株式会社どうぶつ王国様

株式会社どうぶつ王国

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

緻密かつタイムリーな業績管理で
魅力的な動物園を作る

神戸湾沖に浮かぶ人工島「ポートアイランド」。そこに、花と動物のテーマパーク「神戸どうぶつ王国」がある。植物園と動物園が合体した施設は全国でも珍しい。昨年7月にリニューアルオープンして以来、予想以上の人気ぶりを誇っている。佐藤哲也社長(57)にTKCシステムを活用した業績管理のあり方などを聞いた。

従業員のホスピタリティーがクチコミを誘発する

──先ほど「神戸どうぶつ王国」の施設内を一回りさせてもらいましたが、通常の動物園とくらべて、かなりおもむきが違いますね。

佐藤哲也社長

佐藤哲也社長

佐藤 花と動物がコラボレーションした新しいタイプのテーマパークといえるでしょう。全天候型(屋内)の施設なので、快適にまわることができます。年間を通じて満開の花のもと、アルパカ、カピバラ、カンガルーなどの動物と直接ふれあえるところが大きな特徴です。
 もともとは別会社が「神戸花鳥園」の名前で営業していた施設でした。しかし経営難から民事再生法を申請。その運営権をわれわれが取得し、新たにリニューアルしたのが、神戸どうぶつ王国です。それまでの花と鳥に加えて、新たに「動物」を配置するとともに、バードショーなども一新しました。

──佐藤社長は、アニマルエスコートサービス(兵庫県福崎町)という会社の代表も務められているとか?

佐藤 アニマルエスコートサービスは、国内9カ所で動物施設の運営などをしている会社です。赤穂海浜公園内にある「動物ふれあい村」や、栃木県の「那須どうぶつ王国」などがそうです。神戸どうぶつ王国の運営会社「どうぶつ王国」は、そのグループ企業という位置付けです。
 私たちには、動物施設づくりにおける基本的な考え方があります。動物とふれあえる環境をつくるとともに、動物ショーを充実するなどして、エンターテインメント性を高めるといったものです。そのノウハウを生かし、神戸花鳥園を魅力的な施設に再生できれば、たくさんのお客さまを呼び込めるのではないかと考え、運営を引き継ぐことにしたのです。

──たしかに施設内では、子どもたちが楽しそうにカピバラや陸ガメをなでたりしていました。

佐藤 人間とのふれあいを嫌がらない動物を育てるためには、段階的なトレーニングが必要です。そのステップをきちんと踏んで訓練していかないと、大パニックになるおそれがあります。単に陸ガメを運んでくれば、明日から子どもたちにさわらせることができる、というわけではないのです。

──売りの一つであるバードショーとはどういうものですか。

佐藤 ワシ、タカ、インコなどが空中を飛び回る雄大なショーです。エンターテインメント性もさることながら、エデュケーション(教育)の要素もふんだんに取り入れていて、「鳥はなぜ飛ぶのか」「どんな翼をしているのか」「どんな生態をしているのか」などが学習できるようにしています。単なる見世物ではなく、そこに教育を盛り込むことにより、子どもだけでなく大人でも楽しめるようにしています。

──昨年7月にリニューアルオープンして以降、お客さんの入りはいかがでしょう。

園内風景

 

佐藤 神戸花鳥園のときに比べて、入場客は2.5倍に増えています。おかげさまで当初の計画以上にうまくいっています。

──マーケティングについては、どのように考えていますか。

佐藤 神戸湾沖に浮かぶ「ポートアイランド」にあるという立地は、マーケティング戦略上、決して悪くないと思っています。なにしろ鉄道や車で約15分の場所にあれだけの大人口を抱えているわけですから。さらにその周辺には大阪や西播(播磨地方西部)と、これまた大人口圏があります。京都やユニバーサル・スタジオ・ジャパンに観光に来た人たちも含めて、大勢のお客さまに立ち寄ってもらえる可能性はあるんです。そのためにもうまくマスコミを活用して自分たちの存在を広くPRしたり、お客さまのクチコミを誘発できるように、サービス強化に努めることも大事だと思っています。

──サービス強化のためのポイントは何でしょう?

佐藤 「ホスピタリティー」の精神をいかに従業員に持ってもらえるかですね。ホスピタリティーとは要するに、「見返りを求めないおもてなし」。そうした気持ちは、お客さまにしっかりと伝わるんです。テーマパークは、突き詰めれば「接客の事業」といえます。ホスピタリティーが優秀なら、まず失敗することはないはずです。

遠隔地からでも見られる「クラウド」ならではの良さ

──会社を設立してすぐのタイミングで『FX4クラウド』を導入されたそうですが、実際に使ってみての印象はどうですか。

佐藤 遠隔地からでも見られるという、クラウドシステムならではの利便性を実感しています。たとえば那須どうぶつ王国のパソコンで、神戸どうぶつ王国の業績をチェックしたりしています。私は出張が多いため、必ずしも神戸どうぶつ王国の事務所にいるとは限りません。『FX4クラウド』を選んだのは、そうした事情からでもあります。

布施淑久・総務経理課課長

布施淑久・総務経理課課長

──データ入力はどのような体制で行っていますか。

布施淑久・総務経理課課長 「売り上げ(売り掛け)担当」「経費支払い担当」「給与担当」の3人がそれぞれ分散入力していくイメージです。ここの施設は、学校や福祉関係などの団体利用が多く、どうしても売掛金などの管理が膨大になります。入力ミスを減らすためにも、複数のスタッフで分担するようにしています。

──「仕訳読込テンプレート」の機能は活用していますか。

布施 はい。施設内におよそ20カ所ある売り場(入園料、飲食、売店など)から上がってくる「売り上げ日報」(スプレッドシートで作成)のデータを、『FX4クラウド』に仕訳連携させています。日々の売り上げを手作業で仕訳処理していくのは膨大な時間がかかります。それを省力化するうえで、仕訳読込テンプレートは大いに役立っています。

きめ細かい部門別管理で経営状態をきちんと把握する

──部門別管理は……。

園内風景

布施 2階層に分けて管理しているイメージです。①共通部門(本社、施設課、植物課、動物管理課)、②入園料部門(入園料駐車場側、予約団体、年パスなど)、③飲食部門(バイキング、屋台など)、④売店部門(南売店、北売店など)、⑤遊関連部門(ふれあい券、餌やり代など)の5部門の下に、さらに細かく分けた部門(カッコ内)をぶら下げるかたちで管理しています。

──よく見ている帳表類を教えてください。

佐藤 キャッシュフローの状態が気になるので《勘定科目残高推移表》はよく見ていますね。
 あとは、利益率の推移などを知るために《365日変動損益計算書》もこまめに見ています。単年度予算を月別に登録し、その予算に対して売り上げや利益を比較した「予実対比」が一目でわかるところが気に入っています。

──収益向上のためにふだんから意識していることは?

佐藤 集客力アップに尽きますね。そのためには、飲食サービスの充実も欠かせません。おいしい食事をすることも思い出作りの大事な要素。「ここのレストランの料理をまた食べたい」と思ってもらえるようなレベルを追求しています。

布施 また、夏休み期間中などにテレビCMを流したり、広告を出したりすることも集客力を高めるには必要となります。かといって、広告宣伝費にお金をかけすぎると利益が目減りする。なので、新しい動物を公開するときなどは、新聞等のマスコミにプレスリリースを出して、取材してもらえるようにすることにも努めています。これなら無料で私たちの施設をPRしてもらえます。先日も、「動かない鳥」として知られる絶滅危惧種のハシビロコウを公開し、記事にしてもらいました。

園内風景

──「支払い管理機能」を活用されているとか?

布施 仕訳入力と連動して自動的に作成される「支払い予定カレンダー」を承認すれば、インターネットバンキングと連動する銀行振り込みデータまで出来上がる機能には、本当に助けられています。支払い業務の大幅な合理化になりました。

──将来的には「マネジメントレポート(MR)設計ツール」の利用も考えているそうですね。

布施 キャッシュフローの動きが一日単位でつかめるオリジナル帳表を作れたらいいなと思っています。今はスプレッドシートで資料を作っているのが現状ですが、MR設計ツールを使えば、より早く詳細な資料がを作ることができますから。

──今後の目標は……。

佐藤 テーマパークをやる以上、お客さまに夢を与えて、夢を持って帰ってもらえるような施設づくりに努めたいですね。そして、世界最大の動物園グループを作ることが私の夢です。

企業情報

株式会社どうぶつ王国

株式会社どうぶつ王国

設立
2014年2月
所在地
兵庫県神戸市中央区港島南町7-1-9
売上高
9億5000万円(今期見込み)
社員数
約100名
URL
http://www.kobe-oukoku.com/

顧問税理士 奥平吉昭
奥平会計事務所

所在地
兵庫県姫路市広峰2-1-2
TEL
079-226-2775

『戦略経営者』2015年1月号より転載)