導入事例 CASE STUDY
株式会社Compass 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
リピート率90%を誇る
ネイルサロンの部門別管理
愛知県豊川市と豊橋市でネイルサロン3店舗を展開するCompass(コンパス)。「ネイルサロンは特別な飾りを爪につけるところではなく、身だしなみの一つとして社会に認められるように事業活動を行っていきたい」と語る石川都社長に、TKC『FX4クラウド』を使った財務戦略を聞いた。
顧客の心をつかむネイリストたちの接遇力
──ネイルサロン事業の内容を教えてください。
石川都社長
石川 私たちが得意にしているのは「ジェルネイル」と呼ばれるもので、ジェル状の合成樹脂をツメに塗ってUVライトの光で固めます。長い人工爪を付けなくても、絵を描いたり、ストーンを載せたりできるところが特徴です。また、マニキュアに比べて発色性が良いうえに長持ちするのも魅力の一つ。だいたい1カ月間はもちます。
──現在の店舗数は。
石川 ①CherryShell(チェリーシェル)豊川店②CherryShell豊橋店③NAILSCARRY(ネイルズキャリー)の3店舗があります。このほか『CherryShell NailAcademy(チェリーシェルネイルアカデミー)』という名前で、ネイリスト養成スクールも運営しています。
──お店で働いているネイリストさんは、みなさんスクールの卒業生なのですか。
石川 10名いるネイリストのうち、およそ半数がそうです。
──ネイルサロンを運営していくうえで、心がけていることは何でしょうか。
石川 会社の利益をあげるということよりも、お客さまの信用・信頼を獲得することを一番に考えています。とにかく「ありがとう」と言って帰ってもらえることを大事にしています。
私たちのネイルサロンでは、厳しい社内試験に合格しないとネイリストとして施術することができません。そうした技術面での信頼獲得はもちろん、ネイリストたちの「おもてなしの接客」を通じて顧客満足度の向上に努めています。リピート率90%以上を達成し続けているのは、その成果と言えます。実際、次回予約(約1カ月後)を入れてから帰るお客さまが大部分を占めています。
──リピート率90%というのはすごい。
石川社長が執筆した『リピート率
90%を実現させた人気ネイルサロ
ンの作り方』(マイナビ新書/電子
書籍)には、リピート率90%の人
気ネイルサロンに急成長した秘密
が詳しく述べられている。
石川 お客さまもすてきな女性ばかりで、クレームをいただくことはほとんどありません。ちなみにお客さまの年齢層は30~40代がメーンですが、20代後半や60歳以上の方にもご利用いただいています。
──顧客との親睦を深めるために毎年パーティーを開催しているそうですね。
石川 豊橋駅前のホテルを会場におこなった昨年(5回目)のパーティーには、60名以上が参加。社員が仕事の合間をぬって練習したダンスを披露したり、豪華賞品をプレゼントするゲームをしたり、大人の女性が楽しめるイベントを提供できたと思っています。
──いま美容業界では「値引き合戦」が激しさを増しているようですが、価格戦略をどのように考えていますか。
石川 私が長年にわたり標榜(ひょうぼう)してきたのは「戦わない経営戦略」です。つまり、値引きをしなくてもお客さまに価値を感じてもらえるようなサービスを心がけて、そもそも価格競争に巻き込まれないようにしたいと考えています。ひたすら顧客満足度の向上に努めてきたのは、そうした理由からでもあります。
──なるほど。
石川 もっというと、顧客満足度を高めるためには、先に「従業員満足度」を高める必要があると思っています。社員が満足して働いていなければ、お客さまに幸せを提供することはできないからです。美容業界では珍しく完全週休2日制を取り入れ、「年間休日125日」としているのはそのための施策の一環です。
──新規顧客を増やすための「広告・宣伝」については?
石川 ブログ、フェイスブック、インスタグラムなどのSNSをうまく活用しています。ネイリストとお客さまとのツーショット写真を載せたりするなど、お店の雰囲気がよく伝わる内容にしているのは、それが初めて来店されるお客さまの安心材料になるからです。
3人の女性店長が「経営者目線」を持つように
──会社を経営していくうえで「会計」も重要視されているそうですね。
石川 私自身が簿記1級の資格を持っていることもあり、会計の流れは大まかに想像できます。特に意識しているのは、「前年比」や「原価率」を考慮しながらの予算目標の設定です。「去年よりも売り上げを伸ばすにはどうすればよいか」「適正範囲を超えた材料(ジェル等)の使い方をしていないか」などを社員みんながしっかり理解し、毎月の目標達成に向けて頑張っていけば、おのずと業績は上向くと考えています。
──そんな石川社長が選んだのが、TKCの財務会計システムでした。
板倉具視・監査担当 石川社長のご主人は、自動車の販売会社を経営されています。石川社長は子育ての傍ら、長年その会社の経理業務を担当していて、TKCの自計化システムを使っていました。開業してすぐに『FX2』を導入したのは、そうした流れからでした。
──3年前に『FX4クラウド』に切り替えたそうですね。
山崎あゆみ店長
石川 『戦略経営者』でその存在を知り、板倉さんに相談しました。
実は以前から、各店舗が個別にデータ入力したり業績管理をおこなえる体制を作りたいと考えていたんです。クラウド型の『FX4クラウド』ならそれが可能であることから、すぐに導入を決めました。
──効果はありましたか。
石川 3人の女性店長が「経営者目線」で店舗運営にあたってくれるようになったことでしょうか。当社には専任の経理担当者はいません。日々のデータ入力は、各店長自身が毎朝おこなっています。そのうえで、店の売上高の推移などをこまめに見てくれています。
山崎あゆみ店長 少し簿記をかじったことがあるので、『FX4クラウド』の画面は興味深く見ています。店舗の売上高や限界利益などの正確な数字がいつでも見られるというのは、店舗運営をしていくうえで本当に役立っています。
「ネイリスト」単位の部門別管理体制を構築
──多角的な部門別管理を実践されていると聞きました。
石川 「部門の階層別管理」や「部門グループ別管理」の機能を使って、「事業」「店舗」「担当者」ごとの業績がタイムリーに把握できるようにしています。
ネイルスクールの様子
板倉 コンパスさんの部門設計イメージはこうです。まず①CherryShell豊川店②CherryShell豊橋店③NAILSCARRY④CherryShell NailAcademyの4つを1段目の階層とします。次に、10名のネイリストを部門に見立てて、①~④の下の階層にぶら下げます。つまり「①の下に10名」「②の下に10名」……といった具合にです。
そして、こうした階層別の「縦串」に、部門グループ別管理の機能を使って「横串」を通すようにします。すると、一人のネイリストが1カ月間のうちにどれだけ売り上げたかといったことが把握できるようになります。コンパスさんの場合、本来所属している店舗とは別のお店にヘルプで入るケースも多いため、こうしたマトリクス型の部門設計にしました。
──黒字決算を実現していくうえで必要なことは何だと思いますか。
石川 私はこれまで「戦わない経営戦略、業績の上がる会計システム、社員の自主性を育てる教育システム」の3本柱の強化に努めてきました。まさにこの3つが、黒字経営を続けるうえで必要な要素だと思っています。
──昨年から「起業サポート事業」も始められているそうですが、セミナーでは会計に関する話もされているのですか。
パーティでのハロウィンの仮装
石川 セミナーには、女性起業家やこれから起業したいと考えている女性たちが参加しています。昨年からスタートして、「SNSを使った販促」「ビジョンマップの作り方」といったテーマで数回にわたり実施してきました。会計に苦手意識を持っている人も多いので、会計の重要性に関してはきちんと伝えていくつもりです。
──今後の目標は?
石川 社員がより活躍できるステージを用意してあげるためにも、さらなる多店舗展開をしていきたいと考えています。まだまだ先の話ですが実現できたらいいですね。
企業情報
株式会社Compass
- 設立
- 2015年4月(法人化)
- 所在地
- 愛知県豊川市東名町2丁目110
- 売上高
- 3,500万円
- 社員数
- 10名
- URL
-
http://compass-cc.co.jp/
http://cs-nail-academy.com/
(ネイルアカデミー)
税務顧問 伊藤榮一
税理士法人SIC
- 所在地
- 愛知県額田郡幸田町大字菱池字昆沙門123-1
- TEL
- 0564-62-6211
- URL
- http://www.tkcnf.com/sicgroup/
(『戦略経営者』2016年5月号より転載)