導入事例 CASE STUDY
阪神化成工業株式会社 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
財務のクラウド化で
新鮮な経営データを入手
製薬会社の多い富山県。薬を入れるために必要なプラスチック製容器を製造している阪神化成工業の本社もそこにある。「阪神グループ」の名前で複数の会社を展開する高田順一社長(67)が業績管理に役立てているのがTKCの『FX4クラウド』だ。
さまざまな医薬品容器を自社工場で製造
──プラスチック製の医薬品容器・キャップの製造を主力にしていると聞きました。
高田順一社長
高田 小口ボトル、輸液(点滴)バッグ、点眼薬容器、噴霧容器、塗布容器など、常時200~300アイテムを手がけており、それらを医薬品メーカーなどに納入しています。ドラッグストアで見かける目薬や洗眼薬容器、あるいは病院にある消毒液や点滴の容器など、みなさんの身近なところに私たちの製品があります。
──会社のPRポイントを教えてください。
高田 いち早くクリーンルームの設備を導入するなど、厳しい品質管理が求められるお客さまの意向に即した生産設備を整えているところでしょうか。業界屈指のクリーンな環境で製造しています。
ちなみに、本社敷地内にある工場は製造品種ごとに区分けされており、24時間体制で稼働しています。第1工場は射出成形(インジェクション成形)、第2工場はボトル、第3工場は点眼薬容器といった具合にです。
──創業は1920(大正9)年と古いですね。
高田 初代(高田喜一氏)が富山市内で「高田製壜所」を創業したのが始まりです。戦後、2代目(高田眞会長)が大阪を中心に販路を開拓し、販売業務を行う「阪神容器」を設立。その後、ガラス瓶容器よりもプラスチック容器の需要が高まってきたことから、72年に阪神化成工業を設立して、富山市内に工場を作りました。
さまざまな医薬品樹脂容器をあつかう
──「阪神グループ」は現在8社で構成されているそうですね。
高田 グループの中核会社である阪神化成工業のほか、阪神容器(グループ各社の製品を販売)、北陸硝子工業(ガラス瓶容器の販売)、ファーマパック(BFSシステムによる医薬品等の受託製造)などがあります。
──グループを取り巻く経営環境はどうですか。
高田 近年、新薬よりも価格が安いジェネリック医薬品(後発医薬品)の普及を国が積極的に後押ししています。これによってジェネリック薬の受託製造の仕事を増やした取引先の製薬会社も多く、私たちにとってもまさに追い風が吹いている状況といえます。
──そうした中での経営戦略は?
高田 BFSシステムの技術をグループ内で保有していることを、「営業の武器」にしていこうと考えています。BFSシステムは、容器の製造と内溶液の充填を同時に行うことで、無菌状態で製品を作れる仕組みです。「無菌であることが必要な製品」や「単回投与での利便性・衛生性を求める製品」を作るのに適したシステムといえます。
BFSシステムを使って製造している製薬会社さんもありますが、みなさん薬を製造するのは得意でも、樹脂をあつかうことには不慣れ。「餅は餅屋」でという判断から、当社に生産を委託するケースも増えています。
自社オリジナル帳表がワンクリックで作成できる
──会計ソフトに『FX4クラウド』を選んだ理由は?
衛生管理が行き届いた富山工場内
高田 もともと税理士法人総務部さんの勧めで『FX4(従来版)』を利用していました。それをクラウド版に切り替えたのは、本社(富山工場)以外の場所からでも最新業績の確認やデータ入力ができるといった、クラウドシステムならではの利便性に魅力を感じたからです。
太田興作・顧問税理士 東京支店や御殿場工場(静岡県)の担当者が現地からデータ入力してくれるおかげもあって、阪神化成工業さんの月次決算はだいぶ早期化されています。月末に締めた後、翌月のはじめには鮮度の高い会計情報が入手できています。
──部門別管理はどうでしょうか。
門前昌志総務経理部部長
門前昌志・総務経理部部長 各工場(第1~第3工場、大沢野工場、御殿場工場など)や営業支店などを、それぞれ部門に見立てて管理しています。
なお、阪神グループの他の会社も『FX4クラウド』ないしは『FX2』を使って業績管理しています。例えばファーマパックについては、「茨城工場」「岡山工場」「BFS大沢野工場」などの部門に分けて管理しています。
──主にどんな帳表を経営判断に役立てていますか。
高田 『FX4クラウド』から出力した《365日変動損益計算書》なども見ていますが、どちらかと言うと昔からなじみのある自社独自のオリジナル帳表を見ています。
それらのオリジナル帳表は、毎月開催している「経営責任者会議」の資料としても使います。会議には、阪神グループの各工場や営業所の責任者が参加して、約5時間のミーティングを行っています。
──例えば、どんなオリジナル帳表があるのですか。
高田 各部門の「売上高」「前期同月比」「予算比」等をコンパクトにまとめた独自フォームの「損益計算書」などがあります。会議ではこれらの資料をもとに、各部門のリーダーが前月の業績を報告したり、次月の予想を発表したりします。
──オリジナル帳表はどのようにして作っているのですか。
島崎桂子・総務経理係 『FX4クラウド』の「マネジメントレポート(MR)設計ツール」を用いて作成しています。この機能を使えば、『FX4クラウド』の最新データを落とし込んだオリジナル帳表がエクセルで簡単に作れます。
以前は、これら自社独自の経営資料を手作業で作っていました。TKCシステムから打ち出した帳表に記された数字をエクセルに打ち込んでいく作業は非常にたいへんで、丸1日かかる仕事でした。ところがMR設計ツールを使ってからは、それがワンクリックで済むようになりました。一度帳表を設計してしまえば、エクセルファイルを開くだけで『FX4クラウド』の最新データが自動的にセットされるんです。本当に楽になりましたね。
毎月の「読書会」で部門間の〝垣根〟を低くする
──会議では「予算比」についても検討しているようですが、やはり「予実管理」は重要ですか。
高田 もちろんです。目標に対して実績がどうだったかを毎月きちんと確認できる仕組みを作っておくことは、いわゆる「PDCAサイクル」を回していくうえで大切なことです。
太田興作顧問税理士
太田税理士 阪神さんでは、単年度の経営計画(予算)を策定し、それを『FX4クラウド』に月別に登録するかたちで予算と実績の対比を行っています。
──単年度計画を作るうえで意識していることはありますか。
高田 十分に実現可能なものにすることが大切だと考えています。そうでなければ、「目標を達成しよう」という気持ちが入らないからです。計画を計画のままで終わらせないためにも、それが大事です。
──会社の業績を少しでもよくするために取り組んでいることがあれば教えてください。
高田 毎月の「読書会」がそうですね。組織が一体となって業績アップに取り組むためには、部門間のコミュニケーションをよくする必要があります。それに一役買っているのが読書会です。経営責任者会議に参加するメンバーがその日の朝に集まり、月刊誌『致知』(致知出版社)を読んで、感想を述べ合います。そのときに「同じ記事を読んでも、あの人はそんな風に感じるんだ」といったことが分かるようになると、仕事でのコミュニケーションが良くなっていきます。この読書会を8年間続けています。
──今後についてはいかがでしょう。
高田 この先さらに国内の人口減少が進むと、お客さまの中には海外展開を考えるところが出てくるかもしれない。それに私たちもきちんと対応できるように、人材育成を含めた準備を始めておくことも必要になってくるでしょう。いずれにしても、お客さまの信頼獲得に努めることが、われわれが目指すべき方向性だと思っています。
企業情報
阪神化成工業株式会社
- 設立
- 1972年9月
- 所在地
- 富山県富山市小中163番地
- 売上高
- 約58億3,200万円(2016年3月期)
- 社員数
- 357名(2016年4月現在)
- URL
- http://www.hansin.co.jp/
税務顧問 太田興作
税理士法人総務部
- 所在地
- 富山県富山市布瀬町南一丁目12-17
- TEL
- 076-493-0510
- URL
- http://www.ofours.com/soumubu/
(『戦略経営者』2016年9月号より転載)