導入事例 CASE STUDY
イーストライズ株式会社 様
左から高橋俊介顧問税理士、花塚勇三郎社長
統合型会計情報データベース(FX4クラウド) ユーザー事例
綿密な財務管理体制を構築し
10期連続黒字経営を実現
盛岡市に本社を置くイーストライズは、地方企業が都市部企業のシステム開発案件を請け負う「ニアショア開発」で知られる。花塚勇三郎社長の果敢な営業方針のもと、拠点は全国に拡大。「毎月業績を確認するのが楽しみ」と語る花塚社長に、《365日変動損益計算書》をベースにした業績管理手法を聞いた。
多岐にわたるシステムを17拠点からリモート開発
本社が入居する盛岡市内のビル
──今年5月に設立満10年を迎えられるということですが、創業のいきさつを教えてください。
花塚 ITサービス会社にプログラマー、システムエンジニアとして勤務した後、複数の企業でシステム開発や経営に携わり、キャリアを積み重ねてきました。起業したいという気持ちが芽生えたのは、盛岡市に移住してから。ITエンジニアを志す人々の雇用の受け皿となるべく、当社を設立しました。
──システム開発で得意とされている領域は?
花塚 福祉、医療分野がひとつ。もうひとつは、地方自治体向け窓口システムです。そのほか銀行、保険、宅配など、幅広い業界のシステムを受託開発しています。
──会社の強みは何でしょう。
花塚 まず挙げられるのは盛岡市の地域性。それと、手前みそで恐縮ですが、社長の経営手腕でしょうか(笑)。かつて多くの精密機器メーカーが工場を構えていたこともあって、盛岡市には能力の高いエンジニアが多数在住しています。優秀な人材が集まりやすい土地柄である点は、移住してはじめて気づきました。
──全国17カ所に拠点を置かれているところが目を引きます。
花塚 地方の企業が、都市部の企業におけるシステム開発案件を請け負う「ニアショア開発」に注力するべく、中核都市に事業所を開設してきました。その結果、地方在住の人材の獲得につながっています。世の中には、親の介護等で地元へのUターン就職を希望する人が少なからずいます。当社はこうした人々を積極的に採用し、これまで40名以上のUIJターン者を受け入れてきました。日ごろの交流や有事の際に短時間で駆けつけられるメリットはもちろん、家族や親せきと身近に暮らせる安心感は、かけがえのないものです。
──社員の直近のリモートワーク率は5割をこえるとか。
活躍が顕著だった社員をMVPとして表彰
花塚 以前から各拠点がチームを組んで行う「リモート開発」を推進してきましたが、コロナ禍で拍車がかかり、在宅で働く社員が増えている状況です。
──リモートワークが浸透すると、社員同士で顔を合わせる機会が減りますが、どのように一体感を醸成していますか。
花塚 ウェブ会議やチャットツールなどを活用して、チームメンバー同士がコミュニケーションを図っているほか、優秀な成果をおさめた社員を2カ月に1回表彰する「MVP賞」を設けています。プロジェクトマネジャーの推薦による候補者を募っていて、対象は営業担当者にとどまりません。例えば、公的資格を取得したエンジニアや、当社の公的認証取得に貢献した管理部門所属の社員も表彰しています。
業績をグラフに落とし込みKPIをひと目で把握
──高橋先生と顧問契約を結ばれたいきさつをお聞かせください。
花塚 当社会長である酒井からの紹介です。創業時に顧問契約を結んで以来、さまざまなアドバイスをいただいており、5年前には『FX4クラウド』を導入しました。10期連続で黒字経営を続けられたのは、高橋先生のおかげです。
──高橋先生の事務所は東京にありますが、どのような方法で月次巡回監査を実施していますか。
高橋 監査担当者がイーストライズ様の本社と回線を接続し、リモート方式で監査しています。社員の方の働き方を含め、花塚社長は柔軟な発想をお持ちです。われわれのような取引先に対しても、クラウド上で資料を共有したり、柔軟に対応されています。
──従来の経理体制は?
花塚 『FX4クラウド』を利用する前は、市販の会計ソフトに自ら仕訳入力していたので、決算申告前はかなりバタバタしていましたね。給与計算も自分で行ってみて、大変さがわかりました。当時は、社員の給与支払明細書の袋詰め作業も行っていましたから。
──TKCシステムを導入してどんな点が変わりましたか。
花塚 最もメリットを感じているのは、システムに機動性がある点です。外出先や移動中でも、ノートパソコンから業績をリアルタイムで確認できるのは便利です。さらに『PX4クラウド』と『PXまいポータル』を併用して、従業員140名分の給与計算、年末調整処理を効率的に行えるようになりました。TKCのデータセンターで、複数世代のデータを保存できるのも安心感があります。
130名超の社員が全国各地の拠点で働く
高橋 『FX4クラウド』を導入された時の拠点数は、まだ3カ所ほどでした。その後、事業拡大にともない、新たな財務管理体制や詳細な業績データが求められるようになりました。いま振りかえると、柔軟に対応できるクラウド型のシステムを提案できてよかったです。
花塚 関連会社4社のうち2社でも『FX4クラウド』等のTKCシステムを利用しています。
──どのような資料で業績を確認していますか。
花塚 「マネジメントレポート(MR)設計ツール」を用いて作成したスプレッドシートで確認することが多いです。《365日変動損益計算書》からシートに切り出しているのは、売上高や限界利益、経常利益といった項目。こうしたKPI(重要業績評価指標)の月ごとの実績値を全社および支社別に折れ線グラフ化し、推移を把握しています。
経営会議や金融機関と打ち合わせを行う際にも、この資料を活用しており、大変重宝しています。
多彩なデータ連携機能で仕訳入力を大幅に省力化
──重点的にチェックする経営指標は?
花塚 やはり気になるのは月間の経常利益額です。経費面では、コロナ前と比較して旅費交通費や接待交際費が減少している一方、昨今の電気料金の高騰から水道光熱費の動向を注視しています。月単位でもうかっているかどうか把握できるのは、『FX4クラウド』を利用しているからこそ。当期純利益が見込める場合、期末手当の支給などを高橋先生に相談しています。
また、ここ5年間、増資を毎年行ってきたため、自己資本比率をはじめ、貸借対照表の数字も重要視するようになりました。
──経理体制はどう変化しましたか。
花塚 複数名の経理担当者が「銀行信販データ受信機能(※)」や、業務システムとのデータ連携機能を活用して、仕訳入力の効率化を図っています。そのため、月間の業績を把握できる日にちが年々前倒しされていて、毎月10日前後には前月の業績を概算でつかめるようになりました。「MR設計ツール」で出力した資料をもとに、業績を確認するのが楽しみです。
高橋 業務システムとのデータ連携に加えて、人件費も『PX4クラウド』から取り込むなど、仕訳入力の自動化をできるかぎり進めています。こうした取り組みにより、毎月20日ごろには、前月のデータを確定できるようになりました。
──金融機関に決算書データを送信されているそうですね。
花塚 「TKCモニタリング情報サービス」を活用して、3行の金融機関に決算書データを送信しています。データの信頼性が高いためか、新規融資を打診される機会も増えています。
──目標をお聞かせください。
花塚 創業来黒字経営を継続できたのは、高橋先生をはじめ、さまざまな方のサポートのおかげだと感じています。若手エンジニアと経営幹部層の育成を通して事業拡大を図り、2033年に売上高50億円の達成を目指します。
※銀行信販データ受信機能
複数の金融機関(銀行や信販会社)から、インターネットを利用して取引データを自動受信し、その取引データをもとに仕訳ルールの学習機能を利用して仕訳を簡単に計上できる機能
企業情報
イーストライズ株式会社
- 設立
- 2013年5月
- 業種
- ソフトウエア開発
- 所在地
- 岩手県盛岡市大通3-2-8 岩手金属工業会館
- 売上高
- 10億円
- 社員数
- 136名(単体)
- URL
- https://www.east-rise.com/
顧問税理士 高橋俊介
税理士法人ASUWA
- 所在地
- 東京都練馬区桜台1-12-5 栖鳳ビル205
- URL
- https://www.tk-tax.com/
(『戦略経営者』2023年3月号より転載)