導入事例 CASE STUDY
ブリリアージュ 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
事業内容を熟知した税理士が
円滑な資金調達をサポート
著名なヘアメイクアップアーティストの嶋田ちあき氏がプロデュースする化粧品ブランド「ブリリアージュ」。人気ナンバーワンの化粧下地を中心としたベースメイクラインを中心に多彩な商品をそろえる。経営に信頼性をもたらす上で欠かせない存在となっているのが、「精神的支柱」と宮下浩一社長が表現する会計参与である。
40代をコアターゲットに多様なブランド戦略を展開
──「ブリリアージュ」のプロフィルをお聞かせください。
宮下浩一社長
宮下 オーナーであるヘアメイクアップアーティストの嶋田ちあきが2009年にプロデュースした化粧品ブランドです。嶋田は長年にわたり数多くのタレントや女優、モデルのヘアメイクを担当し、信頼を得てきました。当社の中核事業は、この「ブリリアージュ」ブランドの商品企画・販売に加え、プロのヘアメイク養成を目的とした「嶋田ちあきメイクアップアカデミー」の運営の2点になります。
──ブランドのコンセプトは?
宮下 一貫して変わらないのは、素肌が美しいと思わせる肌質を表現する商品開発です。なかでも化粧下地「メイクアップベースフェイスレスポンサー」は09年の発売以来、一度もリニューアルすることなく累計125万本を売り上げました。
──ロングセラー商品ですね。
宮下 今日の礎を築いた看板商品であり、一度使うと手放せないというお客さまが多くいらっしゃいます。機能はもちろん、パッケージデザインにもこだわっています。デザインが洗練されていると使うときにテンションが上がるじゃないですか。一つひとつの商品設計において、中身だけでなく見た目も重視して開発を進めています。
──ブランドイメージを大切にしていると。
洗練されたデザインも特長
宮下 ブランディングは常日頃意識しています。美容誌やファッション誌に定期的に広告を出稿したり、メイク方法の動画や商品写真など、ビジュアル素材を自社サロンで撮影しているのもその一環。嶋田自らオーディションでモデルを審査し、アートディレクターの取締役と共に制作しています。
──テレビとインターネット通販が主力と聞いています。
宮下 創業当初は通信販売をメインに行っていましたが、実際に手にとって試してみたいというご要望にお応えするため、東京・代官山と大阪・心斎橋に直営のサロンをオープンしました。年に複数回、百貨店の催事にも出品しています。サロンではスクールを卒業した嶋田の門下生がメイクアップ方法をカウンセリングするほか、ヘアセットや眉などに関するビューティーアドバイスも行っています。
──スクールの卒業生は何名ぐらいですか。
宮下 01年に開校し、これまでにのべ3000名以上の卒業生を輩出しました。近年はタレントの方が当社の化粧品を愛用しているケースが増えており、スクールの卒業生が現場で使用しているのも一因ではないかと感じています。
──拡販するうえでインターネットの口コミも無視できません。
宮下 フェイスブックやインスタグラムなどにアカウントを開設し情報を随時発信していますが、やはり目指しているのは「お友達がブリリアージュを使ってきれいになったから私も試したい」というお客さまを増やすこと。リアルな口コミが刺さる世の中にだんだんなってきている気がします。
中立な第三者の目が会社の透明性を担保
──税理士法人新日本筒木の三浦泰(ひろし)税理士が会計参与(※)に就任されているそうですね。
三浦泰税理士
宮下 会計参与を設置したのは2期目からです。会社を設立した08年当時から、設置をご提案いただいていました。三浦先生には、会社の機関設計や事業ドメインの策定など創業計画の立案も支援してもらいました。
三浦 取締役の業務執行をけん制し、株主に報告する会計参与の役割をオーナーの嶋田さんに説明したところ、とてもいい制度だと賛同いただきました。嶋田さんが経営に直接タッチすることはありませんから。嶋田さんには四半期ごとの業績報告会に出席してもらい、直近の業績や成果を収めている取り組み、社員の方々の声などもお伝えしています。
──会計参与設置により、社外の評価は変わりましたか。
宮下 金融機関から資金調達する際、揺るぎない信頼感をもたらす要素になっていると感じます。創業時、まとまった資金が必要になりましたが、会計参与の設置を盛り込んだ事業計画を元に金融機関と交渉し、創業資金を調達することができました。その後も金融機関に定期的に業績を開示しており、運転資金をスムーズに調達できています。
すべての株式会社は定款で会計参与を設置する旨を定めることができます。会計参与は主に中小の株式会社の計算関係書類の記載の正確さに対する信頼を高めるための制度です。
会計参与は、取締役や監査役と同様に株式会社の役員ですが、他の役員とは独立した立場を維持しつつ、取締役と共同して計算関係書類を作成します。また、会社とは別にその計算関係書類を5年間備え置いて、会社の株主や債権者の請求に応じて、閲覧や謄本等の交付に対応することが義務づけられています。
- 計算関係書類の作成
- 会計参与報告の作成
- 株主総会などにおける説明
- 計算関係書類の備置き
- 株主・債権者への開示
(株主・債権者の求めがあった場合) - その他
──社内の評価はいかがでしょう。
宮下 われわれの事業には広告宣伝など、効果を数値化しづらいブランディング活動がつきもの。広告宣伝費を抑えれば、利益をもっと計上できると指摘される場合もあるかもしれません。そうしたときに会計参与という客観的な立場からお墨つきをもらえると、自信を持って旗を振れる。精神的な支えになるんです。目先の採算もさることながら、中長期の視点で成果を追求していくことも、会社の持続的発展には欠かせない要素です。
──会計参与は第三者であり、かつ会社の役員でもある緊張感をもたらす立ち位置です。
宮下 もちろん御用聞きではないので、成果を見込めない施策にはブレーキを踏んでいただいています。的確なアドバイスをいただけるのは社内のさまざまな事柄を熟知されているからこそ。三浦先生と全社員との面談は、半期に1回の重要な行事です。社員にとって自身の業務をわかりやすく伝え、評価してもらう上でも大事なプロセスとなっています。
三浦 特筆すべきは、多能工的なスタッフがそろっている点です。ヘアメイクだけでなくレッスンの講師、プログラムの開発などさまざまな仕事をこなし、かつ社員同士で進捗(しんちょく)を確認しあう風土が醸成されている。面談を通し、部署をこえてお互いの仕事を気にかけ、能動的に考えられるスタッフがそろっているのがよくわかりました。
──会計システムを『FX2』から『FX4クラウド』に最近移行されました。背景は?
宮下 従来、3名のスタッフが小口現金や売掛金など、取引の種類によって仕訳入力を分担していました。しかし、巡回監査の日までに入力が終わっていないときがままあったんです。入力がタイムリーに行えないと、業績把握がどうしてもおくれてしまう。『FX4クラウド』なら複数台のパソコンから仕訳を分散入力できるし、業務を効率化できるぶん、浮いた時間を他の仕事に投下できるのではと思いました。
──今後はより迅速に業績を把握できそうですね。
宮下 「銀行信販データ受信機能」を活用すると預金取引も自動で読み込めるので、仕訳入力の負担をさらに軽減できます。思い立ったときにノートパソコンを開いて広告宣伝費の推移を確かめたり、備品にかかった費用を調べたり、直近の業績を確認したい場合があります。出張先でタブレット端末から画面を確認できるようになれば、いっそう便利になりますね。
信頼性の高い決算書が評価され、
取引金融機関から贈呈された表敬状
──今後の方向性についてお聞かせください。
宮下 ブランド事業においては、引き続きお客さまに驚きと感動を提供する商品開発を続けるとともに、海外への展開を含めた販売チャンネルの拡大に努めたいと考えています。
スクール事業については、一般の方向けのメイクアップレッスン「基礎メイク力向上講座」をさきごろ開設しました。プロのメイクアップアーティストを目指す人は減少傾向にある一方で、きれいになりたいという女性のニーズは不変のもの。スクール運営で培ってきたノウハウを生かし、お一人お一人に合った魅力を高めるメイク方法をご案内しています。当社の化粧品とメイク技術を世の中に広め、女性の心を豊かにしていくのがわれわれの変わらないミッションです。
企業情報
直営サロン
ブリリアージュ マキエ 代官山本店
ブリリアージュ
- 設立
- 2008年10月
- 所在地
- 東京都渋谷区猿楽町18-12
ヒルサイドテラスG-301 - 売上高
- 7億6,300万円
- 社員数
- 15名
- URL
- http://www.brilliage.jp/
顧問税理士 税理士法人新日本筒木
税理士 筒木 勝
- 所在地
- 東京都新宿区高田馬場2-14-26
INOビル2F - URL
- http://www.23ok.jp/
(『戦略経営者』2018年3月号より転載)