導入事例 CASE STUDY
株式会社ウイルバーン商事 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例
各店舗が高精度に原価管理を行う
高品質回転ずしチェーン
和歌山県、大阪府で「江戸前回転鮨 弥一」を6店舗展開するウイルバーン商事。大手回転ずしチェーンに比べやや価格帯は高いものの、休日には行列ができる人気店だ。同社の山口勇人社長と井上髙明顧問税理士に、業績管理のポイントなどについて話を聞いた。
──事業概要と沿革について教えてください。
山口勇人社長
山口 「江戸前回転鮨 弥一」(以下「弥一」)を本社がある和歌山県で3店舗、大阪府で3店舗の計6店舗運営しています。自動車ディーラーのトップセールスマンだった父の山口徳見会長が、脱サラしてハンバーガーフランチャイズ事業を手がけたのがはじまりです。かつては洋菓子フランチャイズ店の運営なども行っていましたが、自社ブランド事業として「弥一」を1998年に開始して以降、現在では回転ずし事業に一本化しています。社名の「ウイルバーン」は、「ウィル(意志)」と「バーン(燃える)」を組み合わせた造語で、「強い意志と燃えるような情熱で事業に取り組む」という父の思いが込められています。このほか高校時代に留学していたハワイにコンドミニアムを所有しており、撮影などで貸し出すバケーションレンタル事業も行っています。
和歌山県産のコメとオリジナルの赤酢を使用
──「弥一」の特長は?
お得なランチセットも充実している
山口 「価格帯が少し高くても、自分たちが本当においしいと感じる、質の高いすしを提供する」というコンセプトを掲げています。シャリには地元和歌山県産の「キヌヒカリ」と「ヒノヒカリ」を使用、独自の割合でブレンドしています。ネタは食の安全やトレーサビリティーをしっかり確保しながら、日本の四季を感じられる旬を大切に、手間と努力を惜しまず全国各地の産地、漁場から高品質な食材を仕入れています。可能な限り地産地消にも取り組んでおり、アシアカエビやシラス、マグロなどの地元で仕入れた特色のあるものも提供しています。酢にもこだわっており、酒粕から作られる粕酢を原料としたオリジナルの「赤酢」を全店で使用。ネタやしょう油の味に負けないよう一般的な酢より甘めに仕上げています。
──回転ずし店にもかかわらずランチセットが充実していますね。
山口 土日祝日に満席に近い集客を図るのは、和歌山のような地方都市の飲食店が経営を維持していくための絶対条件です。しかし私は、平日の集客をさらに上向けることを重要なテーマに掲げました。店舗で長年すしを握り続け、お客さまの動向を肌で感じていた経験から、「客単価よりもまず客数を確保することが大切」と考え、外回りのビジネスパーソンが利用しやすい時間帯に来店してもらえる商品として、ランチセットの提供を開始したのです。導入当初は「回転ずしでランチセットを食べる人はいない」という声もありましたが、セットメニューはお得感があり、夜に単品で食べるよりもリーズナブルであることが次第に浸透。現在では、昼間に客数を確保し、夜は単価を稼ぐというバランスの取れた営業スタイルを確立しています。
会計事務所に1年通い簿記の基礎知識を習得
──井上髙明先生と長年お付き合いされているとか。
井上髙明顧問税理士
井上 30年以上前にTKC南近畿会でニューメンバーズ会員として活動していた時に、ともに切磋琢磨していた先生が亡くなられました。その先生の関与先だったのがウイルバーン商事さまで、引き継ぐ形で顧問税理士に就任することになりました。私が顧問する前からTKCシステムで自計化されています。
──山口社長は2016年に事業承継されていますが、その際事務所に通われて簿記の勉強を本格的にされたとか。
山口 はい。現場で働きつつ常務取締役に就任したときに直面したのが、決算書の数字の意味がまったく分からなかったこと。B/SやP/Lといった言葉を聞いてもピンとこない状態で、原価率など現場で日常的に目にする数字は理解できても、会社全体の財務状況を把握することができなかったのです。そこで、井上先生の事務所に通い、簿記を基礎から学ぶことにしました。月に1回、約1年間通い続け、決算書の内容をはじめ会社の実態を数字で把握する力が身につきました。
──緻密な経営計画を作成されているとお聞きしています。
井上 かつては現場向けと金融機関向けの二つの経営計画がありましたが、山口社長がそれを一本化しました。その改革によって、現場スタッフと経営陣が共通の数字をもとに意識を一致させることができるようになったと思います。山口社長が最終決定した予算は『継続MASシステム』に登録し、『FX4クラウド』と連動させることで計画と実績の検証を毎月行っています。予算の精度は年を追うごとに上がっており、25年はほぼすべての月で予算と実績の誤差がわずかにとどまるほどになっています。
──部門別業績管理はどのようにされていますか。
山口 対象となる部門は、「江戸前回転鮨 弥一」の6店舗に加え、大阪と和歌山にあるセントラルキッチン2カ所、本社部門、ハワイで展開しているバケーションレンタル事業の合計10部門です。セントラルキッチンや本社部門は売り上げを直接計上するわけではなく管理が難しいところがありますが、独立した事業所として明確に区分し原価や経費を正確に把握することで、経営判断の精度を高めています。
──各店舗の現場ではどのように意識が変化しましたか。
山口 月次巡回監査の翌日に、全店長を集めた「店長会」を毎月開催しています。その場で各店舗の業績やコスト構造を共有し、改善点を議論します。飲食業の最大のコスト要因は原価で、当社の場合売上高の約4割を占めます。以前は数字への意識が低く、各店舗が納品書ベースで把握している数字と月次決算の数字が乖離することも少なくありませんでしたが、店長会で数字を共有するようになってからは管理精度が格段に向上。現在では各店舗が目標値をほぼ毎月維持することができるようになっています。店舗ごとに立地や客層の違いはありますが、数字を共有することで「自分の店舗だけでなく、会社全体の利益を守る」という意識が浸透したと思います。
──予算と実績を常に意識する文化が全社的に浸透してきているということですね。
山口 はい。以前は私が年度計画を一人で作成していましたが、「現場の声を反映しなければ意味がない」と考えるようになり、約6年前から複数の経営幹部に計画策定を任せるようにしています。初めの頃は数えきれないくらい手直しを重ねましたが、経験を積むごとに精度が向上し、昨年度は完成までの修正はわずか2回で済みました。この取り組みにより、現場の数字を把握するだけでなく、会社全体の予算を理解し、実行する力が経営幹部と各店長に備わったと考えています。
※継続MASシステム
経営者のビジョンに基づいた「中期経営計画」と、次年度の業績管理のための「単年度予算」、「短期経営計画」の策定を支援するシステム
支払管理機能の活用で経理業務の効率化を推進
──従業員への還元についてのお考えをお聞かせください。
山口 社員を集めたミーティングの席などで常に伝えているのは、「自分たちの未来は自分たちで作ろう」ということ。共有した数字をもとに全員が同じ方向を向いて一人一人が頑張り、会社全体の業績が上向けば、自分たちの給料に反映されるということです。着実に結果は出ており、月給のベースアップ、年2回のボーナスの増額、決算賞与の支給等、年間を通して大幅な支給増を実現しました。
──経理業務の効率化についてはいかがですか。
井上 一番効果が大きいのは、『PX4クラウド』との連携で、毎月の給与や賞与の仕訳を自動生成し『FX4クラウド』に連動しています。支払管理機能では請求書から仕訳を自動で起こしているのに加え、「定期支払の登録」を通じた仕訳の自動生成も業務の効率化に役立っています。また販売管理面では各店舗のPOSレジのデータを連携させ、仕訳を計上しています。
──今後の抱負を教えてください。
山口 中長期的にはハワイで本格的に事業展開するめどを立てたいと考えています。月次決算の数字をベースにした店長会の開催などを通じ従業員一人一人の実力が格段に向上し、私が1カ月、2カ月国内に不在でも事業が回るような体制になったからです。本業の飲食店はもちろん、日本と異なりカジュアルに楽しめるゴルフ関連のビジネスにも大きな魅力を感じています。
企業情報
オープンキッチンで
職人が丁寧にすしを握る
株式会社ウイルバーン商事
- 業種
- 飲食業
- 設立
- 1983年4月
- 所在地
- 和歌山県和歌山市太田3-1-28
- 売上高
- 約20億円
- 従業員数
- 約300名(パート、アルバイト含む)
- URL
- https://www.willburn.co.jp
顧問税理士 孔明会計事務所
所長 井上髙明
- 所在地
- 大阪府泉南市信達牧野415-3
- URL
- https://www.tioffice.jp
(『戦略経営者』2026年1月号より転載)


