西山工業株式会社 様

西山工業株式会社

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

徹底した業績管理のもと
冷温熱機器の提案営業を推進

雄大な富士山のふもと静岡県富士市に、西山工業の本社工場がある。食分野の冷温熱機器の製造を中心に事業を展開する同社を率いるのは、小林公一社長(55)。画期的なコーヒーマシンの企画開発にも携わる小林社長に、TKCの『FX4クラウド』を使った財務戦略などを聞いた。

「食」の分野を中心に冷温熱機器をODMで受注

──工場ではどんな製品を作っているのですか。

小林公一社長

小林公一社長

小林 大きく分けて、①冷温熱応用機器製造グループ②部品製造グループ③電子製造グループの3つのカテゴリーがあります。
 ①では、冷たい水が飲めるウォータークーラー(冷水機)のほか、コンビニに置いてある中華まんスチーマーやフードウォーマー(ホットスナックを温めておくショーケース)などを製造しています。飲食店で使われるジュースディスペンサーについても多くの納入実績があります。
 つぎに②については、「絞り」「プレス」「溶接」などの技術を生かして、業務用エアコン、楽器、給湯器などに使われる金属部品を加工しています。
 そして③では、業務用エアコンの室外機などに使われるプリント基板の自動ハンダ付けや組み立て加工などを行っています。

──会社の特徴・強みをあげてください。

小林 内製化比率が高いところでしょうか。冷温熱応用機器についても、設計・開発から製造・組み立てまでの大部分を自社でこなすことができます。ODM(相手先ブランドでの設計・製作)の仕事を数多く請け負っているのは、その強みがあるからです。

幅広いラインアップ

X-Shot        MS-M12T       WMS-D51P2
ロングセラーの床置き冷水機をはじめジュースなども入れられるマルチ冷水機、
緑茶エスプレッソも作れるX-Shotなど幅広いラインアップ

──受注を増やしていくための販売戦略は?

小林 昔はお客さまから「こんなものを作ってほしい」というリクエストがあって、それに応えていればよかったのですが、いまはそれが少なくなってきています。自発的にオリジナル製品を開発し、少しずつ市場の反応を見ながら売り上げ拡大のチャンスを見極めていくといった販売戦略を採っています。つまり、テストマーケティングの結果を重視する「リアル・オプション思考」を基本軸にした提案営業に力を入れています。

──自社開発したオリジナル製品にはどんなものがありますか。

小林 例えば『XShot(エックスショット)』と名付けた、家庭・オフィス向けの多機能エスプレッソ&ドリップマシンがそうです。ドリップとエスプレッソの2種類のコーヒーを作ることができるほか、緑茶やほうじ茶などのエスプレッソも楽しめます。急須でいれたものとはまるで違う濃厚なお茶をいれることができるんですよ。また、独自開発した金属製フィルター(特許申請済み)を使うことで、交換が面倒な紙フィルターを使わずにすむ点も特徴のひとつです。
 ほかにも、この商品をさらに進化させ、人の手による毎日の洗浄を不要にした業務用の全自動コーヒーマシン『Doppio(ドッピオ)』を開発し現在、コーヒーメーカーさんなどに提案を行っているところです。

「FinTech機能」で経理事務が楽になった

──花形商品といえば何ですか。

小林 どの商品もどんぐりの背比べといった感じで、特定の商品をあげることは難しいです。本当はいま売り出し中のウォータークーラーとコーヒーマシンの名前をあげたいところなのですが、会社の売り上げに貢献してくれるのはもう少し先になりそうです。強いて言えば、3つのグループそれぞれがうちの花形にあたるのかもしれません。

──各グループの売上高や利益についてはどのような方法で確認されていますか。

宮崎秀敏専務

宮崎秀敏専務

宮崎秀敏専務 『FX4クラウド』の部門別管理機能を使って、それらの数字をタイムリーにつかんでいます。①冷温熱応用機器製造グループ②部品製造グループ③電子製造グループ④管理グループの4部門に分けて管理しています。

──業績管理のポイントを教えてください。

小林 10年先のP/L(損益計算書)や、5年先のB/S(貸借対照表)などを記した数十ページにわたる「経営戦略書」(中期計画書)を作成し、その予算計画に対して実績がどうだったかを確認していきます。「会社全体」のほか、「グループ別」「機種別」「部品別」にまで細分化して、見込みと実績とを照らし合わせていくようにしています。
 ちなみに機種別や部品別の実績については、『FX4クラウド』の部門別管理で入手した各グループの実績を担当スタッフがより細かく“分解”していくことで把握しています。

──そもそもTKCシステムを使うようになったのは、どんな経緯からだったのですか。

小林 1997年にタイに進出する1年ほど前に、税理士法人トップ(代表・齋藤保幸税理士)さんに税務顧問になってもらってからです。それまではいわゆる年イチ(年1回の決算申告時のみ)の会計事務所であったため、税務調査が何度かありました。その話を知り合いの経営者にしたところ、すぐに齋藤先生を紹介されました。

──『FX2』から『FX4クラウド』に切り替えたのは昨年だったそうですね。

岩瀬貴之税理士

岩瀬貴之税理士

加藤さゆり・経理担当 伝票の数が毎月1,000枚以上あり、私一人で仕訳データを入力するのは大変でした。その話を当社の担当である岩瀬(貴之税理士)先生にすると、「仕訳読込テンプレート」機能によって他社システムとの仕訳連携ができる『FX4クラウド』があるというので、導入を検討するようになりました。いまは販売管理システムの売り上げデータを、ワンクリックで『FX4クラウド』に仕訳入力できるようにしています。

岩瀬税理士 西山工業さんでは、今年6月に提供が開始されたばかりの「銀行信販データ受信機能」(FinTech機能)を利用して、インターネットバンキングの取引データを自動受信し、それを『FX4クラウド』で自動的に仕訳計上することもしています。これもまた、仕訳データ入力の作業負担を大きく軽減しました。

加藤 入金の8割が自動化できたので助かっています。

利幅の薄い仕事を減らし限界利益率を改善

──P/Lについては、独自フォーマットのものを使っているとか。

現在開発中のコーヒーマシン

現在開発中のコーヒーマシン

小林 『FX4クラウド』から打ち出した《365日変動損益計算書》ではなく、私にとって見慣れたフォーマットの変動損益計算書に手作業で作り替えています。ただ、「マネジメントレポート(MR)設計ツール」を利用すると、『FX4クラウド』の最新データを反映させたオリジナル帳表が簡単に作れるというので、いずれはその機能を使うことも考えています。

──「限界利益」をよくするための工夫があれば教えてください。

小林 工数管理をしっかり行い、材料費と外注費のムダをなくすことがまず一つ。それと、変動費として計上している派遣社員や有期社員の人件費も大きなウエートを占めるため、この人数をどれだけ適正なものにしていけるかも重要な課題になります。人員会議を毎月開いて、各工程で必要な人数はどれくらいかを話し合っているのはこのためです。

──限界利益率を改善するために、あえて売上高を落とすこともしたそうですね。

小林 3年前に41億円という過去最高の売り上げを計上しましたが、月80時間を超える異常残業が出たり、派遣スタッフも今の2倍くらい入っていたので、限界利益率はそれほど高くありませんでした。これでは何のために無理して仕事をしているのか分からない。変動費にさえ届いてない下請け加工やODMの仕事もあったことから、そうしたものは少しずつ断っていくことにしました。その結果、売上高は30%ほど下がったものの、逆に限界利益率は大幅に改善されました。つまり、以前よりも儲(もう)けを生み出せる企業体質になったのです。

──今後はどんな展開を?

小林 当社では「おいしさKeepカンパニー」というキャッチフレーズを打ち出しています。世界で必要とされる冷温熱商品を日本国内で製造し、世界に向けて販売していくことに今後も努めていきたいですね。そのためにも、工場直販という最大のメリットを生かし、お客さまに必要とされる商品を次々に企画開発していく必要があると思っています。

企業情報

西山工業株式会社

西山工業株式会社

設立
1960年
所在地
静岡県富士市天間177-2
売上高
約27億円
社員数
約170名(パート含む)
URL
http://www.nishi.co.jp/

税務顧問 齋藤保幸
税理士法人トップ

所在地
静岡県沼津市千本緑町2-10-1
TEL
055-951-0045
URL
http://www.top-zeirishi.net/

『戦略経営者』2016年8月号より転載)