オカダコーポレーション株式会社 様

オカダコーポレーション株式会社

岡田卓也社長

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

リアルタイムの業績管理体制を確立し
スピード重視の意思決定を実践

三重県松阪市に本社を構えるオカダコーポレーションは、東海地方を中心にフランチャイズの飲食事業を展開している。複数のフランチャイザーに加盟して店舗展開を行う「マルチフランチャイジー戦略」が特徴的な同社は『FX4クラウド』を導入し、経理業務の効率化と意思決定の迅速化を実現した。岡田卓也社長、三ツ矢武史マネジメント部部長、大谷久美顧問税理士を交え、同社の経営方針とFX4クラウドがもたらした効果について聞いた。

幅広いブランド展開で多様な顧客ニーズに対応

──さまざまなブランドに加盟していますが、その理由は。

岡田 より多くのお客さまにおいしい料理を提供し、楽しい時間を過ごしてもらいたいという思いのもと、「日常の食事」から「ちょっとしたごちそう」といった幅広い飲食ニーズに応えるためにさまざまなブランド展開を行っており、現在は、「牛角」「しゃぶしゃぶ温野菜」「赤から」「丸源ラーメン」などの7ブランド21店舗を展開しています。
 マルチフランチャイジー戦略はポートフォリオビジネスの一つなので、複数のブランドに参画することで老若男女さまざまな世代を取り込むとともに、リスクの分散化にもつながっています。

──従業員教育にも力を注いでおられます。

おもてなし〟の心を持って顧客目線に立った接客が評判

〝おもてなし〟の心を持って顧客目線に立った接客が評判

岡田 来店したお客さまに満足してもらえるようなサービスを提供するには、食の安心・安全を追求することはもちろん、従業員一人一人が〝おもてなし〟の気持ちを持ってお客さまと接する必要があります。当社ではフランチャイザーによる研修会はもちろん、当社独自の教育カリキュラムを通して従業員の接客技術の向上に取り組んでいます。研修では、来店したお客さまが「また来たい!」と思ってもらえるように、ビジネスマナーや接客対応を中心に顧客の立場に立った気持ちの良い接客の体得を目指しています。
 最近では、アルバイト店員による迷惑行為がSNSに投稿される「バイトテロ」が発生し、飲食業界の信用失墜を招きかねない事態へと発展しましたが、当社では店長等を対象としたコンプライアンス研修を実施したり、職場での携帯電話の持ち込みを禁止したりするなどの対応を行い、お客さまからの信頼を裏切らないように心がけています。

──社内イベントも充実しています。

岡田 昨年対比の業績を伸ばした店舗を表彰する「優秀店舗授賞式」を年に1度開催しています。授賞式はブランドごとに行われ、店舗表彰だけでなく、業績を黒字化させるなど他のスタッフの模範となるような社員も個別に表彰しています。そのほか、ブランドや店舗の垣根を超えたアルバイトスタッフの交流イベント「パートナーサンクスミーティング」や、陶芸体験、ボルダリングなどのイベントを女性社員が中心となって企画する「OKADA女子会」など、従業員のモチベーションアップや交流を深めるさまざまなイベントを実施しています。

──人材育成にこだわる理由は。

岡田 さまざまなフランチャイザーと一緒に仕事をするなかで、人材への投資を惜しむことなく行っている企業は多くの人から愛され、組織としても大きく発展しています。当社でもこの姿勢を参考にし、社員やパートナー(パート・アルバイト)が人間として成長できる機会を多く提供することで従業員満足度を引き上げ、ひいては顧客満足度の向上に結びつけるよう取り組んでいます。

──コロナショックの影響はいかがでしょう。

岡田 他の飲食店の例に漏れず、店舗運営や資金繰り等の対応に追われています。ただ、当社ではかねてより大谷先生の薦めで『FX4クラウド』を導入し、店舗ごとの業績管理をしっかりと行っていたので、コロナウイルスの影響で極端に業績が落ち込んだ店舗は今のところありません。ただ、コロナショックがいつ収束するか分からないので、大谷先生のサポートをいただきながら金融機関からの借り入れや政府の特別融資制度の申し込みを実施し、速やかに店舗運営の安定化を目指します。

“クラウド”の推進で経理業務の効率化に成功

──『FX4クラウド』導入の経緯を教えてください。

岡田 以前は経理担当者を雇っておらず、経理業務をすべて会計事務所にお願いしていたため、最新の試算表が提供されるまで早くても2カ月はかかっていました。当時はこの状態に何の疑問も抱いていませんでしたが、事業を幅広く展開していくなかで最低でも自社の業績はリアルタイムで把握できていないと手の打ちようがないと思い、中学・高校の同級生でもある大谷先生が税理士試験に合格したタイミングで顧問事務所を変更しました。

大谷久美顧問税理士

大谷久美顧問税理士

大谷 2003年度の決算終了のタイミングで、当時補助税理士として勤めていた税理士事務所と顧問契約を結び、その後長きにわたって『FX2』を利用していましたが、加盟ブランドや店舗数の拡大に比例して取引量も増加し、経理担当者の負担が目に見えて重くなっていたので、17年に経理担当者の増員と『FX4クラウド』への切り替えを提案しました。

──部門別管理機能はどのように活用されていますか。

岡田 各店舗の売上高、粗利益、営業利益などの目標値がフランチャイザーによって確立されているので、『FX4クラウド』もこれに対応するためにブランド、店舗ごとに部門分けを行って詳細な予実管理を実施しています。ブランドマネージャー以上が参加する経営会議では、『FX4クラウド』から出力される業績資料に基づいて、店舗ごとに課題の抽出や打ち手の検討、フィードバックなどについて議論しています。

──〝クラウド〟に切り替えた効果はどのように表れていますか

岡田 複数のパソコンから取引を同時並行で入力することができるようになったことが大きいです。システムを切り替えたタイミングで経理担当者を4人に増やし、ブランドや店舗ごとに担当者を分担したことで1人あたりの業務負担が軽くなりました。

大谷 インターネットへの接続環境さえあればどこからでもシステムにアクセスできるので、私自身、事務所に居ながら取引内容をチェックしたり、疑問点を指摘したりするなど、巡回監査にかける時間を大幅に短縮することができました。余った時間を社長との打ち合わせや経理担当者とのコミュニケーションにあてることができ、事務所との関係をより深められたように感じています。

──経理実務ではどのような変化がありましたか。

三ツ矢武史マネジメント部部長

三ツ矢武史マネジメント部部長

三ツ矢 『銀行信販データ受信機能』を活用することで業務量を大幅に削減することができました。これまでは店舗ごとに預金口座を持っており、21店舗の預金取引をすべて手入力していたので、経理担当者の負担は相当なものでしたが、あるとき、TKCシステムの新機能として『銀行信販データ受信機能』が搭載されることを大谷先生から教えてもらい、その場で導入を決断しました。

大谷 『銀行信販データ受信機能』の導入を機に口座を一つにまとめて預金仕訳を一括で取り込めるようにしたところ、経理担当者の労働時間をトータルで50時間程度削減することに成功しました。他の業務にかけられる時間が増え、生産性が大きく向上したと評判も上々です。

──企業経営で意識していることは何でしょう。

岡田 「兵は神速を尊(たっと)ぶ」という言葉があるように、競争の激しい外食産業で生き残るにはスピード感を意識しつつも正確な経営判断が求められます。当社においても大谷先生を交えた業績検討会を毎月開催し、『FX4クラウド』から出力される最新の試算表に基づいて、新規出店計画や設備投資といった経営の先行きを左右する内容を議論しています。会社として進むべき方向に速やかに舵を取れるよう、正確かつスピード感を意識した経営判断を常日頃から意識しています。

──今後の展望をお聞かせください。

岡田 まずはコロナショックによる店舗の閉鎖が発生しないよう、迅速に資金調達を行い、各店舗を支援します。また、当社が創立50周年を迎える23年には年商30億円を達成するという目標に向けて、社員、パートナー、フランチャイズ本部と良い関係を構築しながら、地域の皆さまに愛される店舗を全社一丸となって創っていきたいと考えています。

企業情報

オカダコーポレーション株式会社

FX4クラウドの導入で経理業務が大幅に効率化した

オカダコーポレーション株式会社

設立
1973年8月
所在地
三重県松阪市京町508-1 101ビル2F
売上高
約15億円
社員数
約50名
URL
http://okada-corporation.net/

大谷久美税理士事務所
税理士 大谷久美

所在地
三重県松阪市大黒田町1521-17
URL
https://otani-kaikei.tkcnf.com

『戦略経営者』2020年5月号より転載)