導入事例 CASE STUDY
株式会社クロスフォー 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
斬新なジュエリーと計数管理で
高付加価値経営を実現
古くから水晶の産地として有名な山梨県。いまでも宝飾品産業が盛んで、宝石の出荷額は日本一を誇る。そんなジュエリー王国でひときわ目立っているのがクロスフォーだ。魅力ある商品を開発し続ける土橋秀位社長(61)にTKC『FX4クラウド』を使った業績管理のポイントなどを聞いた。
魅力的なオリジナル商品を次々にヒットさせる
──もともとは宝石の輸入卸からスタートしたそうですね。
土橋秀位社長
土橋 アメリカのジュエリースクールで宝石学を学んだ後に、1980年に創業しました。その後、90年代になるとバブル崩壊によって売り上げが最盛期の3分の1に激減。経営の危機に見舞われました。そこで「これからはオリジナリティーのある事業で一番を目指そう」と、ジュエリー(宝飾品)の製造・卸に業態転換しました。
──それから次々と独創的な商品を世に送り出していきました。
土橋 最初に大きな反響を呼んだのが、「クロスフォーカット」という新しいカット技術でした。これは、当社独自の46面体のカットを施すことによって、宝石の中心に十字(クロス)の輝きを浮き上がらせる技術です。クロスフォーカットをあしらったジュエリーは、全国で大ヒットしました。また、ピアスの針の先端を真珠やシリコンで覆った留め具『パールキャッチ&シリコンキャッチ』や、メガネに宝石を装着する『Eye Jewel(アイジュエル)』などのオリジナル商品も高い人気を得ました。
──そして今、世界的ヒットを飛ばしているのが、『Dancing Stone(ダンシングストーン)』です。
土橋 ペンダントにぶら下げたダイヤモンドがまるで踊っているかのように揺れ続けるのが、ダンシングストーンの特徴です。ダイヤモンドは光を反射して輝きます。つまりダイヤモンドが常に揺れ続けていれば、キラキラと光る状態がずっと続く。そんなアイデアをもとに私が発明したのが、人間のわずかな動き(心臓の鼓動など)をダイヤモンドの振動エネルギーに変える宝石のセッティング方法でした。ダイヤを組み込んだ部品とペンダントの本体とを接合するリングの形状に、独自の工夫があります。
2014年秋にはダンシングストーンで
山梨産業大賞(ものづくり部門)の
大賞を受賞
──まさにジュエリー業界の「イノベーション」を実現した感じです。
土橋 本当に神様の贈り物じゃないかと思えるくらい、すばらしい発明だと思っています(笑)。ちなみにこのノウハウについては、日本だけでなく米国、中国、EU、シンガポール、ブラジル……など海外の国々にも特許を出願(PCT出願)しています。
──ダンシングストーンの中核となるパーツを御社の提携工場で製造し、それを海外メーカーに提供することもしているとか?
土橋 ええ、価格のなかにロイヤルティーも含まれているため、そのパーツを使った製品は「ダンシングストーン」と名乗ることができます。そんなビジネスモデルでいま、香港にある海外子会社を営業拠点として、世界中に販売攻勢を仕掛けています。
データ入力を効率化する「仕訳読込テンプレート」
──業績管理に『FX4クラウド』を活用しているそうですが、導入のきっかけは?
土橋 以前は『FX4』(従来版)を使っていました。それを『FX4クラウド』に切り替えれば、面倒だったデータのバックアップ作業から解放されるし、そもそもデータを社内に置いておく必要もなくなります。そうした点に魅力を感じて導入を決めました。
深沢邦秀顧問税理士
深沢邦秀・顧問税理士 『FX4クラウド』なら約10年分の会計データがTISC(TKCのデータセンター)で管理されるため、バックアップデータの保管は不要です。
TISCは世界最高水準のデータセキュリティー環境を誇っており、パブリッククラウド上で管理する個人情報の保護に焦点を当てた国際規格「ISO/IEC27018」の認証を国内ではじめて取得しています。それくらいデータ管理の安全性が高いんですよ。
──日々の仕訳データ入力はどのような体制でおこなっていますか。
高山該善・経理部長 現金と預金の担当者がそれぞれいて、本社内にあるパソコンに打ち込んでいます。
また、他社の販売・購買管理システムのデータを「仕訳読込テンプレート」を使って、『FX4クラウド』側に仕訳連携することもしています。この機能を利用することにより、大幅な労力削減が実現されました。以前は入金や支払いの数字を販売・購買管理システムに打ち込む一方で、また同じ数字を会計ソフトにも入力していました。その数、毎月700件以上。いまは販売・購買管理システムに打ち込んだデータをそのまま『FX4クラウド』にボタンひとつで流し込むだけの作業で済んでいます。
──業績管理のポイントをお聞かせください。
土橋 BAST(TKC経営指標)を参考に、同業他社の黒字平均と自社の業績とを比較検討していることがまず挙げられます。現在、とくに粗利益率(限界利益率)と売上高経常利益率については、同業他社の黒字平均を大きく上回っています。おかげさまでダンシングストーンのヒットを背景に、国内の小売業者とのコラボレーションによるOEM(相手先ブランドによる生産)や、海外メーカーへのパーツ販売が好調なこともあって、ここ何年かで著しい伸びを示しています。
また、予実管理に力を入れていることもポイントの一つ。単年度計画から振り分けた毎月の目標(予算)を「ブランド別」や「スタッフ別」で管理しています。同業者のなかでわれわれくらい徹底した予実管理を行っているところはないかもしれません。
「折り返しのルール」で黒字経営を続ける
──黒字決算の達成のために重要視していることは何ですか。
自社ブランドに『クロスフォーニューヨーク』
『ダンシングエンジェル』『ダンシングハート』
がある
土橋 とにかく付加価値の高い商品を開発・プロデュースしていくことではないでしょうか。「折り返しのルール」と個人的に呼んでいるのですが、たとえば100円で作って200円で売れるような商品ばかりを取り扱っているのなら、自ずと黒字になります。少なくとも当社の場合は、そのようにして黒字経営を続けています。
──『FX4クラウド』導入による一番の効果を教えてください。
高山 「月次決算の早期化」が実現されたことですね。先述したように仕訳データを二度打ちする手間がなくなったことから、そのぶんスピードが速くなりました。
深沢 クロスフォーさんでは、月末に締めてから10営業日以内には確実に月次決算を行っています。
高山 実は、かねてより当社は株式上場(マザーズ上場)を目指しており、お世話になっている外部監査役の弁護士や公認会計士にも参加してもらって毎月「取締役会」を実施しています。その際に最新業績を反映した経営資料を配付するのですが、それを作るためにも月次決算をスピーディーに行う必要があるんです。
──株式上場は、いつ頃になりそうですか。
土橋 1年半後くらいを目標にしています。
上場したらM&Aなど、新たな取り組みに積極的にチャレンジしていくつもりです。そのうえで約5年後に売上高を150億円にすることを会社のビジョンとして掲げています。いまの当社の売上高を踏まえると途方もない数字に思えるかもしれませんが、ダンシングストーンの年間販売数がいまの10倍(360万個→3600万個)になれば十分に達成することができる。決して実現不可能な目標ではないと思っています。
企業情報
株式会社クロスフォー
- 設立
- 1987年8月
- 所在地
- 山梨県甲府市朝気1-2-60
- 売上高
- 約34億円
- 社員数
- 約70名
- URL
- http://www.crossfor.com/
顧問税理士 深沢邦秀
深沢邦秀税理士事務所
- 所在地
- 山梨県甲府市朝気1丁目1-30
- TEL
- 055-235-5533
- URL
- http://humanoffice.net/
(『戦略経営者』2016年1月号より転載)