導入事例 CASE STUDY
東洋システム開発株式会社 様
松本博之社長
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
「クラウド」の機能を活用し
在宅業務の効率化を図る
東洋システム開発は創業50年に迫る、老舗システムベンダー。社員と会社が共に考え問題を解決する「共創の精神」を旗印に、業界で確固とした地位を確立している。コロナ禍にあって、テレワークの推進と本社オフィスのリニューアルを実行。松本博之社長は「クラウド型システムの利用で柔軟な働き方に拍車がかかり、タイムリーな業績把握が可能になった」と語る。
強固な開発技術を武器に多様な業務システムを提供
──どのような領域のシステムを開発されていますか。
松本 主力としているのは業務システムの受託開発です。これまで40年以上にわたり、ケミカル系企業の基幹システム開発を手がけてきました。もうひとつの柱が金融機関、官公庁向けシステムの開発で、こちらはおもに富士通グループ各社から受注しています。
──電力自由化に対応した新システムもリリースされたそうですね。
電力需要管理ソフトの「らくらく電力」
松本 昨年9月、新電力事業者向けに「電気料金オンライン請求システム」を提供しました。新電力の利用者が専用サイトにログインし、請求書や利用明細書を閲覧できる仕組みになっています。他社のウェブ帳票発行システムと連携でき、請求書の印刷や封入、発送にまつわるコストを大幅に削減できるのが特長です。
さらに関連会社のe電力ソリューションズでは、電力需給管理のパッケージソフト「らくらく電力」を販売しています。電力小売りが全面自由化された2016年4月以前にいち早く提供でき、おかげさまで高いシェアを獲得しています。
──事業面における強みをお聞かせください。
松本 当社は今年、49期目を迎えます。大手企業を含め、多数の引き合いをいただいているベースとして、これまで培ってきたお客さまとの信頼関係があります。「らくらく電力」が好評を博しているのも、当社の開発実績に期待いただけた結果であると思います。
──最近、本社オフィスを改装されたと聞きました。
昨年10月にリニューアルした本社オフィス
松本 テレワーク対応型のレイアウトへ全面的にリニューアルしました。私も含めて全社員の固定席を廃止し、フリーアドレスで業務を行っています。そのほか、打ち合わせ用の大小のミーティングルーム、社員同士のコミュニケーション促進を図るカフェスタイルのカウンターなども設けています。
リニューアルの背景にあったのは、コロナの影響にほかなりません。従来は取引先さまのオフィスに常駐する勤務スタイルでしたが、感染拡大を機に大半の社員が在宅勤務に切り替わりました。自宅にいて1人で仕事が完結できると、オフィスはそもそも何のためにあるのかという話になる。社員の帰属意識の向上を念頭に置いたデザインにしました。
加えて当社では、長野県と沖縄県に開発拠点を設けていて、いずれもサテライトオフィスに近い位置づけです。
──システム開発業界は残業が多いことで知られていますが、テレワークに移行して変化はありますか。
松本 残念ながら残業時間は増加傾向にあります。スキルの高い社員に負荷がかかっており、個人差が顕著に現れている状況です。限られた人員でいかに効率よく業務を回していくか。今後のマネジメントにおける課題です。
「損益」を的確に把握し迅速な意思決定が可能に
──浅野税理士と長年のお付き合いをされているとか。
松本 私が社長に就任したのは02年です。顧問契約を結んだのは父が社長を務めていた時期ですから、30年以上前になりますね。
浅野眞佐男税理士 ある会合に出席したとき、たまたま隣に座られていた方が先代の社長でした。その場で経営に関する相談を受け、子会社の税務顧問を1年間務めることになりました。その後、東洋システム開発本体も見てほしいとの依頼をいただき、顧問契約を結んだわけです。当時はまだ駆け出しのころで、先代社長にはさまざまな面で鍛えられ、育ててもらったとの思いが強いですね。現在、事務所の代表には須田真充税理士が就いています。
──監査担当の渡辺さんも長年担当されているそうですね。
渡辺剛智監査担当 かれこれ30年ほどたちます。東洋システム開発さまではテレワークを導入されていますが、巡回監査のため本社オフィスへ毎月訪問し、松本社長や辻常務と面談しています。2年前に財務会計システムを『FX2』から『FX4クラウド』に移行されました。訪問前に事務所のパソコンで入力済みデータなどを確かめられるようになり、監査業務が効率的に行えるようになりました。
──『FX4クラウド』に切り替えられたいきさつは?
松本 当社には、e電力ソリューションズをはじめ関連会社が複数社あり、経理システムの運用が煩雑になっていました。会社ごとで異なるシステムを利用していたり、スタンドアロンでデータを個別に管理していたり。そうした状況を改善するべく、クラウド型のシステムへ移行しました。
──システム移行後、どう変わりましたか。
松本 データの入力と問い合わせ、帳表出力などが以前より格段に早くなり、何より会社の業績データを即座に把握できるようになりました。最も重点的に確認しているのは、毎月の損益状況です。とりわけビジネスパートナーとの取引で発生する、外注費の推移に注目しています。外出時にはたいていノートパソコンを持ち歩いているので、気になる点があれば外出先から確認できるのも便利です。
そして毎月開催している役員会では、『FX4クラウド』の《変動損益計算書》をもとに加工したオリジナルの資料を配布し、具体的な打ち手を検討しています。
──物販も手がけられているそうですね。
辻輝夫常務 システムの利用に付随する、パソコンやサーバー、ルーター等の通信機器を販売しています。売り上げデータについては「エクセルからの仕訳計上機能」を活用しスムーズに読み込めるので、仕訳入力作業を省力化できました。
──金融機関に対して業績を報告されていますか。
松本 5月決算の数字が確定した後、3行の金融機関に決算書を提出しています。オンラインで送信する方法もあると渡辺さんからうかがっているので、利用を検討しているところです。
須田真充税理士 私どもの事務所では業績データを金融機関に送信する「TKCモニタリング情報サービス」を推進しています。関与先企業さまに利用を順次おすすめしており、東洋システム開発さまにも今後活用いただきたいと考えています。
──『PX2』(戦略給与情報システム)を併用されていると聞きました。
本社オフィスの入居するビル
松本 当社では90名以上の従業員が働いていますが、『PXまいポータル』を活用し、ウェブ上で給与支払明細書を閲覧できるようにしています。システムの利用を機に、従業員に明細書を手渡しする方法は廃止しました。コロナ禍で在宅勤務となっているので、もし用紙による通知を踏襲していたら郵送作業に追われていたことでしょう。
また、システム操作で不明点があっても、「TKCシステムまいサポート」というサービスを活用してTKCの担当者に電話やメールで直接質問できるので、助かっています。
──目標をお聞かせください。
松本 独立系のソフトウエア会社として、自主ビジネスをぜひ立ち上げたいと考えています。念頭にあるのは社会貢献領域で、IoTを活用した環境問題の解決や、未病対策につながるソリューションを提供したい。もうひとつ、金融機関の監修を得て、エンディングノート等の個人情報を安全に保管するシステムを4月にリリースする予定です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)への関心の高まりは当社にとって追い風です。大切なのは、お客さまに対して真の課題解決につながるソリューションを提供できるかだと考えていて、そうした取り組みを通して売上高を将来20億、30億円まで引き上げたいですね。企業情報
東洋システム開発株式会社
- 設立
- 1973年6月
- 所在地
- 東京都港区虎ノ門3-6-2 第2秋山ビル3F
- 売上高
- 13億円
- 社員数
- 98名
- URL
- https://www.tsknet.co.jp/
顧問税理士 代表社員 須田真充
税理士法人いつわ会計事務所
- 所在地
- 東京都新宿区高田馬場1-33-13
千年ビル8F
(『戦略経営者』2021年4月号より転載)