導入事例 CASE STUDY
飛田テック株式会社 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
中古鋼材相場を味方につける
タイムリーな業績把握
新潟県上越市に本社を置く飛田テックは、「循環型環境社会の創造」に向けて、鉄スクラップなどの適正処理・リサイクルを行っている。新潟県内の使用済み自動車(廃車)の再資源化にも積極的な姿勢を示す同社の飛田尚文会長と飛田剛一社長に、TKCの『FX4クラウド』の活用法などを聞いた。
──リサイクル関連の事業をされているとか。
飛田尚文会長
飛田会長(以下会長) 鉄鋼資源のリサイクル、産業廃棄物の中間処理、中古自動車部品のリサイクルの3本立てで行っています。これらの事業を通じて「循環型環境社会」を創造することが、われわれの目指しているところです。
──リサイクルの流れを教えてください。
飛田社長(以下社長) 鉄スクラップおよび産業廃棄物については、鉄工所、建物解体現場、工場などから収集・回収し、当社のリサイクル処理工場に運びます。工場内には、鉄板や建築鋼材などを切断するためのギロチンや、破砕するのに使うシュレッダーのほか、アルミ缶などを圧縮するプレス機などの各種機械があります。それらを用いて、再資源化が可能なサイズ・形状に加工処理をしたうえで、新たな製品の材料として出荷します。
会長 処理施設については、上越市内にある「本社ヤード」のほか、新潟市内に「新潟支店」があります。
──こちら(本社ヤード)の敷地は本当に広いですね。北陸新幹線も停まる「上越妙高駅」から歩いて数分の場所にあるとは思えないほどです。
社長 約5万平方メートルの広さがあります。周囲への騒音・防振対策にも配慮しており、例えばギロチンと床の間に「コイルバネ防振装置」を設置し、振動を最小限に抑えるといった工夫を施しています。
──一方で、中古自動車部品のリサイクルについてはどのような流れで行われているのでしょうか。
飛田剛一社長
社長 自動車ディーラー(販売店)などから回収した廃自動車を解体し、リサイクルできそうな部品についてはきれいに磨くなどして、中古パーツとして再販します。主に「新潟オートリサイクルセンター」(上越市)と「新潟オートリサイクルセンター下越」(新潟市)の2拠点でそれらの作業を行っており、販売に関してはそれぞれに併設する「gogoRパーツショップ」が窓口になっています。2017年3月には、ショップ単独の形態で新潟市内に「桜木店」も開設しました。中古タイヤをはじめ、アルミホイール、カーナビ、カーオーディオなど各種中古パーツを取りそろえています。
──創業は1953年でした。
会長 最初は「富山商会」の名前で創業し、1973年に「富山物産」として法人化しました。いまの「飛田テック」の社名に変更したのは2008年。本社工場を現在の場所に移転したのもこのタイミングでした。
野口英理税理士 飛田テックさんは、新潟県から「優良リサイクル事業所」として表彰されたこともあるなど、県内屈指のリサイクル業者として発展を遂げています。
──リサイクル事業を行っていく上でのポリシーは?
会長 「法令順守」がとりわけ重要になると思っています。悪い評判が立とうものなら、仕事が入ってこなくなる恐れがあるのです。コンプライアンス重視の経営をこれからも大事にしていきたいと考えています。
──国内では再利用が難しいレベルのスクラップを海外に輸出することもされているとか。
社長 アジアを中心に輸出しています。直江津港の一画に、一時保管のスクラップヤードをもつ「直江津港シッピングセンター」を設けたのは、そのためです。2016年6月には、新潟県内で初めて1万トン級の海外輸出を行いました。このときの相手国はバングラデシュです。
各事業所の1日の「取引量」を翌朝パソコンで確認
──税理士法人経営ブレイン(代表・小林富佐夫税理士)と顧問契約を結ばれた経緯を教えてください。
会長 会社の規模が大きくなり、以前の会計事務所では対応が難しいということで紹介されたのがきっかけでした。1999年以来ずっとお世話になっています。
──当初は『FX2』を使っていたそうですね。
野口英理税理士
野口税理士 顧問契約をした初年度から使ってもらっています。その後、『FX4(従来版)』を経て、『FX4クラウド』に切り替えました。
『FX4』に変えることにしたのは、飛田会長からの「各事業所の日々の取引量(仕入れ・売上高など)や、それに応じて変化する会社の業績をリアルタイムに知りたい」というリクエストからでした。ちょうど〝IT革命〟といった言葉が出てきた頃で、そろそろ技術的にできるのではないかという思いが飛田会長にはあったようです。
ただ、いろいろ見積もりを取ったところ全部で2000万円くらいの投資が必要になると分かり、まずは販売管理システムだけを導入することにしました。そしてその2年後(2007年)に『FX4』を導入し、飛田会長が朝出社してパソコンを開くと各事業所の前日の取引量や業績の推移を確認できる体制を築くことができました。スタンドアロン型のシステムである『FX2』では各事業所の情報を一元管理するのは難しいのですが、ウェブ上で複数拠点を結べるネットワーク型の『FX4』ならばそれが可能でした。
会長 鉄スクラップなどの相場は日々変化します。安くなったときに仕入れて、値段が高くなったときに売ることができれば、それだけ多くの利益を獲得できます。反対に、値段が高いときに仕入れて、安くなったときに売ってしまったら損をしてしまう。そうした理由から、各事業所の取引量を可能な限りタイムリーに知っておくことが重要になってくるのです。
──それにしても、前日の取引量が翌日の朝に分かるというのは、かなりのスピードです。どんな工夫で実現したのですか。
野口税理士 各事業所の仕入れや売り上げの情報を、『FX4』に仕訳データとして取り込む必要があります。これを手入力で行っていたら膨大な作業量になりますが、販売管理システムにあるデータを『FX4』側に仕訳連携させることにより、入力の手間を大幅に軽減することができました。
棚村智・総務部長 いまは『FX4クラウド』の「仕訳読込テンプレート」機能を使って、この仕訳連携を行っています。
仕訳連携によって販売管理システムの入力データだけをチェックすれば済むようになり、総務部としてはうれしい効果でした。販売管理システムと『FX4クラウド』の入力データは同じという前提があるので、入力誤りがないかチェックする必要がなくなりました。
また、販売管理システム以外の仕訳についても、『FX2』利用時は、入力担当者が一人でやらざるを得なかったため非常に負担が大きかったです。今は分散入力で効率的になり、経理担当者の引き継ぎがあった際も、スムーズに対応できています。店舗の仕訳は、遠隔地入力により、店舗担当者が入力し、業務分散にも努めています。
グループ4社にも『FX4クラウド』を導入
──ほかに『FX4クラウド』導入の効果を挙げるとしたら?
敷地面積5万キロ平方メートルの「本社ヤード」
棚村 「支払管理」機能によって、経費支払いの資金繰りが自動作成され、インターネットバンクへの入力の作業が削減されたということがあります。支払い時の仕訳も自動計上でき、非常に楽になっています。
こうした効果を得られたことを受けて、グループ企業にも『FX4クラウド』を導入しました。現在、介護サービス事業を行う「リボーン」、建設業を営む「廣川組」、上越妙高駅近くにビジネスホテルを建てる計画を進めている「飛田観光開発」を含めた飛田グループ4社で『FX4クラウド』を活用しています。
──ところで経営計画(予算)は策定されていますか。
社長 事業部ごとに単年度の計画を作っています。毎月の社内会議では、予算と実績の差異がなぜ生じたかなどを検討するなど、「予実管理」を実践しています。
──今後の展開についてはいかがでしょう。
会長 新潟県内における市場シェアをさらに高められるよう努めていくことが当面の目標です。地域のみなさんの信頼をいかに獲得できるかが、その鍵を握ります。「循環型環境社会の創造」に向けて、これからも精いっぱい取り組んでいくつもりです。
株式会社リボーン
介護事業を手掛けるグループ会社では「MR設計ツール」を有効活用
左が飛田泰二専務
厚生労働省のくるみん認定を受けるなど、従業員の子育て支援にも積極的な「リボーン」は、介護サービス事業を行う飛田テックのグループ企業だ。経営の多角化を目指して、1996年に設立された。訪問入浴介護サービスを皮切りに、福祉用具貸与・販売、訪問看護、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)、グループホームなどにも、サービスのすそ野を広げていった。
上越市には「スローライフやまと」や「スローライフもんぜん」、糸魚川市には「スローライフおしあげ」、妙高市には「スローライフくりはら」といった具合に、3市に複数の拠点を置いており、地元の人たちから熱い視線を向けられている。
飛田泰二専務は、「これら多岐にわたる介護事業と、複数の拠点ごとの業績を個別に把握するうえで『部門の階層管理』や、部門横断的な『部門グループ別管理』も行えるTKCの『FX4クラウド』は実に重宝しています」と語る。
リボーンでは、『FX4クラウド』のデータを使用したオリジナル帳表がエクセルで簡単に作成できる「マネジメントレポート(MR)設計ツール」機能を活用して、独自の経営資料を作成。各種介護サービスの「売上高」「利益」「人件費」などが一覧で見られるリストのほか、拠点ごとの「訪問入浴売上高」や「福祉用具レンタル売上高」等が表示されたリストなどがある。
同社では、これらのオリジナル帳表を毎月開催する「スタッフ会議」の資料とし、さらなる業務改善に役立てているという。新潟県内唯一の株式会社による認可保育所も運営するリボーンの今後に注目したい。
企業情報
飛田テック株式会社
- 創業
- 1953年3月
- 所在地
- 新潟県上越市中箱井47番地1
- 売上高
- 62億円(グループ単体)
- 社員数
- 約170名(同)
- URL
- http://hidatec.co.jp/
顧問税理士 税理士法人経営ブレイン
小林富佐夫/野口英理
- 所在地
- 新潟県上越市北城町4丁目6番8号
- URL
- http://www.ka-brain.com/
(『戦略経営者』2018年7月号より転載)