丸新グループ様

丸新グループ

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

グループ9社の業績を
クラウドで一括管理する

「石油の国・越後」で、ガソリンやLPガスなど、ライフエネルギーの販売をメーンに事業を展開しているのが丸新グループだ。ほかにも物流サービスや自動車関連商品の販売などをグループ9社で手がける。約2年前に代表に就任した石黒義久社長がいま取り組んでいるのは「グループ経営力」の強化だ。

「昭和の石油王」がグループ創業のルーツ

──丸新グループのルーツは「石油」にあるそうですね。

石黒義久社長

石黒義久社長

石黒 当グループのルーツは、石油の国・越後において「石油精製」に生涯をかけた新津恒吉氏にさかのぼります。「昭和の石油王」とも呼ばれた人物で、昭和シェル石油の前身の一つである新津石油の創業者でもあります。その恒吉氏の事業を引き継いだのが、丸新グループを創業した新津義雄氏です。車社会の到来のなかで「石油流通」をベースに会社を立ち上げました。

──現在の事業内容は?

石黒 石油やLPガスといった生活に必要不可欠な〝ライフエネルギー〟の販売を中心に、「物流サービス」「自動車関連サービス」「設備機器・住宅関連サービス」なども手がけています。
 ガソリンスタンド(SS:サービス・ステーション)については県北部の村上市から南部の上越市まで53店舗を展開しており、ガソリンや灯油を売るだけでなく、車検、車両の整備・販売、レンタカーなどのサービスも行っています。新潟県民は世帯換算で2.1台のクルマを保有し、鉄道が発達した首都圏と比べて重要な交通手段となっています。こうした地域環境をふまえて、ガソリンだけでなく、整備や保険などの自動車関連サービスを通じて、地域のお客さまの利便性向上に役立ちたいと考えています。
 またLPガスについても、県内各地に拠点を構え、住宅やお店などに供給しています。それに伴う住宅設備機器(キッチン、コンロ等)の販売・施工も行っています。
 そして物流サービスに関しては、石油・LPガスを新潟港から県外の業者にタンクローリーで運ぶ仕事や、建材などの一般貨物をトラックで運送する仕事などを請け負っています。

──グループはいま何社で構成されているのですか。

石油製品(ガソリン)やLPガスの販売がメーン

石油製品(ガソリン)や
LPガスの販売がメーン

石黒 ①丸新(LPガス、住宅設備機器の販売、保険など)、②東西運輸(石油や一般貨物の運送・倉庫管理)、③ときわ設備(空調や水回りの管工事)、④新津石油(SS等)、⑤丸新商事(自動車用品、ギフト・日用品の販売)、⑥ムラネン(SS)、⑦丸新オートセンター(自動車の販売・整備)、⑧丸新ライフサービス(LPガスの販売等)、⑨丸新エネルギー(SS)の9社です。
 なお、グループの中核会社は①丸新です。昨年10月に子会社の丸新産業と合併し、グループ再編の口火を切りました。

──市内の観光スポットにもなっている「新津記念館」のオーナー企業でもあるとか?

石黒 新津記念館は、恒吉氏が1938年に私邸内に建てた外国人向けのゲストハウスです。フロアごとに英、仏、独の様式にまとめあげられていて、表情の異なる内装が施されています。県内初の有形文化財建造物の登録も受けている、まさに「昭和浪漫の西洋館」ですので、ぜひ一度足を運んでみてください(冬期は休館中)。

──石黒社長が代表に就任して以来、積極的に組織改革を進めているとお聞きしました。

石黒 丸新グループが「100年企業」を目指す組織になれるように、昨年4月から「グループ経営計画(9カ年)」をスタートしています。今年は第1期(3年間)の2年目に当たります。
 当面の目標としているのは、9社が有機的に連携(=協業)することでの「グループ経営力」の強化。これを実現するために、グループ各社の責任者を毎月集めて、「経営会議」を開催しています。

「部門の階層別管理」で詳細な業績データを入手

──昨年、TKCの『FX4クラウド』を導入した狙いは?

石黒 グループ経営力の強化にあたっては、(1)営業力・販売網の強化(2)財務・監査・労務体制の強化(3)教育・研修の充実の3点を特に重要なポイントとして位置づけています。『FX4クラウド』を導入したのは、(2)の具体策として掲げる「財務・会計の一括管理」を石田経理事務所と連携して進めるうえで格好のツールになると判断したからです。

石田直樹・顧問税理士

石田直樹顧問税理士

石田直樹・顧問税理士 従来はグループ各社がそれぞれ会計ソフトを使って、独立したかたちで会計業務を行っていました。グループ全体の業績については、各社の数字をスプレッドシートで集計してからでなければ分かりませんでした。ところが『FX4クラウド』なら、部門別管理機能をうまく使うことで各社の独立性を保ったまま、中核会社である丸新でグループ全体を一括管理することができるのです。

──部門別管理は具体的にどのように行っているのですか。

石黒 2階層での部門別管理をしています。1段目の階層では、①丸新②東西運輸③ときわ設備……と、グループ9社を部門に見立てて、それぞれの業績が把握できるようにしています。
 さらに、例えば①丸新の下には、「不動産」「LPガス」「商社」「保険」といった部門をぶら下げています。これが2段目の階層です。こうした「部門の階層別管理」を実践することで、より細かい業績把握ができています。

──日々の仕訳データ入力はどのような体制で行っていますか。

石黒 クラウド型システムである『FX4クラウド』は、複数のパソコンから同時アクセスが可能です。グループ各社の経理担当者には、従来通りのデータ入力作業をお願いしています。つまり、「分散入力」をしているわけです。

「MR設計ツール」でオリジナル帳表を作成する

──『FX4クラウド』導入の一番の効果を挙げるとしたら……。

物流、自動車関連、住宅関連のサービスも手がける

物流、自動車関連、
住宅関連のサービスも手がける

石黒 経営会議に用いる財務報告の資料が、各社の月次決算後およそ一週間であがってくるようになったことでしょうか。以前は1カ月もかかっていた会社もあったことを考えると、格段の進歩です。
 経営会議は、グループ各社が一丸となってさまざまな課題に取り組んでいくうえで、この先さらに重要になってくるはずです。創業当時は、採用された社員は最初にガソリンスタンドに配属され、その後、各子会社に散らばっていきました。だからこそグループの一員であるという意識を強く持ち続けることができた。ところが各社が個別に採用するようになった近年は、他のグループ会社のことをまるで知らないままに働き続けています。こうした状況を見直していくためにはどうすればいいか等についても、経営会議で話し合っています。

──よく見ている帳表・画面があれば教えてください。

石黒 「社長メニュー」から《365日変動損益計算書》をよく見ています。費用を変動費と固定費に分けたり、限界利益の動きを重要視していく管理会計のやり方は正直、まだそれほど慣れてはいませんが、会社の収益性をより正確に把握できる手法であることはきちんと理解しています。

──「MR(マネジメント・レポート)設計ツール」の機能はどのように活用されていますか。

石田税理士 『FX4クラウド』を導入する以前は、各社がスプレッドシートを使って独自様式の「月次試算表」などを作っていました。長年使い慣れた従来の様式から、なかなか離れられない社員もいるため、独自帳表が簡単に作れるMR設計ツールを駆使して、従来型のフォームでも打ち出せるようにしています。

──他社業務システムとのデータ連携ができる「仕訳読込テンプレート」についてはどうですか。

石黒 現状についてはまだですが、近い将来、ガソリンスタンドやLPガスの業務システムと仕訳連携することで、データ入力の手間を軽減したいと考えています。

──今後の展開についてお聞かせください。

石黒 電気・ガスのエネルギー自由化に合わせて新しい試みを仕掛けたり、グループ9社の総合力を生かした新たな顧客への提案をしていきたいものです。地元の雇用を守るためにも100年先まで末永く続く会社になれるよう、地固めを進めていくことが私に課せられた使命だと思っています。

企業情報

丸新グループ

丸新グループ

創業
1949年5月
所在地
新潟県新潟市中央区下大川前通3ノ町2230番地67
売上高
約200億円(グループ全体)
社員数
約400名(同)
URL
http://www.marushin-group.co.jp/

顧問税理士 石田直樹
税理士法人石田経理事務所

所在地
新潟県新潟市中央区医学町通一番町68-2
TEL
025-228-8111
URL
http://www.ikeiri.com/

『戦略経営者』2015年5月号より転載)