エコモット株式会社 様

エコモット株式会社

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

経理業務のIT統制を進め
新興市場への上場果たす

モノのインターネット(IoT)という言葉を頻繁に耳にする昨今。IoTを活用した各種サービスを提供し、6月には東証マザーズに上場するなど進境著しいのがエコモットだ。入澤拓也社長と工藤貴史取締役(公認会計士)に三神仁美顧問税理士を交え、『FX4クラウド』によるIT統制確立のプロセスを語ってもらった。

災害検知システムの引き合いが増加中

──IoTを活用したソリューション事業を展開されています。

入澤拓也社長

入澤拓也社長

入澤 当社の立ち位置として、顧客の要望に基づくソフトウエアの受託開発よりも、付加価値の高いサービスを自社開発し運用、保守まで一貫してサポートすることに力を注いでいます。具体的には融雪システムの遠隔監視や建設現場の安全管理、災害検知に資するシステムなどを提供しています。データロガー等の機器も開発しており営業、運用担当社員の比率が高いのも当社の特徴です。

──システムの仕組みを教えてください。

入澤 融雪システムの遠隔監視サービス「ゆりもっと」では、マンションや商業施設、病院等の駐車場に設置されている降雪センサーから情報を取得し、遠隔地にいる担当者に降雪状況をメールで通知。担当者は監視カメラで現地を確認し、融雪装置を適切なタイミングで作動させられます。北海道、東北エリアを中心に約1500カ所に設置され、燃料コストの大幅な削減に貢献しています。

──相次ぐ自然災害により防災への関心が高まっていますが、災害検知のソリューションも提供されていますね。

簡易水位計測クラウド監視システムのイメージ

簡易水位計測クラウド監視システムのイメージ

入澤 河川の氾濫や土砂崩れなどの予兆をセンサーで検知し、スマートフォンなどのデバイスに情報を伝達するサービスを行っています。従来の災害検知システムは通信回線の敷設工事に高額な費用がかかり、運用開始までの期間が長期におよぶ場合もありました。
 当社の簡易水位計測クラウド監視システムなら燃料電池やソーラーバッテリーで電源を得て、なおかつ携帯電話回線網を用いることができるため、コストと準備に要する期間を抑えられます。さらにクラウドサーバーでデータ処理を行うので、サーバーが被災するおそれもありません。北海道胆振東部地震や西日本豪雨を機に、数多くのお問い合わせをいただいています。

──IT業界では人材獲得難がいわれて久しいですが。

入澤 近年は札幌市にUターンした人たちが当社のウェブサイトを見て興味を持ち、エントリーされるケースが増えています。受託開発ではなく、オリジナル製品を開発したいとの動機で志望される方が多いです。
 採用情報のページでは経営方針や仕事内容、社内部活動について詳しく紹介しています。そのため、当社サイトを通して応募してくる人は愛着心が強く、質も高い。スカイプで全国各地の志望者と面接できるので、地理的なデメリットは特段感じませんね。上場による知名度アップの効果もあると思いますが、今期は27名の社員が加わりました。

──長時間労働抑制のため、取り組んでいることはありますか。

入澤 働き方を変革するカギは、ITの活用にあると思います。とはいえ自社内のIT化が後回しになっているのも確かで、チャットツールなどを他社に制作してもらっているところです。また、テレワーク制度を導入し、開発担当スタッフには必要に応じて自宅で業務を行うよう推奨しています。私もここぞというときは自宅にこもり、プレゼンテーション用の資料づくりにいそしんだりしています。

MRツールの独自帳表で4事業部を予実管理

──昨年札証アンビシャス市場に、そしてことし6月東証マザーズに上場されました。

入澤 上場を意識しはじめたのは、ゆりもっとの受注件数が伸び、年間売上高が5億円を突破したあたりからです。ゆりもっとは不動産に設置して長期間利用いただくため、経営を安定させた上でサービスを提供する必要があります。そのためには信用力が欠かせません。資本金10万円で起業した当初より、顧問税理士の三神先生からさまざまな経営助言をいただいています。

──三神先生と顧問契約を結んだきっかけは?

三神仁美顧問税理士

三神仁美顧問税理士

入澤 共通の知人からの紹介です。女性のほうが物事をはっきり指摘してもらえると考えていたのと、創業時、母に経理業務を手伝ってもらっていた事情もふまえ、女性の税理士を探していたんです。

三神 当時は札幌市内に事務所があり、お互い開業したてでした。東京都内に事務所を移転した今も巡回監査のため本社に毎月おうかがいし、税制改正のトピックスをお伝えしたり、税務やシステム運用に関するご相談を受けたりしています。

入澤 札証アンビシャス市場に上場する半年前に税務調査がありましたが、三神先生に立ち会っていただき、とても心強かったです。

──上場に際して、内部統制など準備をどのように進めましたか。

工藤 まず着手したのは組織体制の見直しです。会社の将来の姿を念頭に置きながら、コーポレート・ガバナンス体制を整えていきました。日ごろ利用している『FX4クラウド』では、ユーザーごとに帳表印刷や部門参照権限などのアクセス権限を詳細に設定しています。また、仕訳入力や出納処理に対する承認機能も活用し、IT業務処理統制の構築に役立てています。

──以前は『FX2』を利用されていたそうですね。

入澤 上場に向けた準備のため、2015年に『FX4クラウド』へ移行しました。『FX4クラウド』を選択した理由としては、やはり三神先生から勧められたという点が一番大きいですね。毎月の会計処理をチェックいただけるのに加え、法人電子申告システム(『ASP1000R』)による電子申告まで一気通貫で処理できるので安心感があります。

──全国6カ所に営業拠点がありますが、経理業務の流れを教えてください。

工藤貴史取締役(公認会計士)

工藤貴史取締役

工藤 各拠点の営業担当者が販売管理システムに売り上げデータを入力する一方、本社ではカメラやセンサーなどの在庫を別のシステムで管理しています。それらの取引データを「仕訳読込テンプレート」を活用して『FX4クラウド』に連携。『FX4クラウド』には四つの事業(モニタリング、コンストラクション、GPS、インテグレーションの各ソリューション事業)を登録し、「マネジメントレポート(MR)設計ツール」でオリジナル帳表を作成しています。データを転記入力する手間がかからないため、作業を大幅に省力化できました。

──オリジナル帳表の内容は?

入澤 予算と実績の数字を対比したエクセルベースの資料で、毎月開催している取締役会で配布しています。とりわけ注目しているのは、現預金と借入金残高です。企業として成長期にあるととらえているため、キャッシュが滞りなく回転しているのかを重点的にチェックしています。

──10月にスマートフォンやタブレット端末で最新業績を確認できる「スマート業績確認機能」が搭載されました。

自社開発のIoTデバイス

自社開発のIoTデバイス

工藤 東証マザーズ上場に際して、証券会社と打ち合わせをするため東京に出張する機会が多かったですが、持参したノートパソコンで業績をリアルタイムに把握でき助かりました。スマートフォンで確認できれば、いっそう便利になりますね。

三神 さすがIT企業だけあって、さまざまな機能を自在に使いこなされていて、私の方が活用方法を教わっているぐらいです(笑)。

──方向性をお聞かせください。

入澤 ベンチャー企業同士がしのぎを削る分野に参入するのでなく、大企業がサービスを提供している市場に切り込むのがわれわれベンチャー企業の進むべき道だと考えています。東日本大震災以来、防災分野のサービスに注力していますが、川上から川下までサポートできる強みに磨きをかけ、これからも安心安全を実現するシステムを提供していきます。そして会社を堅実に成長させ、株主の皆さまにエコモットに投資してよかったと感じてもらえるようにしていきたいです。

企業情報

エコモット株式会社

社内は全面禁煙

エコモット株式会社

設立
2007年2月
所在地
北海道札幌市中央区北1条東2丁目5番2号
札幌泉第1ビル1F
売上高
16億2000万円
社員数
78名(パート社員含む)
URL
https://www.ecomott.co.jp/

顧問税理士 三神仁美税理士事務所
税理士 三神仁美

所在地
東京都港区南青山4丁目8-24
AOYAMA MATRIX302号

『戦略経営者』2018年11月号より転載)