導入事例 CASE STUDY
株式会社日本トランスネット 様
左から2人目は上埜英一前経理部長。後列右端は戸知友美監査担当
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
資金の推移を迅速につかみ
顧客ニーズの開拓にまい進
ドライバー不足、自動運転技術の進化など、激変期を迎えているトラック運送業界。近畿エリアを地盤に、近年著しい成長を続けているのが日本トランスネットだ。張り巡らされたネットワークと柔軟な対応力を武器に、取引先を拡大。財務管理には『FX4クラウド』を活用し、関東エリアへ本格進出するための足場を固めようとしている。
全国津々浦々をカバーし多様な取引先に対応
松本堯雄最高経営責任者
──事業面の強みを教えてください。
原口 おもに大型トラックとトレーラーを活用し、東北地方から九州地方まで、幅広い層のお客さまの荷物を輸送しています。家具、家電、飲料、日用雑貨など、さまざまなジャンルの商品を扱っているため、年間を通して安定的な売り上げを見込める点が強みです。
──車両台数と拠点数は?
松本 グループ全体で保有している大型車両は、ざっと650台ぐらい。トレーラーが約260台で、残りが大型トラックです。本社のある大阪府内に支店・営業所が3カ所あるほか、全国8カ所に拠点を構えています。私は名古屋から西のエリアを担当し、それ以外のエリアを原口が主に担当しています。
──近年、業績が右肩上がりで伸びています。
原口郁社長
松本 輸送量が増えているわけではありません。ドライバー不足により倒産する中小、零細規模の運送会社が少なくない状況のなか、当社はドライバーを安定して確保できているため、同業他社から業務を依頼されるケースが多くなっているようです。
背景として日々の営業活動があります。各拠点の営業担当者が運送会社を回り「うちはこんな品物を運べます」とか「もし困ったら相談してください」などと提案するのです。それと、トレーラーを常時5台ほど待機させ、業務を柔軟に引き受けられる体制をとっており、一度支援要請のあったお客さまからのリピートも増えています。
──環境にも気を使われているとか。
原口 関東・九州間、関西・九州間では、CO2排出量削減のため、フェリーを利用したチャーター便の利用を提案しています。
──ドライバー採用のため、どんな工夫をされていますか。
原口 車両の後方トビラに、ドライバー募集の告知を掲示しています。大型トラックドライバーとトレーラードライバー、それぞれの給与額を明示しているのがうちの特徴です。掲載場所は、他社のトラックドライバーの目線と同じくらいの高さ。大阪府内と同程度の比較的高い賃金をうたっているので、ドライバー同士の口コミで伝わるなど、大きな反響があります。
ドライバーの募集告知を掲示
──運送会社にとって安全運行も大きなテーマです。
松本 順次進めているのが、ドライブレコーダーの装着です。新たに購入する車両には前後方だけでなく、側面やキャビン内の状況も映し出せるドラレコを設置しています。安全運行課の担当者が各車両の場所と走行速度を24時間監視。例えば夜間に高速道路を走行中、規定の速度を一定時間下回ると、担当者がドライバーに連絡し、サービスエリアなどで休憩をとるよう勧めたりしています。
──複数台のトラックが隊列を組み、無人トラックを先導するための公道実証実験が始まっていますが、自動運転技術の進歩をどうとらえていますか。
松本 新しい技術を積極的に導入したい気持ちはありますが、隊列を組むトラックの間に他のクルマが割り込んで自動ブレーキが作動した場合、輸送品が破損するリスクがあります。実用化までまだ時間を要するのではないでしょうか。
業務の属人化を防止し精神的負担を軽減
──4年前に『FX4クラウド』を導入されたと聞きました。
650台の大型車両を保有
上埜・前経理部長 以前は別の会計ソフトを利用していましたが、使い勝手が悪く、十分に活用できていませんでした。ソフトの設定方法がわからず、手作業で行う業務も結構あり、業容が徐々に拡大するなか、そうした経理体制を続けるのは無理があると感じていたんです。しっかりした財務管理を行うツールとして辻井先生から『FX4クラウド』を紹介され、後任の松本砂苗部長をはじめ、今では各担当者がいろいろな機能を使いこなしています。
──具体的には?
松本部長 資金管理メニューの「支払管理機能」は支払い業務の属人化を防止でき、助かっています。仕訳計上時に買掛金等の支払い予定日を登録しておけば《支払予定表》に反映され、地代・家賃等の定期的な支払い予定も支払い条件を登録しておくと、もれなく把握できます。
さらに「インターネットバンキング(IB/FB)振込用データ作成機能」を使い、数百件ある月末の口座振り込み作業を効率的に行えるようになりました。『FX4クラウド』の導入前は、1人の経理担当者がすべての支払い予定を管理している状態で、月末になると請求書を1枚ずつ確認しながら、3日がかりで会計ソフトに入力していました。
──業務効率化につながったと。
松本砂苗取締役部長
松本部長 はい。本社オフィスに勤務する複数名の担当者が全拠点の仕訳を入力しているため、誰かが休んでも、経理業務がストップすることはなくなりました。各自にかかる負担が減り、出納処理に対する承認機能も備わっているので、内部けん制に役立っています。
──お手元にあるノートパソコンはオフィスでふだん利用されているパソコンですか。
松本部長 いま子育て中のため、自宅で仕事するときにおもに使用しています。よく確認するのは、金融機関の口座残高と『FX4クラウド』上の残高が業務終了時に一致しているか。「スマート業績確認機能」を用いて、外出先からスマートフォンで売り上げの数字などを確認できるのも便利ですね。
──どんな出力帳表を活用していますか。
松本部長 リース会社や金融機関と打ち合わせする機会が多く、「マネジメントレポート(MR)設計ツール」で作成した、グループ全社の業績を把握できる帳表をよく利用しています。毎月15日前後に前月の業績を概算で把握し、25日ぐらいに確定した数字を松本最高経営責任者に報告していますが、このサイクルを早め、月初に概算業績を確認できる体制に改めることを目指しています。
2019年3月期決算では、監査担当の戸知さんから提案され「TKCモニタリング情報サービス」(MIS)を活用し、8行の金融機関に決算書データを送信しました。金融機関担当者から「タイムリーに数字を把握し、質問事項を準備して打ち合わせに臨めるため時間短縮化につながった」「月次決算データもMISで送信してほしい」などといった声をいただいています。リース会社や金融機関から業績に関する問い合わせが頻繁にあるので、月次データの送信も行っていきたいです。
辻井隆宏顧問税理士
辻井 『FX4クラウド』をフル活用されている印象ですが、今後は定期的な業績検討会の開催なども提案していきたいと考えています。
──月次巡回監査時はどんな話をされますか。
戸知 松本部長と面談して、車両などの資産の購入計画や今後の資金繰りを確認したりしています。毎月月初に本社オフィスを訪問し、2日間かけて監査を行っていますが、ふだん使用している事務所のパソコンからインターネットで『FX4クラウド』の最新データを確認してから監査に臨めるので、とても効率的になりました。
──抱負をお聞かせください。
松本 ドライブレコーダーやETCの普及など、運送業界では近年デジタル化が急速に進展しました。ETC2.0搭載車両が増えれば、高速道路の料金所もいずれなくなるかもしれません。そうした合理化を図るツールを積極的に導入しつつ、当面は取引先を新たに開拓するよりも、現在取引しているお客さまのニーズを深掘りし、受注をさらに伸ばしていきたいと考えています。
企業情報
河内長野市にある本社オフィス
株式会社日本トランスネット
- 設立
- 2000年3月
- 所在地
- 大阪府河内長野市野作町14-21
- 売上高
- 103億円
- 社員数
- 229名
- URL
- http://www.j-transnet.co.jp/
顧問税理士 税理士法人オークラ会計事務所
所長 社員税理士 辻井隆宏
- 所在地
- 大阪府大阪市北区天満4-9-16
- URL
- https://www.tkcnf.com/ohkura/
(『戦略経営者』2019年9月号より転載)