導入事例 CASE STUDY
株式会社カスタムグラビア 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
理想の経理体制を築いた
国内屈指のグラビア製版業者
グラビア印刷に欠かせないシリンダー(版円筒)を製造しているのが、福岡市に本社を置くカスタムグラビアだ。東京や大阪にも工場をもつ、国内屈指のグラビア製版会社である。寺﨑嘉郎社長が注力してきたのは、「高品質な製品づくり」。それを会計面から支えるのがTKCの『FX4クラウド』である。
全国3カ所の生産拠点でシリンダー製造にあたる
──事業内容をお聞かせください。
寺﨑嘉郎社長
寺﨑 グラビア印刷に用いる金属製のシリンダー(版円筒)の製造をメインにしています。なかでも食料品等の軟包装資材(ソフトパッケージ)の印刷に使うシリンダーを得意としています。それを、例えばパンや菓子などのパッケージを製作しているコンバーター(加工業者)さんに納品しています。
──グラビア印刷というのは……。
寺﨑 凹版印刷の一種です。シリンダーの表面(版面)には小さい凹型のくぼみ(セル)があり、そこにインクが入るようになっています。その溝の大きさ・深さを変えることでインクの密度を変化させ、色の濃淡を表現していきます。微妙な濃淡を表現できることから、特に写真画像を印刷するのに適しています。
──グラビア印刷のなかでシリンダーはどんな役割を果たしているのでしょうか。
寺﨑 グラビア印刷機の機構は①給紙部②印刷ユニット③巻取部の3つに分けることができます。シリンダーは、そのうちの②印刷ユニットの中に組み込まれ、思い通りの絵柄を印刷するうえで重要な役目を果たします。
──シリンダー製造の流れ(工程)を教えてください。
高品質のシリンダー製造が行われている福岡の本社工場
寺﨑 まずは母材となる金属ロール(ベースシリンダー)を作成します。「新管」を一から作って表面に銅メッキを施す場合と、「旧管」の古い銅メッキをはがして、新しい銅メッキをつける場合の2パターンがあります。
そして、次に製版の工程となります。製版には2種類あり、「レーザー製版」と「彫刻製版」です。レーザー製版は、レーザービームでシリンダーの表面に図柄を照射していく方法。彫刻製版は、電子彫刻機でシリンダーの表面に図柄を彫っていく方法です。どちらもデジタル製版データをもとに、オートメーションで行っています。
続いて、硬度が低い銅メッキ膜を保護する目的でクロムメッキを表面に施す工程を経て、検品作業に移ります。検品では、シリンダーにピンホールや傷がないか等を目視で確認したり、校正刷りをして不具合がないかをチェックします。
──全国に製造拠点が3カ所あるそうですね。
寺﨑 本社工場(福岡)、東京工場、大阪工場の3つです。もともと当社は福岡で1963年に創業し、その後1986年に大阪工場を設立。さらに、発注元が多かった関東に東京工場を開設しました。
──グラビア製版のシリンダーでは業界でどのくらいのシェアをお持ちなのですか。
寺﨑 コンバーターさんが自らシリンダーを作っているケースもあるため、正確にはよく分かりません。ただグラビア製版の専業者で工場を3カ所以上もっているところは、うちを含めて3社しかありません。専業者だけに限れば、全国でも3本の指に入ると思います。
──会社の経営戦略として、特に力を入れていることは何でしょう。
寺﨑 一番は、高い品質を保持していくことですね。そのためにも機械設備の充実は欠かせません。例えば福岡工場では、レーザー製版を自動化する最新鋭のロボットを8台入れて省力化を図ってます。また、目視ではなかなか見つけられない傷を探知できる検品用の機械を新たに導入するなどして、品質の保持と作業の効率化に努めています。
脱・スタンドアロン型を目指してシステムを移行
──『FX4クラウド』を導入した経緯は?
村田研也・管理本部本部長 顧問税理士の緒方(弘昭)先生から提案されたのが、最初のきっかけです。
緒方弘昭税理士
緒方税理士 導入したのは、2015年8月でした。それまでは『FX2』を活用されていました。
村田 以前は『FX2』をインストールしたパソコンを本社工場用に1台、東京工場用に1台、大阪工場用に1台と、それぞれの工場ごとに用意していました。その合計3台を、本社の事務スペースに置いていたんです。つまりスタンドアロン型で各工場の業績を管理していたわけです。だから、調べ物をしたり、帳表を出力する際には「東京工場はこのパソコン、大阪工場はこのパソコン……」と、いちいち席を移動して操作をしなければなりませんでした。そして当然、カスタムグラビアという会社全体の数字をシステム上で見ることもできない。3台のパソコンから切り出した数字をエクセル等で合算させることではじめて統合資料ができあがるような状態でした。
──そこで『FX4クラウド』への切り替えを考えたわけですね。
村田 ええ。スタンドアロン型をやめて、クラウド上のネットワークで複数台のパソコンがつながっているシステム構成へと移行しました。『FX4クラウド』で会社全体の業績をタイムリーに把握できるほか、部門別管理機能を活用して従来通り3工場ごとの業績もつかめるようにしています。
村田研也本部長
寺﨑 工場ごとに業績管理をしていたのは、かつて事業部制を敷いていた頃の名残でした。各工場が独立採算制のもとに事業を行う体制を志向していましたが、今はそれを逆に統一化させる方向にあります。
──現在、経理業務は何名のスタッフで担当しているのですか。
村田 私を含めて4名です。いまは経理スタッフ一人ひとりのパソコンで、本社工場、東京工場、大阪工場のさまざまな会計データを見ることができます。調べ物をする際にも1台のパソコンで完結できるので、ずいぶん効率的になりました。
また、仕訳ルールや「摘要」の入れ方の統一化が進んだことも『FX4クラウド』導入のメリットと言えます。以前は、複数台のパソコン、あるいは工場ごとにシステムが独立していたことから、各担当者によって仕訳入力のやり方が微妙に違っている部分がありました。でも今は、自分のパソコンで他の工場がどのような仕訳を行っているか等を簡単に確認できるため、仕訳ルールの統一が進んでいます。業務システムとの「仕訳連携」で効率化
最新鋭のロボットを8台入れて省力化を図る
──仕訳入力の合理化を図るため、業務システムとのデータ連携を行っているそうですね。
村田 TKCの『SX4クラウド』(戦略販売・購買情報システム)で管理している原材料(金属や薬品)等の仕入れデータと、『PX4クラウド』(戦略給与情報システム)で管理している従業員の給与データを『FX4クラウド』に仕訳連携させているほか、製品の売り上げデータを管理する当社の基幹システムとの連携についても「仕訳読込テンプレート」機能を使うことで実現しています。現在、手入力しているのは小口現金くらい。1カ月あたり3000件以上ある仕訳の入力作業のほとんどが自動化されています。
──すごいですね。
村田 従来は『SX2』や『PX2』などの業務システムから抜き出した科目ごとの合計金額を『FX2』に手入力しているだけでしたので、会計ソフトに詳細なデータが蓄積されることがありませんでした。今はそれぞれの業務システムがもつフルデータを『FX4クラウド』に集約することにより、「マネジメントレポート(MR)設計ツール」を活用した管理資料作成の範囲が飛躍的に広がっています。毎月の役員会における報告用の資料として、「月次財務等要約書」や「月次部門別キャッシュフロー計算書」などのオリジナル帳表を作っています。
──『FX4クラウド』の導入によって、社内の経理体制が相当変わった感じですね。
村田 ずいぶん業務スピードがアップしていると思います。『FX2』利用時よりも月間仕訳数が格段に増えているにもかかわらず、人員や残業時間を増やすことなく経理業務を回せているのは、間違いなく『FX4クラウド』のおかげです。
緒方税理士 『FX4クラウド』に切り替えたことで、会計事務所のパソコンからもカスタムグラビアさんの経理情報を見ることができるようになりました。おかげで、月次巡回監査のときに仕訳が正しいかどうかをチェックするのに割いていた時間が相当短くなっています。いろんな意味で業務の効率化が進んだのは間違いありません。
寺﨑 顧客の注文に確実に応えていくのが、当社のポリシーです。社内の業務効率を高めていくことは、短納期かつ高品質を実現するうえで重要なこと。今後もこうした部分にさらに磨きをかけていきたいと思っています。
企業情報
株式会社カスタムグラビア
- 設立
- 1963年4月
- 所在地
- 福岡県福岡市東区箱崎ふ頭6丁目6-47
- 売上高
- 35億円
- 社員数
- 約200名
- URL
- http://www.custom-net.co.jp/
顧問税理士 緒方弘昭税理士事務所
税理士 緒方弘昭
- 所在地
- 福岡県福岡市中央区舞鶴3丁目7-13
大禅ビル301 - URL
- http://www.ogatatax.com/
(『戦略経営者』2018年6月号より転載)