社長は月次決算に大変意欲的で、システムの機能を習得されるのは早かったです。初期指導時、私の説明に熱心に耳を傾けられ、気づくと真夜中になっていたということもしばしばでした。
──『FX4クラウド』に移行された経緯は?
佐藤 一番の理由は営業所と関連会社が増え、本社担当者だけで仕訳入力するのに限界を感じるようになったためです。システム移行を機に、すべての営業所と関連会社に入力担当者を置き、仕訳を同時入力できる体制に改めました。各拠点の経理担当者には毎月が本決算との意識を植えつけ、仕訳を正確に入力するよう指導しています。あわせて取り組んだのが部門別の業績管理です。本社に加え、3カ所の営業所と6社の関連会社でシステムを運用して、各拠点から業績を相互に閲覧できるようになっています。
──グループ全社で業績データを共有されていると。
佐藤 ええ。グループ内で業績がガラス張りになっていますから、もうかっている部門とそうでない部門がお互いタイムリーにわかる。その点がシステムを移行して実感している最大のメリットです。
薗田 全国を飛びまわり多忙な佐藤社長にとって、最新の業績をパソコンやスマホで確かめられる点も重宝されているそうです。
コンスタントな業績開示でグループの信用力が向上
社内に掲示している
「書面添付十年連続特別表敬状」
──日ごろどんな業績指標に注目していますか。
佐藤 《365日変動損益計算書》で必ず確認するのは、限界利益と1人当たり売上高です。当社グループの経営幹部が出席するオンライン会議では、各拠点におけるそれらの数値を確認した後、「業績評価マトリックス(※1)」を活用して現状を分析。売上高と限界利益率を前年同月の数値と比較し、差異を生んだ原因を追究しています。例えば、売上高は前年同月より伸びているにもかかわらず限界利益率が低下していたら、値引きを必要以上に行っていないか、仕入れや在庫は適正かといった点を確認します。こうした打ち手のヒントとなる文言がマトリックス上に表示されるので、便利です。
──金融機関にも業績を開示されていると聞きました。
佐藤 「TKCモニタリング情報サービス」(MIS)を活用して、取引金融機関にはもれなく月次試算表を送信しています。関連会社でも設立1期目からMISで決算書を送信しているためか融資申し込み時の審査が早く、グループとしての信用力が高いことを実感します。また、書面添付(※2)を毎期実践していて、今年1月、10年連続提出の表敬状を小林先生から授与いただきました。
──今後のビジョンをお聞かせください。
佐藤 身の丈経営から少し外れてしまうかもしれませんが、台湾に現地法人を設立して、海外事業を展開していく予定です。大手企業との業務提携、同業他社とのM&Aも念頭に置きつつ、29年の年商50億円達成を目指します。
※1業績評価マトリックス…365日変動損益計算書に基づき「商品・市場戦略の成果」の検証と「成果配分の成果」を確認できるツール
※2書面添付…税理士が税理士法第33条の2に基づき、関与先企業の税務申告書の提出に際して、自ら「計算し、整理し、又は相談に応じた事項」を記載した書面を添付する制度
企業情報
取り扱っている防犯カメラの価格帯は
1万円〜20万円前後
株式会社キャトルプラン
- 業種
- 防犯機器販売、設置
- 設立
- 2000年4月
- 所在地
- 東京都新宿区西新宿4-3-12
渡辺西新宿ビル5F - 売上高
- 21億円
- 社員数
- 48名
- URL
- https://quatre-plan.co.jp
顧問税理士 小林章一
税理士法人オペラ会計事務所
- 所在地
- 東京都渋谷区本町1-4-16 ガイア初台ビル5F
- URL
- https://www.opera-tax.or.jp
(『戦略経営者』2024年10月号より転載)