──企業概要や強みについてご説明ください。

村田啓二社長

社長　健康食品と化粧品のOEM供給を主に手がけています。商材でいうとサプリメントやスムージー、青汁、ゼリー、最近ではグミなどの取り扱いが多いですね。顧客満足度の向上を重視しており、原料調達から最終製品の仕上げまでワンストップで責任をもってやれる会社と口コミで評価していただいています。企業名はドイツ語のヘルト（英雄）からとりました。またヘルトとは別に2014年に設立した別会社のHONGOでは、自分や家族が「こういう商品があったらいいな」と思える商品を自社ブランドとして販売しています。全国チェーンのドラッグストアなどを通じ、更年期を迎えた女性向けに好調な『極濃プラセンタ＋エクオール』、プロテインに変わる次世代筋肉増強サプリとして脚光を集めている『HMB PERFECT』、日本独自のサプリとしてインバウンド向けに需要が高まっている『納豆キナーゼEX』、スーパーフードとして人気のスピルリナを配合した『スピルリナ＆300億の乳酸菌withDHA／DPA』などを販売しています。

常務　ヘルトのOEM事業では、お客さまの100の要望に対し120の水準で応えられるような、プラスアルファの提案をして要望以上の商品を作り上げることをモットーにしています。OEM商品の要望は基本的に流行のものが多いのですが、それでは各社横並びになってしまいますから。当社は原料についての知識や企画力を大切にしており、世の中にまだ知られていない目新しい原料を加えることを提案したり、他社と明確に差別化できるよう金箔を加えたパッケージデザインを提案したりして評価いただいています。

──社員の働きやすい環境づくりに力を入れているとか。

ドラッグストアなどで販売しているHONGOのオリジナル商品

社長　高品質な原料をできるだけ安く調達する、小ロットからの注文に応える、スピーディーな対応を心がける──これらのことはどの会社も行っていること。私は業界のなかで差別化を図るには、やはり営業スタッフの質を上げていくしかないと考えています。どんな人も、感じのいい気に入った人と一緒に仕事をしたいですからね。朝礼でもよく言うんです。「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」と明るくあいさつをするだけで、口コミで「あの会社雰囲気がいいね」と広まり、それが実際のビジネスにもプラスになると。当社はそこを原点として徹底的に追求したい。そのためには社内コミュニケーションを活性化することと社員が健康であることが絶対に必要だと思います。
　そこで当社では、年2回の社員旅行をはじめ、社員に喜んでもらえるような懇親会をことあるごとに企画しています。またCTスキャンなど希望するオプション検査もすべて会社で負担する「特別人間ドック」も創業以来ずっと継続しています。健康に不安を抱えたまま仕事をしても能力を発揮することはできませんからね。

──3年前に嵜山会計事務所に顧問税理士を変更されたということですが、決め手は何でしたか。

村田聡常務取締役

常務　一番魅力的だったのは、システムという道具だけでなく、その道具を使いこなしてわれわれに経営に関するアドバイスや助言をしっかりしてくれるという点です。また以前顧問契約をしていた会計事務所が使っていたシステムは、他のシステムとの連携や拡張性に弱点があると感じていました。当社は大阪と東京の2つの拠点があり、両拠点でタイムリーに管理するために最適なシステムとして嵜山先生からご紹介いただき、『FX4クラウド』の導入を決めました。

社長　以前使っていた会計システムは経理にまかせきりでほとんど見ていませんでした。しかし数字に詳しくない私でも一つ大きな不満があり、それは事前に確認した集計の数字が、決算後に変わってしまうということ。「何でこんなに違うの」と聞くと、その会計システムでは月次決算書の作成を中国の企業に外部委託しているそうです。決算書の書類は立派なもので、経営分析などもしっかりしているのですが、肝心な数字の信頼性がない。「TKCシステムではそんなことは起きない」という常務の薦めもあり、『FX4クラウド』の導入を決めました。私にとって会計システムは正確性と信頼性が何より大切だと考えています。

──会計システムを切り替えてから、数字を見る機会が増えたと聞きました。

きれいに色分けされた美しい筆跡が目を引く村田社長の勉強ノート

社長　単純明快に会社の実態が見えてくる《変動損益計算書》をはじめ、本当に勉強になりますね。分からない部分はすぐに嵜山会計さんに質問して理解するようにしています。売り上げの推移や得意先別の粗利率など肝心なところは日々チェックしていますが、時にはどうしても気になって夜中の2時に起きて自分のパソコンでチェックするときもあります。基本的に2日に1回は確認しているのではないでしょうか。TKCシステムを利用するまでは、この「マジック」ともいうべき数字の面白さを理解することはできなかったでしょう。勉強の成果をまとめたノートは大切な財産になっています。

──実際の使い勝手についてはいかがでしょうか。

馬場千春氏（管理部経理担当）　前職で他社会計ソフトを使っていたのですが、TKCシステムは帳表がよく可視化され数字が一覧で把握しやすいところに特長があると思います。他社ソフトを使っていたときには、ページを切り替えるのが面倒だった記憶があります。一方『FX4クラウド』では目的に合わせボタン一つ押すだけで大丈夫。例えば入出金の管理はボタン一つで《入金予定カレンダー》や《支払予定カレンダー》を確認することができます。他社ソフトを使用していた前任の社員が以前は会計ソフトとは別にデータを管理していましたが、今ではその必要がなくなりました。さらに「マネジメントレポート（MR）設計ツール」を使えば、入出金データを簡単にスプレッドシートに切り出すこともできるので、時短や効率化につながっていると思いますね。

──会計事務所からみてHeldの財務はどのような特徴がありますか。

嵜山　自己資本比率や経常利益率など、どの指標をとっても黒字企業平均を上回っています。また特徴的なのは、1人当たりの自己資本の額が同業他社に比べ極めて高いこと。仮に売り上げがそれなりに落ち込んでも、大慌てすることなく対応策を考える余裕があることを示しています。

石渡悦子氏（公認会計士嵜山保事務所監査担当）　馬場さんが非常に優秀なので、日々の入力業務は特に問題になっていることはありません。システム活用の観点からは、HONGOでプロジェクトごとの原価管理を正確に行っているのが大きな特長だと思います。

常務　オリジナル原料を用いた新製品のプロジェクトなどでは、展示会やサンプル制作費、旅費でいくら使ったのかをプロジェクトごとに管理しなければなりません。《プロジェクト別残高》機能を使えば期をまたいでも、プロジェクトごとに赤字なのか黒字なのかを判断できるので、非常に重宝しています。

──金融機関への情報公開も積極的に行われているとか。

嵜山　村田社長は金融機関とのつきあいが広く、取引がない銀行からも「経営状態の分析をさせてほしい」との依頼があります。そうした金融機関ごとに決算書を提出するのは面倒だということで、村田社長の了承を得たうえで2018年6月期決算を締めた後に「TKCモニタリング情報サービス」の利用を開始しました。

──今後の展望をお聞かせください。

常務　今年に入りベトナムに拠点を設立し、本格的に東南アジア市場での事業をスタートしました。医療保険制度が確立されていない東南アジアの国々では医療費がまだまだ高額であるため、サプリメントなどを通じて病気になるのを防ぐ文化が根付いています。そうした地域で良い商品を開発・販売し、シェアを拡大していく計画を立てています。

社長　実務はすでにほとんど常務が主体となって行っていますが、今年1年をかけて正式に事業承継を進めたいと考えています。その後は既存事業に関連する分野で新規事業を立ち上げたいと考えています。