導入事例 CASE STUDY
株式会社プゥル・ヴー 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例
「利他の精神」を念頭に
高品質なクリーニングを展開
プゥル・ヴーは神奈川県海老名市と大和市を拠点に、多彩な顧客に向けたクリーニング事業を展開している。同社を率いる今泉直人社長と石井文雄顧問税理士、田川恵美子監査担当に、経営戦略と『FX4クラウド』による財務戦略の要諦を聞いた。
──特徴的な会社名ですが、由来は?
今泉直人社長
今泉「プゥル・ヴー」は「あなたのため」を意味するフランス語です。英語で言うと「for you」ですね。世のため、人のためになる商売を手がけていきたいという思いから、事業を父から承継し、法人化した2008年に商号を変更しました。ちなみに、この「利他性を追求したい」という思いは、経営理念と行動指針にそれぞれ反映しています。
──事業内容を教えてください。
今泉 個人向けのクリーニング店(クリーニングハウスハイジ)を神奈川県の海老名市内に2店舗構えるほか、法人を対象としたクリーニング事業(ホワイト事業部)も手がけています。最近は法人向けの事業が伸びてきており、作業服やユニフォーム、結婚式場やレストランのテーブルクロスなど、神奈川県内のお客さまを中心に、さまざまな衣類のクリーニングを引き受けています。
──アピールポイントは?
今泉 クリーニング技術を絶えず磨き続けているところでしょうか。当社では「気持ちよく衣服を着てもらう」ことを第一に、お預かりした衣類を1品1品丁寧に仕上げています。例えば衣類が長持ちするよう、水の温度や石鹼の量、漂白剤の割合などを細かく意識しながらクリーニングを行っています。なかでも水の温度が重要で、クリーニング業界ではワイシャツや白衣などのランドリー品は、50~60度のお湯で洗うことが一般的ですが、当社では40度程度のお湯を使っています。
──それはなぜですか。
「クリーニングハウスハイジ」は
海老名市内に2店舗展開
今泉 高温のお湯だと汚れが落ちやすい分、衣類へのダメージが大きいからです。裏を返せば、お風呂のお湯ぐらいの温度だと汚れが落ちにくいことになりますが、当社では長年培ってきた知識と経験を生かし、40度程度でも汚れがしっかり落ちる洗濯技術を確立しています。実際に当社が仕上げた衣類は、高温で洗ったものと比べても遜色ありません。
石井 以前、スーツのクリーニングをお願いしたことがあるのですが、とてもきれいになって返ってきたので驚きました。以来、スーツはいつもプゥル・ヴーさんでクリーニングしています。
今泉 このほか、最近はSDGsへの対応に積極的に取り組んでいます。例えば、クリーニング業界では合成洗剤を使うのが一般的ですが、当社では環境負荷を最低限に抑えるべく、水洗いに関してはほぼすべての衣類を石鹼で洗っています。
──足元の景況はいかがでしょう。
今泉 コロナ禍で一時業績が落ち込みましたが、同業者と比べるとダメージはさほど大きくありませんでした。病院や飲食店など、多岐にわたる事業者と取引していることが奏功したと思います。売上高成長率もこの2~3年は前年比プラス10%のペースで推移していますが、各種コストも上昇しているので利益率の伸びは緩やかです。
決め手は「入力の省力化」と「迅速かつ緻密な業績管理」
田川恵美子監査担当
──石井文雄税理士事務所と顧問契約を結ばれた経緯は?
今泉 まだ個人事業主だったときに、所得税申告書等の税務書類を田川さんに見てもらったことがきっかけです。その後、法人成りしたタイミングで、当社の税務顧問に就いていただきました。
田川 今泉社長とは高校の同級生で、卒業後も頻繁に連絡を取り合う仲でした。プゥル・ヴーさんは当時、年商が1,000万円を超えており、今後も業績が伸びていくことが予想されたので、法人化に向けて準備を進めるようアドバイスした記憶があります。
──『FX4クラウド』を導入した時期と経緯を教えてください。
石井文雄税理士
今泉 2017年ごろでしょうか。「最新業績を速やかに把握できる仕組みをつくりたい」と相談したところ、お勧めされたのが『FX4クラウド』でした。足元の数字が即座に分かる上に、取引の入力が省略できる機能が充実しており、部門別に詳細な業績管理ができる点に魅力を感じ、導入を決断しました。導入にあたり「IT導入補助金」を活用しましたが、石井先生や田川さんに懇切丁寧にサポートしていただいたので、申請がスムーズに進みました。とてもありがたかったです。
石井 当初は会社の規模を鑑みてシステムを使いこなせるか、不安な気持ちもあったのですが、社長が導入に前向きだったので『FX4クラウド』をお勧めしました。いざ使い始めてみると、ありとあらゆる機能を積極的に活用されており、業務の効率化や緻密な業績管理の実現に結び付いているので、『FX4クラウド』を勧めて良かったと感じています。
事業別、店舗別に業績を管理挽回策の検討に役立つ
(上)社名に込められた思いは経営理念
にも反映されている
(下)宅配クリーニングサービス
「クリバリー」のメニュー画面
──特に重宝している機能は?
今泉 いろいろありますが、特に金融機関の取引データを受信して仕訳計上する機能(銀行信販データ受信機能)、PDFや紙の請求書等を電子データで保存し、仕訳の基礎データを生成する機能(証憑保存機能)を重宝しています。仕訳の手入力を省略できるところがいいですね。当社では店舗ごとに預金口座を設けており、売上金は基本的に毎日入金しているので、店舗の売り上げに関する取引は、ほぼリアルタイムで反映されています。
田川 これら以外にも『PX2』や『SX2』とも連動しているので、仕訳を一から手入力されることはほとんどありません。今泉社長は新機能の活用に前向きで、最近はペポルインボイスの送受信に取り組むことを検討されています。
──帳表はどのように活用されていますか。
今泉 《365日変動損益計算書》をこまめに開き、今どれくらい儲かっているのかを、事業や店舗ごとに確認しています。売上高や原価、各種経費、限界利益など全体的にチェックしており、特に前年同月と比較して数字の悪い項目があれば、その原因を追求して挽回策を打つようにしています。
──最後に今後の目標を聞かせてください。
今泉 一つは、スマホから宅配クリーニングを頼めるサービス「クリバリー」の底上げです。これは個人がクリーニング品の集荷をスマホで依頼し、ヤマト運輸さんが当社の洗濯工場まで配送するサービスです。現在は海老名市と綾瀬市限定で展開していますが、今後はクリバリーの仕組みを同業他社に販売するべく、配送の仕組みを見直し、システムの再構築に向けて取り組んでいきたいと考えています。
もう一つはクリーニング業界の活性化です。現在、多くのクリーニング店が価格競争に巻き込まれており、都市部を中心に廃業が相次いでいます。業界全体が活気づくには付加価値の拡大が不可欠で、そのためにも既存の慣習にとらわれない、新しいビジネスモデルを確立する必要があります。その点、当社では先進的な取り組みを多く手がけてきたので、当社のビジネスモデルを例として経験やノウハウを広く共有するなど、業界のリーディングカンパニーとして存在感を放っていきたいですね。
企業情報
大和市にある工場では日々の
衣類をクリーニングしている。
株式会社プゥル・ヴー
- 業種
- クリーニング業
- 設立
- 2008年2月
- 所在地
- 神奈川県海老名市大谷北4-1-33
(クリーニングハウスハイジ大谷本店)
神奈川県海老名市今里3-9-15
(クリーニングハウスハイジ今里店)
神奈川県大和市代官2-12-2(ホワイト事業部) - 売上高
- 1億2,000万円
- 社員数
- 42名(パート・アルバイト含む)
- URL
- https://haizi.jp
顧問税理士 所長 石井文雄
石井文雄税理士事務所
- 所在地
- 神奈川県横浜市港北区菊名1-5-3第3橘ビル1F
- URL
- https://ishiifumio.tkcnf.com
(『戦略経営者』2024年4月号より転載)