導入事例 CASE STUDY
福岡丸本株式会社 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
経営計画を現場に落とし込み
50年間黒字決算を続ける
包装資材業界の草分け的存在として知られる福岡丸本。青果類の鮮度保持に役立つ機能性包装フィルムなど、オリジナル製品の開発にも力を注ぐ。山本正和社長は計数管理をベースにした経営を実践。会計参与である中込重秋顧問税理士の助言のもと緻密さに磨きをかけ、信用力の向上を図っている。
多彩な自社製品を開発し全国に取引先を広げる
──50年をこえる業歴をお持ちです。
山本正和社長
山本 日本で包装資材を扱う会社が生まれたのがおよそ60年前といわれています。当社は、長崎県に本社を構える株式会社丸本の販売拠点として設立されました。私は3代目社長に当たります。
──当初から会社を引き継ぐ意思はあったのでしょうか。
山本 あまり強く意識していたわけではありません。大学を卒業後、一般企業に就職しマーケティングの仕事に携わりました。その後、プラスチック加工業や農業、税理士事務所の職員などさまざまな職業を経験しました。先代社長である父から事業承継を打診されたのが2005年です。突然の出来事でしたが、なんとかなるのではという気持ちで引き受け、福岡丸本に入社しました。
──取り扱っている包装資材を教えてください。
山本 主として販売しているのは、パンなどの食品類や青果類を対象とした包装フィルムです。お客さまのニーズに見合う包装方法、デザインを提案し印刷、ラミネート加工を施して出荷しています。印刷業界では大手2社で25%ほどのシェアを占めているため、同じ土俵で争わず独自製品の開発に力を注いでいるところです。
──独自製品とは?
自社製品のアイパッカー(左)と、アイスリットにより
開封せずに加熱できるパッケージ
山本 多機能包装フィルム「アイスリット」はそのひとつです。アイスリットのフィルムには微小な切れ込みが入っていて、ガスや水蒸気を透過しやすくしています。
メリットは包装物の鮮度保持につながる点。内部を低酸素、高二酸化炭素の状態にして青果類が劣化するのを抑制できるため、特に海外市場などに展開されているお客さまから喜ばれています。そのまま電子レンジに入れて加熱できたり、発酵食品の液漏れを防止できるといったメリットもあります。
──包装を自動で行う機材も販売されているとか。
山本 15年ほど前に「アイパッカー」という回転式の包装機材を開発しました。ホウレンソウなどの軟弱野菜やナスの袋詰め作業は、フィルムに野菜が貼り付いたりして骨の折れるもの。この機材を用いると効率的に袋詰めができ、なおかつボリューム感があり見栄えのする包装に仕上がります。アイパッカーのほかにも包装作業の省力化を図る機材を複数取り扱っています。
──販売ルートは?
山本 各地の農協を通して販売し、生産農家に利用いただくケースが多いです。一般的な自動包装機は高額で、ラインを組むと費用が1000万円ぐらいかかる場合もありますが、アイパッカーは5万円ほどと、個人の生産農家の方にも導入しやすい価格設定にしています。
──オリジナル製品の開発により、事業面でどのような効果がありましたか。
山本 従来は取引先のほとんどは九州のお客さまでしたが、関東、東北エリアまで取引先を広げることができました。包装機材のメンテナンスは、大分営業所の社員が担当しています。
ステークホルダーを招いた決算報告会で業績を公開
中込重秋顧問税理士
──税理士法人中央総合会計事務所の中込重秋税理士が会計参与(※)に就任しています。狙いをお聞かせください。
山本 福岡丸本に入社して半年後に社長に就任したため、取引先をはじめ社外の人々が不安を抱いているだろうと思ったんです。中込先生から会計参与制度の内容を紹介されたとき、お客さまに安心感を与える仕組みになるのではと、非常に魅力を感じました。
中込 会計参与に就任して8年ほどになります。特筆されるのは創業赤字をのぞいて、50年以上にわたり黒字経営を続けているところ。創業当時からのお付き合いですが、経営計画を策定し、会計データを経営に生かす取り組みを一貫して実践されています。
──会計参与を設置してどんな点が変わりましたか。
すべての株式会社は定款で会計参与を設置する旨を定めることができます。会計参与は主に中小の株式会社の計算関係書類の記載の正確さに対する信頼を高めるための制度です。
会計参与は、取締役や監査役と同様に株式会社の役員ですが、他の役員とは独立した立場を維持しつつ、取締役と共同して計算関係書類を作成します。また、会社とは別にその計算関係書類を5年間備え置いて、会社の株主や債権者の請求に応じて、閲覧や謄本等の交付に対応することが義務づけられています。
- 計算関係書類の作成
- 会計参与報告の作成
- 株主総会などにおける説明
- 計算関係書類の備置き
- 株主・債権者への開示
(株主・債権者の求めがあった場合) - その他
山本 近隣ホテルの会場を借り、定時株主総会後に毎期「決算報告会」を開催するようにしました。出席者は取引先企業や金融機関担当者、中込先生、中央総合会計事務所の野津さん、当社幹部社員を含めて20名以上。私が決算内容と経営計画を説明し、そして社員が具体的な新年度の取り組みを発表しています。損益計算書、貸借対照表などの決算書類を配布するほか、月次巡回監査で相談した内容を中込先生が「会計参与報告書」というレポートにまとめ、説明していただいています。6月決算のため例年9月末に開催していましたが、ことしは前倒しして9月7日に開催する予定です。
中込 常に1年先を見すえてスケジュールを組むことを心がけており、例年9月には当年度のスケジュールが確定しています。単に経営計画を策定するだけでなく、日付を決めて各人の行動計画に落とし込むことが肝要です。
野津 社員の方々が成長し、決算報告会の内容が回を重ねるごとに充実化しているのを感じます。
──周囲からの評価はいかがでしょうか。
山本 金融機関の担当者に出席してもらい、当社の事業の中身を把握していただいている効果は大きいです。融資を申し込む際、低金利で借り入れでき、先方から融資を打診されることもあります。
──経営計画を社員に発表する機会は設けていますか。
山本 全社員が参加する全体会議で計画の内容を詳しく説明しています。品質管理や海外展開など七つの委員会組織が社内にあり、社員が具体的な行動計画を討議しています。部署単位で週間ミーティングを行い、進捗(しんちょく)を確認し、打ち手を検討するというのが期中におけるサイクルです。
社内組織を3階層で管理詳細な業績分析が可能に
野津圭二監査担当
──『FX4クラウド』での業績管理方法をお聞かせください。
山本 約200件登録している取引先ごとの収益を把握できるようにしています。当初は『FX2』を利用していましたが、より詳細に業績分析できるシステムとして野津さんから『FX4クラウド』を提案されました。特に日常的にチェックしているのは売上高の推移です。自分のパソコンでシステムを起動して、増減の要因となる項目を課、営業担当者、取引先……というように掘り下げて追究しています。
野津 日々の仕訳入力では「仕訳読込テンプレート」を利用して、販売管理システムに入力済みのデータを仕訳連携することで、業務効率を高められました。
──活用を予定している機能は?
アイスリットは商標登録済み
山本 今後の課題として野津さんに相談しているのが『FX4クラウド』のアクセス権の設定です。全社員が『FX4クラウド』にアクセスし、取引先ごとの収益をリアルタイムで把握できるようにしたい。また「TKCモニタリング情報サービス」を活用し、決算書データを金融機関に送信していますが、月次試算表も送信できる体制にしていきたいですね。
──新製品を発売する予定はありますか。
山本 特許出願中であるアイスリットを取り入れたセロハンテープの製品化を目指しているところです。市販のセロハンテープには金属のテープカッターが付いていて、けがの要因になっています。アイスリット入りのテープなら、テープカッターを使わずに容易に切ることができます。九州大学の研究室と共同研究し、カッター部分を最適な形状にしました。製品化した暁には幼稚園や学校、食品工場、薬品メーカーなどに提案していきたいと考えています。
企業情報
福岡丸本株式会社
- 設立
- 1966年6月
- 所在地
- 福岡県福岡市東区多の津3-11-16
- 売上高
- 23億円
- 社員数
- 27名(パート他含む)
- URL
- http://www.fukumaru.com/
顧問税理士 税理士法人中央総合会計事務所
税理士 中込重秋
- 所在地
- 長崎オフィス
長崎県長崎市宝町5番5号HACビル内 - URL
- http://www.hacg.jp/
(『戦略経営者』2018年5月号より転載)