導入事例 CASE STUDY
株式会社まるやジャパン 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
低価格でも採算割れしない
新橋の人気とんかつ店の秘密
たくさんのビジネスパーソンが働いている東京・新橋のオフィス街。そこを本拠地に、『とんかつまるや』などの店名で都内11カ所に出店しているのが、まるやジャパンだ。安くておいしい料理の提供にこだわる鈴木孝治社長(50)が大事にしてきたのは、数字にもとづく経営だ。
都心のオフィス街を中心にとんかつ店を11店舗展開
──とんかつ店を多店舗展開されているとか。
鈴木孝治社長
鈴木 都内のオフィス街を中心に、現在11店舗を展開しています。
そのうち7店舗が、とんかつ定食業態の『とんかつまるや』で、①新橋駅前本店②新橋烏森口店③有楽町店④青山店⑤浜松町店⑥大手町店⑦霞が関店があります。
さらに、昼は定食業態、夜は立ち飲み業態(ハイボール&揚げ物)の〝二毛作〟でやっている『立呑(たちの)みとんかつまるや』が2店舗(⑧立呑み新橋店⑨立呑み汐留店)と、『とんかつ酒場まるや』が1店舗(⑩とんかつ酒場丸の内店)あります。
そして残りの1店舗が、弁当総菜業態の『お弁当惣菜(そうざい)まるや』。これを汐留シティセンタービル内に出店しています(⑪お弁当惣菜汐留店)。
──主な顧客層は?
鈴木 周辺にお勤めの会社員の方を一番のターゲットにしています。
──とくに人気のメニューは何ですか。
鈴木 一番人気は700円(税込み)の「ロースかつ定食」。この値段で、ごはん・みそ汁のおかわりを自由としています。都心で営業しているとんかつ店としては、かなりリーズナブルな部類に入るでしょう。お昼どきは、これを目当てに周辺の会社員の方たちが行列を作ります。ほかにも、「海老(えび)かつ定食」(800円)、「ヒレかつ定食」(1000円)などのメニューがあります。
──食いしん坊の男性には喜ばれそうですね。
とんかつ定食業態の『とんかつまるや』
鈴木 当社のうりは、「ローコスト・ハイクオリティー」な商品を提供しているところ。お値頃な価格とはいえ、高級店と変わらないやり方で調理しています。肉は塊から切ってすじを取る、ご飯は浸水してから炊く、みそ汁はしじみで丁寧に出汁(だし)をとる──。手作りを基本とした、こだわりの調理法を大切にしています。それでいて、これだけリーズナブルな値段で出しているところは、この周辺ではあまり見かけないと思います。
この流れで、夜の立ち飲み業態についてもリーズナブルな価格設定にしており、たとえばハイボールは1杯300円。一般的な居酒屋さんよりも100~200円は安いはずです。
──都心のオフィス街に出店しているわけですから、おそらく賃料(地代家賃)は高いはず。なのにリーズナブルな価格設定にしていて、大丈夫なのですか。
鈴木 たしかに賃料は高いです。ただ、オフィス街ゆえに人の数も多く、昼の食事中心に組み立てができていることから、収益はきちんと確保できています。
とはいえ、ほかの店が同じようにやろうと思っても、そう簡単にはまねできないはず。手作りを基本にした調理は手間がかかるので、それなりにスタッフの〝技量〟が問われてくるからです。
それと、鮮度の高い食材をいかに安く調達していけるかも、重要なポイントとなります。食材が高騰したり、今年6月の酒税法改正でお酒の税金があがったりしたことから、値上げに踏み切る同業者も結構います。しかし私たちは、物流や仕入れの工夫などによって、ロースかつ定食700円という価格をなんとか維持していきたいと考えています。
──そのポリシーはどこから来るのでしょうか。
鈴木 お客さまに喜んでもらいたいという思いからです。当社の経営理念は、「人に奉仕することの喜び、価値ある食への提案と挑戦」です。そのような気持ちが私の土台にあるんです。
仕訳データ入力の負担を軽減する各種機能
米田晴彦顧問税理士
──米田会計事務所と顧問契約を結んだいきさつをお聞かせください。
鈴木 私の大学時代の友人が米田(晴彦税理士)先生の関与を受けていたことから、紹介してもらったのがきっかけです。すでに14年目のお付き合いになります。
米田 飲食業は、はじめるのは簡単ですが、利益を出せる仕組みを作るまでは大変です。鈴木社長も最初のうちは働きづめでいろいろ苦労されていました。でも体育会系出身ならではの体力を武器に頑張り続け、店舗数を増やしてきました。
他社の会計ソフトからTKCの『FX2』に乗り換えたのは、そうした成長過程のなかでのこと。各店舗を部門に見立てて業績管理していくには、部門別管理の機能に長(た)けた『FX2』がよいと判断したのです。
──2年前に『FX2』から『FX4クラウド』に切り替えたそうですが、その狙いは?
鈴木 仕訳入力作業の負担を軽減することが、一番の目的でした。
西池和伸・巡回監査担当
西池和伸・巡回監査担当 仕訳データの入力はずっと鈴木社長が一人でされていたのですが、店舗数の増加にともない作業量が多くなってきたのです。かといって経理担当者を新たに入れるのもどうかと思うなかで注目するようになったのが、『FX4クラウド』でした。『FX4クラウド』には、他社業務システムとの仕訳連携が簡単にできる「仕訳読込テンプレート」の機能や、TKCのFinTechサービス「銀行信販データ受信機能」などがあります。これらをうまく活用すれば、仕訳入力の負担を軽減できると考えました。
──現在の仕訳入力の流れを教えてください。
鈴木 まず各店舗の店長に、エクセルで作った報告書(自社独自の日計表)に売上高などの数字を入れて毎日メールで送ってもらいます。と同時に、レジのジャーナル(ロール紙)を貼り付けた用紙をFAXで送信してもらう。この2つを突き合わして、数字に誤りがないかをチェックしてから、エクセルの報告書の数字を『FX4クラウド』側に仕訳連携させます。
ほかにも、「銀行信販データ受信機能」を使って、金融機関の預金取引データを簡単に仕訳計上できるようにしたり、TKCの給与システム『PX2』とデータ連携することもしています。今では手入力でデータを入れることは本当に少なくなりました。
《変動損益計算書》でFLコストをチェック
──業績管理のポイントを教えてください。
昼は定食業態、夜は立ち飲み業態の『立呑みとんかつまるや』
鈴木 各店舗の《変動損益計算書》をもとに、「売上高」「人件費」「食材費(仕入れ高)」などの数字の変化を注視しています。飲食業なので、どうしてもFLコスト(食材費+人件費)の推移は気になるところです。リーズナブルな価格設定をしながらも収益を確保できているのは、これらの数字の動きを私自身がきちんと把握しているからです。「なんでこの数字になったんだろう」と疑問に感じる数字が見つかった際には、すぐに原因を探るようにしています。
──そう言えば今年の夏は、とんかつ定食に付きもののキャベツが高騰しました。それが〝異常値〟になって出てきたりはしなかったのですか。
鈴木 たしかに野菜など、天候に左右される食材の価格には敏感にならざるを得ません。ただキャベツについては農家さんと年間契約をしており、固定した金額で取引させてもらっているので、今年の高騰については特に影響はありませんでした。
──店長を集めての業績検討会は開かれていますか。
鈴木 ええ、毎月開催しています。業績検討会では、店舗別の《変動損益計算書》などを見ながら、どうすれば店舗オペレーションのさらなる効率化を実現できるかなど、さまざまな話し合いをします。『FX4クラウド』の導入を機に、店長たちにも自分の店の業績をパソコン上で見られるようにしたのですが、それによって店長たちの数字に対する意識がまるで変わってきました。業績検討会での発言からもそれが伺えます。
──鈴木社長は数字を大事にする経営についてどうお考えですか。
鈴木 決算書はいわば私にとっての「成績表」です。これを常に良好に推移させることで、金融機関や取引先、あるいは従業員たちの信頼を獲得できる、非常に大切なものだと考えています。
米田 まるやさんの《10期比較変動損益計算書》を見てもらえば、いかに成長性に優れた会社であるかが分かりますよ。
──今後の抱負をお聞かせください。
鈴木 都心部におけるドミナント展開で、店舗数をさらに拡大していくのが目標です。その実現のためにも、東京五輪が終わる頃までには人材の採用・教育を含めた会社の組織力をもう一段階レベルアップさせたいと思っています。
企業情報
株式会社まるやジャパン
- 設立
- 2006年12月
- 所在地
- 東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館2階
- 売上高
- 約6億5,000万円
- 社員数
- 128名(アルバイト含む)
- URL
- http://maruya08.co.jp/
顧問税理士 米田晴彦
米田税務会計事務所
- 所在地
- 東京都墨田区両国2-17-3 両国高橋ビル3F
- TEL
- 03-3631-8878
- URL
- http://www.tkcnf.com/yonetakaikei/
(『戦略経営者』2017年11月号より転載)