株式会社アルガオートサービス 様

株式会社アルガオートサービス

出口店の玄関先で

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

店舗別・業態別の損益管理で
自動車整備の地域一番店へ

長野県松本市で6つの自動車整備関連店舗を展開するアルガオートサービス。高い技術力と緻密な管理体制を武器にしながら、長野・松本地域の同業者のなかでも有数の収益力を実現してきた。有賀政揮社長と御子柴仁顧問税理士に、その右肩上がりの成長を支える経営の中身について聞いた。

高い技術力と接客力で顧客の信頼を獲得

──業容を教えてください。

有賀政揮社長

有賀政揮社長

有賀 車検、板金塗装、車販、パーツ・用品販売、ロードサービス(カーレスキュー)、各種保険など、車に関するサービスを総合的に手掛けています。当社では、整備をはじめとするサービス全般を「信頼財」と位置付けています。社員全員が高度な専門技術・知識を持ち、〝誠実な対話〟の実践など接客力を磨き、お客さまのニーズに応じた提案を行うことが、〝選ばれる店〟になるポイントだと考えます。われわれが病気になった時に、医療機関を選ぶ場合と同じですね。

──6店舗を展開されるなど、地場企業としてはかなり手広くビジネスを行われています。強みは何でしょう。

有賀 ひとつには、柔軟性でしょうか。当社では、新たな仕事が舞い込んできた時にも柔軟に対応してきました。たとえば、移動販売車の製作などはその象徴かもしれません。

──移動販売車とは?

有賀 最近、街中でよく見かけるラーメンやパスタ、ホットドッグ、ピザ、クレープなど軽食を販売する例のやつです。10年ほど前に、あるお客さまから既存車両を移動販売車へ加工する仕事を依頼されたのがきっかけでした。なじみのない仕事にもかかわらず、面倒がらずに引き受けたことが、現在の事業につながっています。地場の自動車整備工場が移動販売車の製作を手掛ける例は少なく、全国から注文が来るようになりました。また、製作だけに止まらず、いまでは5台の移動販売車を使って自社でスイーツや軽食を販売する事業にも参入しました。

──そのほかには?

移動販売車の製作も手掛ける

移動販売車の製作も手掛ける

有賀 社内体制も比較的しっかりしていると思います。独自の人事評価制度や経営計画(長期、中期、単年度)の策定、目標管理の実践、個人レベルの行動計画の作成などですね。あるいは、従業員教育にも力を入れています。

──たとえば?

有賀 人事評価の面では、あらかじめ職級ごとの成功事例を社内で渉猟(しょうりょう)し、それを各人の行動に当てはめながら実践を促し、絶対評価で点数をつける方式を採っています。その方が、相対評価で細かく比較しながら査定するより分かりやすく成果につながりやすいという考え方ですね。

──教育面では?

有賀 新入社員研修はもちろん、車検整備、板金塗装、フロント、保険など、テーマ別に社員を集めて月に2、3回は勉強会を行っていますし、また、メカニックには、当社が同友(会員)となっている全日本ロータス同友会(※)(ロータスクラブ)の提供する研修を活用したりもしています。
 また、トヨタ自動車大学校、高山自動車短期大学など、4つの自動車整備学校への紹介支援も行っています。場合によっては当社で働きながら、メカニックの資格をとることも可能です。

──ロータスクラブの同友となったのは?

有賀 関連会社が10年来同友となっていて、2015年にその会社と合併した際、自動的に当社が入会した形です。私がロータスクラブの活動に参加しはじめたのはつい最近のことですが、今年から「経営教育委員会」の委員長をつとめています。

──入会のメリットは?

有賀 最新の情報をいただけることでしょうか。業界全般の情報のみならず全国の同友1650社の最先端かつ個別の具体的な経営情報が入ってくるので、とても参考になります。

全日本ロータス同友会
 自動車整備業者の組織として1975年1月に設立。自動車整備業界の近代化、社会的地位の向上、さらには法定需要依存体質からの脱皮など、新しい業界づくりの理想を掲げてスタートし、1社ではできないことも全国の同友(約1650社)が結束する事で成長してきた。

月次決算の数値をもとにタイムリーな打ち手を実践

──御子柴仁先生とのご関係は?

有賀 2016年の9月に税務顧問に就任していただきました。それまでは、市販の経理ソフトを利用して経理処理していたのですが、前月実績が翌月末にならないと出てこないため、有効な対策が打てない状況でした。とにかくより早く、そしてより正確かつ詳細な月次報告が上がってくる体制をつくりたくて、御子柴先生に顧問をお願いしたのですが、結果は大成功でしたね。

──御子柴先生の有賀社長に対する印象は?

御子柴仁顧問税理士

御子柴仁顧問税理士

御子柴 〝強い経営者〟という印象をまず受けました。弱音を吐かないし、人とのつながりを重視する情の深い部分も持っておられる。一方で、システマチックな考え方をされ、さまざまな社内制度を整えたりデータ重視の経営姿勢を貫かれてもいます。そんな多彩な面を持つ経営者だと思います。

──当初から『FX4クラウド』を導入されました。狙いは?

御子柴 有賀社長の要望通り、月次決算の時期を早め、より詳細な部門別管理を行うためです。具体的には、経理体制の全般的な整備や既存の業務システムと『FX4クラウド』との連携などで、月次の決算報告を翌月の8営業日以内に繰り上げ、また、各店舗別(6店舗)の損益と車検、一般整備・板金、車販、保険など業態別(10部門)の損益を縦横にクロスさせて管理できるようにしました。さらに言えば、車販の実績に「移動販売車」とそれ以外の販売データをぶら下げるなど、もう一段細かな管理も行っています。ともあれ、アルガオートサービスさんでは、月3000件の仕訳が発生するので、データの打ち直しが省けるシステムの連携はとくに大きかったと思います。
 それと、決算報告では、自由なスタイルに帳表を製作できる『マネジメントレポート(MR)設計ツール』という機能を利用して、結果をA31枚にまとめ上げて、会議での使い勝手を良くしました。

有賀 御子柴先生はとても細かく当社の業績を分析・管理されるので、見ていて感心するほどです。以前も部門別管理は行っていましたが、もっとざっくりでしたから。

店舗外観

御子柴 クラウド上での管理なので、パソコン一台あればどこからでも業績を閲覧できるし、分散入力も可能です。アルガオートサービスさんでも3台のパソコンを使用して入力していますし、また、私の事務所からアクセスして整理仕訳を行うこともできています。
 加えて、銀行や信販会社から、インターネットを利用して取引データを自動受信し、仕訳ルールの学習機能を利用して仕訳を簡単に計上できる「銀行信販データ受信機能」も利用することで、経理業務のさらなる効率化を実現しました。

──毎月の報告データはどのように活用されていますか。

有賀 毎月の役員(戦略)会議と店長(戦術)会議を、大抵は第2週の早い時期に行っているのですが、前月のデータを見ながら異常値の原因をあぶり出し、打ち手を指示します。月半ばを過ぎたデータだと、その打ち手がタイムリーではなくなってしまうのです。

御子柴 それと、各店長のモチベーションを上げるには、データにもとづいた数字的な根拠を見せる必要がありますからね。

──今後はいかがでしょう。

有賀 冒頭述べたように、お客さまの信頼に値するサービスを提供すること。これにつきます。付け加えるとすれば、当社が標榜(ひょうぼう)している「創造的人間力の形成」「永続性のある主体的企業の確立」「社会的価値増大への貢献」という3つの経営方針の実践に向けて取り組みを続けます。そのために、収益一辺倒ではなく、たとえば、既述した自動車整備学校への紹介制度や、福祉車両のメンテナンスサポート・代車の無料貸し出しなどの活動を通じて、当社の社会的価値を増大させる取り組みにも引き続き力を注いでいきます。それが結果的に、当社の企業価値を引き上げ、これからの人口減少社会を生き抜くことにつながると考えています。

企業情報

株式会社アルガオートサービス

株式会社アルガオートサービス

創業
1985年2月
所在地
長野県松本市並柳2-1-18
社員数
25名
URL
https://www.aruga-g.com/

顧問税理士 御子柴仁税理士事務所
税理士 御子柴 仁

所在地
長野県塩尻市広丘吉田1150-3
URL
http://mikosiba.jp/

『戦略経営者』2019年10月号より転載)