ポーターズ株式会社 様

ポーターズ株式会社

左から2人目が本間由佳リーダー、その右隣が天野竜人取締役、右端は野地靖之監査担当

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

仕訳連携機能の徹底活用で
経理業務の大幅な効率化を実現

“Matching, Change your business“をミッションに最適な人材マッチングを支援し、雇用環境の改善と働きがいの創出を目指すポーターズ。最近ではAIを活用したマッチングサービスをリリースするなど、事業の拡充に余念がない。そんな同社は『FX4クラウド』を活用し、課題であった経理業務の省力化を実現した。同社の経営戦略と『FX4クラウド』導入による効果について聞いた。

高度な情報技術を活用し最適な人材マッチングを提供

──事業の概要を教えてください。

渡邊智美取締役副社長

渡邊智美取締役副社長

渡邊 当社は世界中の人々と企業にとって満足度の高い雇用関係を創出するために、クラウドやAI等のデジタル技術を活用して人材マッチングの最適化を支援するサービスを展開しています。これまでは主にクラウド型人材マッチングシステム「HRビジネスクラウド」(HRBC)の開発・販売と人材業界向けのビジネス雑誌『ポーターズマガジン』の発行を手掛けていましたが、今年の1月より新サービスとしてAIによるマッチングレコメンドシステム「Matching Pro」(マッチングプロ)の提供を開始しました。

──「AIによるマッチングレコメンドシステム」とは?

渡邊 マッチングプロは職種や業務内容、必要な能力・スキル等の募集要件に基づき、条件に合致した人材をAIでリストアップすることでスカウト業務の効率化を実現するサービスです。今や働き方に対する価値観の変化、労働人口の減少などを背景に人材の獲得競争が熾烈(しれつ)を極めており、求人に適した人材をスカウトするために大半の時間を費やすなど、コンサルタントの業務負担が大きくなりつつあります。マッチングプロは当社が創業以来蓄積してきた膨大なマッチングノウハウに基づいて求職者をレコメンドするので、より高い精度でのマッチングを実現することができ、コンサルタントの業務負担改善につながります。

──HRBCの特徴は?

HRビジネスクラウド画面

HRビジネスクラウドは累計1500社で導入されている

渡邊 HRBCは求職者やクライアント企業ごとの案件管理、コンサルタント別の商談プロセス管理など人材サービスに関するあらゆる業務を網羅的に管理するシステムで、導入実績は累計で1500社を超えています。
 最近では医療業界やシニア人材といった特定の業界・分野に特化した人材会社も増えてきていますが、HRBCはシステムを柔軟にカスタマイズできるので、ユーザーの業務プロセスに合わせて画面のレイアウトや職種テーブルなどの管理項目を自由に変更・追加することできます。
 人材業界では従業員5~10名といった中小規模の会社が多く、システムを自社で構築するには多額のコストを支払わなければなりませんが、HRBCはクラウドシステムなので自社で専用サーバーを設置する必要がありません。料金体系もID課金型のサブスクリプションモデルを採用しているので比較的低コストで運用することができます。

──サポート体制は?

渡邊 当社では導入・運用支援活動を「カスタマーサクセスサポート」と呼んでおり、専任の部署を設けてHRBCの運用が軌道に乗るまでのフォローを徹底しています。最適なマッチングを行うためには、求職者の希望業種・職種、資格情報はもちろん、クライアント企業の募集要項や求める人材像など、あらゆるデータがHRBCに搭載されていなければ意味がありません。また、システムの安定稼働のためにはいくつかの工程をクリアしなければなりません。専任スタッフによるサポートはもちろん、システムの操作研修会や個別運用相談会、ユーザー交流会などカスタマーサクセスサポートを充実させることで安定稼働に向けて取り組んでいます。

天野 ユーザー交流会は、参加者どうしの交流や情報交換を図る場として四半期に1回のペースで開催しています。実際にHRBCを活用しているユーザーの声を聞くことのできる貴重な機会なので、当社のエンジニアも参加し、システム開発の参考にしています。

──そもそも創業の経緯は?

マッチングプロ画面

マッチングプロは求人内容に最適な求職者を自動でレコメンドする

渡邊 99年の規制緩和を契機に人材紹介業への新規参入が一気に増加しました。当時はパソコンやシステムが普及しておらず、ほとんどの会社は紙で業務管理を行っていました。そこで、自社開発の業務管理システムを販売することで人材会社の業務を効率化し、ひいてはこれが業界全体で高品質なマッチングサービスを提供することにつながると考え、2001年に人材業界を対象とした業務管理システムの開発・販売する会社を立ち上げました。とはいえ、創業当初は企業を訪問しても門前払いされることも多く、商談を進められませんでしたが、パソコンの発注やインターネットの接続設定など「できることは何でもやります」という姿勢で顧客との関係づくりに力を注いだ結果、次第に提案を受け入れてもらえる頻度も増え、システムの受注も進むようになりました。

取引の性質を分類し利用機能を検討

──2017年1月に『FX4クラウド』を導入されたそうですね。

佐久間康郎マネージャー

佐久間康郎マネージャー

佐久間 以前は市販の会計ソフトで1人の経理担当者がすべての取引を入力していたのですが、会社の規模が大きくなるにつれて取引量も膨大になり、経理業務にかかる負担が重くなっていました。時には伝票入力を小山先生や野地さんと分担して行ったこともありましたが、小山先生から「盤石な経営基盤を作りたいなら社内で経理業務を完結させた方がいい」とのアドバイスに加え、『FX4クラウド』を活用することで当社が抱えている課題を一挙に解決できるという説明を受けたので、経理業務の見直しも兼ねて導入することにしたのです。

小山 当時はスタンドアロン型のシステムを使っていたので、クラウドシステムへの切り替えは急務でした。『FX4クラウド』であれば複数のパソコンから同時に入力することができますし、仕訳読込テンプレート銀行信販データ受信機能、支払管理機能などを活用することで入力にかかる負担を大幅に削減できます。ポーターズさまは将来的に株式市場への上場を視野に入れており、経営基盤を今まで以上にしっかりと作っておく必要があったので、経理業務を効率化しつつ適時に会計帳簿を作成できる『FX4クラウド』しか選択肢はないと感じていました。

──実際に経理業務はどのように変わりましたか?

本間 以前は請求書発行システムと会計ソフトのそれぞれに取引を入力していましたが、現在は「仕訳読込テンプレート設計機能」を活用して請求書発行システムのデータをそのまま『FX4クラウド』に連動させています。当社では売り上げに関する取引の仕訳だけでも1カ月あたり1万5000件ほど発生しているので、仕訳入力に割いていた時間が大幅に削減され、余った時間を他の業務に回せるなど生産性の向上につながっています。

──支払管理機能も活用されていると聞きました。

本間 ある程度支払いサイトや金額が決まっている取引に関しては、支払管理機能を使って自動で仕訳が起こるように設定しており、計上した仕訳に基づいてインターネットバンキング用の振込データも合わせて作成しています。以前はインターネットバンキング用の振込ファイルを別で作成していましたが、桁数に誤りがあったり、余計な文字やスペースが入力されていたりとエラーが頻発する環境にありました。支払管理機能では計上された仕訳をもとに振込用データが作成されるのでミスが発生する余地がなく、スムーズに連動できる点が重宝しています。

小山勝税理士

小山勝税理士

小山 支払業務を①社員の経費精算、②毎月の請求書がある継続的な支払い、③請求書が無い毎月の自動引き落とし、④スポットで生じるもの、⑤借入金の返済、と分類し、①は「仕訳読込テンプレート」、②④⑤は「支払管理機能」、③は「銀行信販データ受信」を活用するよう整理しました。支払いの性質に応じ利用機能を変えるので最初は混乱もありましたが、運用が軌道に乗るまでの大変さはポーターズさまも承知されていたので、シンパシーを感じながらフォローしました。

野地 『FX4クラウド』の機能をフル活用することでタイムリーに仕訳を起こせるようになりましたし、『FX4クラウド』をはじめTKCの会計システムは過去にさかのぼって修正することができないので、しっかりとした残高管理ができるようになったことは上場を目指すポーターズさまにとって、メリットが大きいと感じています。

──今後の展望を。

渡邊 海外事業を強化し、国外での人材マッチングをさらに前進させていきたいと考えています。2014年にシンガポールで事業を立ち上げて以降、東南アジアを中心に海外事業に力を注いでおり、HRBCの英語版もリリースしています。主に日系の人材会社を中心に導入が進んでいますが、今後は現地のエージェントに対しても積極的にアプローチし、HRBCやマッチングプロの普及に取り組みます。
そして世界中の人材マッチングを支援し、すべての人々にとって働きがいのある社会づくりを目指していきます。

企業情報

ポーターズ株式会社

ポーターズ株式会社

設立
2001年8月
所在地
東京都港区赤坂8-5-34 TODA BUILDING 青山3階
社員数
56名
URL
https://www.porters.jp/

顧問税理士 あがたグローバル税理士法人
代表社員 理事長 山崎健兒

所在地
長野県長野市南石堂町1293-3
長栄南石堂ビル3階(長野事務所)
東京都中央区日本橋3-7-10
タンペイ日本橋ビル2階(東京事務所)
URL
http://www.ag-tax.or.jp/

『戦略経営者』2020年3月号より転載)