導入事例 CASE STUDY
株式会社チャンプ 様
左端は木野恵理子部長
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
「アメーバ経営」を推進し
7店舗4業態を束ねるサロン
大阪、奈良に7店舗のビューティーサロンを展開するチャンプ。前田昌男社長は、来店客も利用できる託児所を設けたり、女性客のみを対象とした店舗をオープンするなど、斬新な取り組みで知られる。前田社長に木野恵理子部長、園田敦子顧問税理士を交え、多角的な業績分析を可能にした『FX4クラウド』の活用法を聞いた。
デジタルとアナログ二つのツールで集客
──運営されているサロンのアピールポイントを教えてください。
前田昌男社長
前田 一人ひとりのお客さまをさまざまな手段で美しくする「トータルビューティーサロン」をコンセプトにしています。ヘア、ネイル、エステ、アイラッシュの施術をワンストップで提供しており、スタッフ間でお客さまに関する情報を共有できるところが強みです。
──主な顧客層は?
前田 店舗のあるエリアにより若干異なりますが、30~40代の「オトナ女子」といわれる方をメインターゲットにしています。男性のお客さまは2割ぐらい。ひげなどの脱毛も行っています。
──リピーターの獲得が肝になりそうです。
前田 歯科医院と同様に、来店されたお客さまに次回のカット予約を申し込んでいただくよう、スタッフに教育しています。ヘアスタイルをキープできる期間を元にご来店時期をおすすめし、約8割のお客さまに予約を入れていただいています。
ご来店予定日の8日前に電話をかけ、ヘアスタイルのご要望をうかがっているのも当社ならではの取り組みかもしれません。ヘアスタイリストにとって、お客さまのニーズをいかに事前に把握できるかが大事。「いまどき電話?」と言われるときもありますが、双方向のコミュニケーションを図る最適のツールは、やはり電話だと思います。
──日ごろどんな集客方法を行っていますか。
4月にオープンした「ソワンドブランシュ
ライフ八戸ノ里店」は地域初の女性専用サロン
木野 サロンのウェブサイトをこまめに更新し情報発信しているほか、インスタグラムに各店舗のアカウントを開設しています。ヘアスタイリストの中には、個人アカウントでヘアスタイルの写真などを掲載しているスタッフもいて、画像にはタグとして「東大阪」「美容室」「ショートカット」等の文字をつけています。インスタグラムをご覧になって予約申し込みされるお客さまは着実に増えており、集客にソーシャルメディアの活用は必須ですね。
──人を大切にする経営を推進されていると聞きました。
前田 定休日がないヘアサロンも多く、美容業界の労働環境はあまりよくないと思われがちです。私は高校を卒業し美容師になりましたが、美容室に勤務していたころ休めるのは週に1日だけで、その休みの日も休日返上でカットの勉強会に参加するのが当たり前でした。
スタッフのやりがいを高めるには、労働環境の改善が欠かせません。当社では「三方積善」をフィロソフィーに掲げており、お客さま、社員、会社の三者を幸せにする企業を目指しています。スタッフに社会保険に加入してもらったり、託児所を設けたりしているのもその一環です。
──4月に26名のスタッフを新たに採用されたとか。
前田 西日本エリアの美容学校を中心に、訪問活動を10年以上続けています。スタッフの離職率が低く、おかげさまで美容学校の先生から当社を推薦してもらえるのが大きいと思います。
収益性分析に活用する「業態別」という切り口
──財務管理に『FX4クラウド』を利用されています。導入の経緯をお聞かせください。
前田 大阪、奈良でトータル7店舗を展開しているため、店舗数に比例して増していた仕訳入力の負担を軽減したかったのがひとつ。そして店舗別、業態別の業績を詳細に分析したかったのが二つめの理由です。顧問税理士の園田敦子先生に勧められ、従来利用していた『FX2』から移行しました。
──園田先生とは長いお付き合いをされているとか。
前田 かれこれ15年ぐらいになりますね。園田先生は当社の社員でもあり、稲盛和夫さんの主宰する盛和塾で会計の仕組みを一緒に学んだりしてきました。
園田敦子顧問税理士
園田 前田社長は稲盛さんの提唱されているアメーバ経営に長年取り組まれています。『FX4クラウド』の利用を開始する際は前田社長のご要望をふまえ、業績をできるだけ細分化して分析していただけるよう、システムの設計を入念に打ち合わせしました。
──具体的にどのような仕組みで業績管理されているのでしょう。
前田 100本部、200八戸ノ里(やえのさと)店……900託児所というように拠点ごとに3ケタの部門コードを付け、さらに店舗の下の階層に、八戸ノ里店なら201ヘア、202エステ、203ネイル、204アイラッシュ……と業態ごとのコードを設けています。
これにより店舗という切り口だけでなく、全社のヘア部門、A店とB店のエステ部門といった具合に、さまざまな視点から業績分析できるようになりました。それぞれの収益性に着目し、どの部門ががんばっているのか、言葉は悪いですがどの部門が足を引っ張っているのかがひと目でわかり、打ち手を検討する材料にしています。
──ふだん利用しているパソコンにシステムはインストールされていますか。
託児所には保育士が常駐
前田 はい。ただ《変動損益計算書》などの画面は、会議の場で経営陣と確認するようにしています。ひとりで見てしまうと原因が気になって、社員に電話をすぐかけてしまいそうですから。月に1回、われわれ3名と社会保険労務士の参加する労務財務会議を行い、『FX4クラウド』の画面をスクリーンに映しながら、印刷した店舗別の《変動損益計算書》を元に、経費の大きな変動がないか確認しています。
特に注目しているのは、粗利と店舗で販売している商品の在庫数。気になる点があればこれも毎月開催している店長を集めた幹部会議で、店長にヒアリングして変動をもたらした具体的な要因を探っています。労務財務会議と幹部会議をPDCAのように回しているイメージです。店長には一経営者のつもりで運営してほしいと話していて、各店のPOSシステムで来店客数などもチェックしてもらっています。
──仕訳入力業務の負担は減りましたか。
前田 『FX4クラウド』の「仕訳読込テンプレート」機能を活用し、POSシステムから日々の売り上げを自動で連動できるため、格段に楽になりました。入力ミスがないので、園田先生の監査の負担も減ったと思います。
──その他の効果は?
美をトータルプロデュース
前田 過去の実績数値を元に、より正確かつスピーディーに将来を予測できるようになりました。当社は12月決算ですが、12月の売り上げから次期の業績をあらかた占うことができます。ほとんどのお客さまは12月に来店され、その次は3月、6月……というように一定の来店サイクルがあります。最も忙しい年末に業績を早期に把握できるのはありがたいです。
そもそも労務財務会議を開催するようになったのは『FX4クラウド』の導入がきっかけです。以前は月次試算表のペーパーを見ながら話し合ったり、業績を細かく分析するのは難しい面がありました。幹部クラスには最新業績を公開しているので、計数意識は徐々に高まってきていると感じます。
──方向性をお聞かせください。
前田 ひと昔前のように社長の号令一下、社員を統率していく時代はもう終わったと思います。大切なのは上下関係ではなく、社員の得意分野を見極め伸ばすこと。不得意なところは補い合えばいい。私も得意でない分野はスタッフに助けてもらっています。その感覚は大事にしていきたいです。各店舗を独立した会社ととらえ、経営者感覚を兼ね備えた社員の育成にこれからも取り組んでいきます。
企業情報
株式会社チャンプ
- 設立
- 1996年7月
- 所在地
- (本部)大阪府東大阪市下小阪4-4-2 トキワビル3F
- 売上高
- 4億2,000万円
- 社員数
- 100名(グループ合計)
- URL
- https://champ-club.net/
顧問税理士 園田敦子
園田敦子税理士事務所
- 所在地
- 兵庫県神戸市中央区御幸通4-1-15
廣榮ビル4F - URL
- http://sonoda-tax.jp/
(『戦略経営者』2018年8月号より転載)