導入事例 CASE STUDY
株式会社 プレイス不動産販売 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
「会計参与設置会社」となり
金融機関の評価を高める
不動産ネットワーク「センチュリー21」のFC加盟店として、長崎市と福岡市に出店しているのがプレイス不動産販売だ。「お客様第一主義」を前面に押し出した接客で定評ある同社は、実は「会計参与設置会社」。TKCシステムを活用した財務戦略について、鍬取修専務と会計参与の佐原徹三税理士に聞いた。
──不動産業を営まれているそうですね。
鍬取修・専務取締役
鍬取 賃貸物件や売買物件の「仲介」がメインですが、ほかにも自社で買い取りした不動産を販売する「売買」についても手がけています。また、賃貸物件の入居者から家賃を預かり、それを家主(物件オーナー)に渡すといった、不動産管理の業務も行っています。
──地元でのポジションは?
鍬取 長崎県内には財閥系などの大手不動産会社が入っておらず、小規模の不動産会社ばかりです。その中で当社の特徴といえるのは、県外に支店を出しているところでしょうか。物件も多く、九州エリアの情報が集まってくる福岡市に2013年から「福岡店」を出しています。会社代表の城島(慶)社長は、そこに常勤しています。
それと、不動産売買系のFCとしては国内最大のセンチュリー21の加盟店であることも、当社の特徴といえます。そのネットワークを生かして、豊富な物件をお客さまに紹介することができています。
もちろんFC加盟店としての名に恥じぬように接客にも力を入れており、「お客様第一主義」を徹底しています。特に不動産仲介業は、いわば「クレーム産業」だと思っています。「建物に不具合がある」「周りの部屋からの騒音がひどい」といったクレームが入ることもしばしばなのですが、それに誠意を持って対応するよう、すべてのスタッフが心掛けています。
物件仕入れのための資金調達がスムーズに
──佐原(徹三)税理士がプレイスさんの税務顧問になったのは、いつ頃ですか。
長崎店の店内
鍬取 05年のことでした。99年に会社を設立してからしばらくは、別の税理士にお世話になっていたのですが、年1回の決算申告のときだけ来てくれるような状況でしたので、会社を成長させていくためにはもっと「会計」に力を入れなければならないと思い、以前からの知り合いだった佐原先生と新たに顧問契約を結びました。
ただ、TKCシステム(『FX2』)を導入して自計化し、さらに月次決算を実施するという佐原先生の指導についていくのは最初は大変でした。そもそも専任の経理スタッフが社内にいない状態でしたので、「会計で会社を変えよう」と言い出した私が急きょその役目を担うことになりました。
──その効果は……。
鍬取 周囲からの評価がワンランク高まりましたね。佐原先生の指導にもとづいて「書面添付」(『戦略経営者』2017年5月号56頁参照)の実践をはじめると、税務署の目も変わったし、金融機関からの評価も違ってきました。じつは佐原先生の指導を仰ぐ前は、金融機関から「試算表を提出して」と言われても、すぐに用意できなかったんです。それが、月次決算をきちんと行うようになったことですぐに試算表を手渡せるようになりました。ようやく金融機関から「当たり前の会社」として見てもらえるようになったと思います。
──佐原税理士の提案で「会計参与設置会社」になったそうですね。
鍬取 ええ、13年11月に佐原先生に会計参与に就任してもらっています。
佐原 会計参与はいわば会社の内部機関で、経営者と共同して決算書を作成したりします。外部監査人である税理士とはまた違った貢献の仕方ができると思い、会計参与設置会社になることを提案したのですが、結果的によかったと思っています。先ほどの書面添付の話と同様に、金融機関の信頼獲得につながり資金を調達するうえで非常に高い効果があったんです。
鍬取 物件の仕入れにあたっては、すべてを自己資金でまかなうのは難しいところがあります。どうしても銀行からお金を借りる必要が出てくるのですが、わりとスムーズに物件仕入れ資金や運転資金を借りることができているのは、それだけ当社を信用してくれているからではないかと思っています。
「仕訳読込テンプレート」でデータ入力の効率化を実現
──佐原税理士が数ある関与先企業の中からプレイスさんを選んで、会計参与設置会社になることを提案したのは、どんな理由からだったのでしょう。
佐原徹三顧問税理士
佐原 会計に対する理解と、経営に対する取り組み方が断トツで良かったからでした。『FX2』の上位機種である『FX4クラウド』の導入をすすめたのも、プレイスさんなら上手に使いこなせると思ったからです。
──『FX4クラウド』の導入時期を教えてください。
鍬取 15年9月からです。『FX4クラウド』の導入によって、福岡支店にいる城島社長にもリアルタイムに会社の売上高や利益獲得の現状を知ってもらうことができるようになりました。クラウド型のシステムなので、インターネットを通じて同じ画面を見ることができるのです。将来的には、福岡支店でも仕訳入力の作業ができるような体制を作ることも考えています。「分散入力」できれば、さらに効率化が進むはずです。
──ほかにも導入の効果・メリットはありましたか。
鍬取 他社の業務システムとデータ連携できる「仕訳読込テンプレート」により、仕訳入力の自動化ができたことがそうです。賃貸物件の入居者が銀行に振り込んだ家賃を「預かり金」として仕訳入力する必要があり、それが毎月約800件あります。従来はその入力をパートの事務スタッフが手作業で行っていましたが、今では仕訳読込テンプレートを利用して不動産管理の専用システムの中にあるデータをワンクリックでそのまま流し込めるようになっています。
もともと不動産管理のシステムに入っている家賃のデータは、銀行のインターネットバンキングから自動で読み込んできたもの。従来はそのデータを、わざわざ手入力で『FX2』に打ち込んでいました。それがすべて自動化されたので、大幅な作業効率アップになりました。
──部門別管理はいかがですか。
センチュリー21からさまざまな賞を受けている
鍬取 2階層での管理をしています。まず1段目に①共通部門②長崎店③福岡店の3部門を設定し、②と③の下に2段目の階層として「仲介」「不動産」の部門をそれぞれ置いています。こうすることで、より細かく業績を見ることができます。
福岡店にいる城島社長とは《部門業績ランク表》を見ながら、業績の良しあしを張り合っています。自然と競争意識が湧いてきますね。もともと友人同士という間柄なので、お互い負けないようについ頑張ってしまいます。ここ数年、会社の業績が好調なのは、そうした部分もよい方向に働いているのだと思います。
──予実管理(予算と実績の管理)もされているとか。
佐原 決算検討会の場で来期予測をして、単年度計画を策定します。その数字を『FX4クラウド』に落とし込み、毎月の予算と実績のかい離をチェックしています。
──事業の展望は……。
鍬取 この先さらに不動産の売買に注力していきたいと考えています。長崎、福岡の物件だけでなく、今後はセンチュリー21のネットワークを生かして関東エリアを含めた県外でのビジネスを展開していくことも視野に入れています。
企業情報
株式会社 プレイス不動産販売
- 設立
- 1999年11月
- 所在地
- 長崎県長崎市宝町3-1
- 売上高
- 約3億円
- 社員数
- 8名
- URL
- http://www.place-fudosan.co.jp/
顧問税理士 佐原徹三
佐原税理士・行政書士事務所
- 所在地
- 長崎県長崎市中町5番23号
大久保中町第二ビル 701号 - TEL
- 095-824-0519
- URL
- http://www.sahara-plus.info/
(『戦略経営者』2017年5月号より転載)