SRホールディングス株式会社 様

SRホールディングス株式会社

左端は寺下哲也総務部長

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

子会社の一元管理とデータ連携で
経理業務の効率化を推進

広島県福山市で、積極的なM&Aにより急成長中の企業グループがある。グループの母体となる「昭和陸運」2代目の荒木栄作代表取締役CEO率いるSRホールディングスだ。荒木CEO、顧問税理士を務める三好建弘氏、巡回監査担当の大山公輔税理課長に、TKCの『FX4クラウド』を通じた業績管理のメリットなどについて聞いた。

積極的なM&Aで事業の多角化を推進

──子会社10社を率いる多角経営をされています。

荒木栄作代表取締役CEO

荒木栄作代表取締役CEO

社長 当グループは現在、物流、不動産、商事、サービス、アパレル、映像制作など多様な業種業態で構成されています。もともとは父親が1954年に創業した昭和陸運(現在は子会社)が母体で、15年前に同社が新社屋を建設したころは社員20人。売上高は3億円前後でした。たくさんの方々のご支援のおかげで今日では、グループ従業員約150名、売上高が50億円を超えるまでになっています。

──急成長した理由は何でしょう。

社長 事業拡大の最初のきっかけは、昭和陸運に寄せられた運送業務の依頼を断らず、外注を積極的に活用する方針に切り替えたことです。荷主と運送事業者をマッチングするいわゆる「傭車(ようしゃ)」と呼ばれるやり方ですね。双方との信頼関係を必死に構築していくなかでそれまで横ばいだった売り上げが右肩上がりになり、7億円規模まで拡大しました。そのような経緯もあり、当社では配車スタッフが通常より多い7人もいます。このネットワークの存在は今でも昭和陸運の強みとなっているといえるでしょう。
 運送事業から物流事業に進出したのも大きな転換点でした。7億円まで増えたとはいうものの、その多くは商社的な虚業の数字です。もっと実体の伴う地に足のついた新たな事業を始めなければならないと考え、倉庫を購入して通関業務から倉庫での保管、その後の運送までワンストップで提供するビジネスモデルを導入したのです。海外から日本に入ってきた物は必ずどこかに運ばなければなりません。そこで運送と通関業務をセットで展開できればお客さまの利便性も上がり、当社も川上から仕事を受注できる。2008年に神戸税関の許可を取得し運送、倉庫、国際という三つの柱を確立することができました。

──その後映像制作やアパレル事業にも進出しています。

社長 学生時代は東京でデザインを学んでいて、もともとクリエーティブな仕事に興味があったことから、まず6年前にブライダル映像を得意とする岡山第一ビデオを買収。その後テレビ番組の映像制作を手がける山陽エイブイシーを傘下に収めました。その後倉庫業務との親和性が高く安定収益が見込める不動産事業を開始したほか、地元福山でビジネスホテルやゴルフ場内レストランなども展開している鋳物商社・協栄商事も子会社化しています。最近ではエスケイトレーディング、ケイエムシーの2社の株式を取得し、以前から興味があったアパレル事業への参入も果たしました。

──積極的なM&Aへの姿勢が目立ちますね。

社長 グループ子会社のうち半分がM&Aで買収した企業です。対象となる候補はどんな基準で決めているのかというと、自分のなかで興味があってマネジメントできると確信できる分野かどうかというのが一つ。それと会社の改革に積極的に関わることのできる経営幹部がその会社にいるかどうか、もしくは当社から幹部を派遣できるかどうか。この2点を最終的な判断基準にしています。地元の金融機関やM&A仲介会社から数多くお話はいただきますが、ほとんど断っている状況です。

配車管理データを元に取引先別管理を実施

──三好建弘税理士事務所との関係について振り返ってください。

大山公輔・監査担当

大山公輔・監査担当

大山 先代社長の時代から関与させていただいているので、かれこれ40年、私自身が当社に毎月通うようになってから33年になりました。先代社長が経営されていた時分は売り上げがなかなか伸びず、毎月資金繰りの悩みばかりだったと記憶しています。東京でデザインの勉強をされていた社長が地元に帰ってこられ、ビジネスモデルを転換されてからは、それまで2億円弱だった売上高が一気に7億円近くまで伸びました。そこでようやく経営の母体が盤石になったのだと思います。

社長 長年お付き合いして当社の事情を誰よりも理解していただいていることもあり、三好先生と大山さんには全幅の信頼をおいていて、日頃から感謝の気持ちしかありません。私は財務の専門家ではないため、うまく表現できないこともありますが、そんなときでも、あうんの呼吸とでもいえばよいのでしょうか、三好先生はこちらが1質問しただけなのに、意向をくんで10を返してくれる。『FX4クラウド』を導入するときも、機能やメリットを丁寧に説明していただき、費用対効果も優れていると判断し導入を決めました。

──『FX4クラウド』を導入した理由について教えてください。

三好建弘・顧問税理士

三好建弘・顧問税理士

三好 岡山の会社のM&Aを実行するときに提案したのがきっかけです。複数の遠隔地で経理業務を行うことが増え、『FX2』では現場の業務処理の必要性に対応しきれなくなってきていたからです。「それぞれの拠点で入力することができ、経理業務を一元的に管理できる便利なシステムがあるので、バージョンアップしてみませんか」ともちかけたところ賛同いただき、1年ほどかけて導入をすすめました。それまでは岡山の子会社で作成したデータを受け取ってそれをグループ本社がある福山に持ち帰り入力し、訂正がある場合はその都度岡山に問い合わせなければなりませんでしたが、現在ではその手間が省けるようになりました。

──ほかにメリットは?

三好 データ連携による利便性向上は大きいですね。かねてより取引先ごとに売り上げを管理したいと考えていたのですが、入力業務があまりにしんどくなるので断念していました。取引先と傭車先あわせて500社を超える数ですから。これだけの数で取引先別管理をするとなると膨大な時間とコストがかかります。これが今では、同社が独自に運用している配車システムからデータを切り出し、それを『FX4クラウド』に読み込ませることで、ほんの数分で作業が完了します。また各拠点がそれぞれ行っていた請求書発行や売掛金の消し込み業務も一元管理できるようになりました。
 さらにTKCの戦略販売・購買情報システムである『SX2』などを通じ、現場の営業スタッフが入力した販売データがリアルタイムで会計システムに連動するデータ連携機能を活用しているほか、一部の子会社ではフィンテックシステムである「銀行信販データ受信機能」も利用しています。

グループ間シナジーの強化で限界利益率向上を目指す

──各事業の現状について教えてください。

社長 長い業歴のある運送や物流事業、投資額に対してある程度家賃収入が予想できる不動産事業などは安定的に収益を生み出せる状況を維持できていると思います。目下の課題はアパレル事業。手がけてみて初めて分かったのですが、シーズンごとに当たり外れが大きく先行きを読むのが本当に難しいですね。他事業とは異なるマネジメント手法をこれから取り入れる必要があると感じています。

──よく見る帳表などはありますか。

社長 最新業績を一覧できる《全社業績の問合せ》や《勘定科目残高一覧表》、《資金繰り実績表》などをよく見ています。子会社各社で毎月経営会議を行っており、それぞれの会社の幹部が作成した資料とTKCシステムから出力した資料を照合しながら議論をしています。

──限界利益率向上のために取り組んでいることは?

社長 グループ間シナジーを追求することによって利益率を向上させる取り組みを進めています。例えば現在アパレルの子会社は2社ありますが、一つは卸売り、もう一社はEC事業を展開しています。この2社が手がけている、似たようなラインアップを整理統合したり、あるいは商品を共同開発したり、原材料の共同購入をしたりすることによって、アパレル事業全体の効率化が徐々に進展しています。
 さらに事業領域の拡大にともない、既存顧客に対し全く新しい提案をする機会も増えつつあります。例えば当社ではブライダルを中心に豊富な映像作品の制作実績を有しているので、昭和陸運の取引先の企業に対し「周年事業で記念映像を作成しませんか」と営業をかけることができるようになりました。

──今後の展開についてお聞かせください。

社長 1年以内にはSRホールディングス内にグループ戦略室を設置する予定です。その大きな目的の一つが、子会社各社に横串をいれ、グループ間の横の連携をさらに強化していくこと。既存の経営資源を生かしながら、グループ間シナジーのさらなる向上を目指したいと考えています。

企業情報

SRホールディングス株式会社

SRホールディングス株式会社

設立
2017年5月
所在地
広島県福山市引野町4-1-8
売上高
52億円(連結)
社員数
152名(連結)
URL
http://sr-group.jp/

顧問税理士 三好建弘税理士事務所
税理士 三好建弘

所在地
広島県福山市沖野上町5-19-14
URL
https://miyoshi.tkcnf.com/

『戦略経営者』2019年1月号より転載)