共栄社 K・HOUSE様

共栄社 K・HOUSEの皆さんと温井顧問税理士

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

34店舗の横断的管理で社員の利益意識を引き上げる

ゆばと豆腐を主体にした京創作料理レストランを全国に34店舗展開している共栄社とK・HOUSE。小河原健会長(42)と小河原淳(40)社長の兄弟が重視するのは、会計データなど「数字」をもとにした経営判断。TKCの『FX4クラウド』はそのための欠かせないツールとなっている。

「朝食バイキング」で確実に利益をあげる

──飲食業がメーンだとお聞きしました。

小河原淳社長 「京都 銀ゆば」と「大地の恵」の業態名で、ゆばと豆腐を中心にした創作料理レストランを全国に展開しています。お店の数は現在34店舗。おもに大手ホテルチェーンの宿泊施設内に出店しています。あとはショッピングセンターの中などで、路面店は一つもありません。

小河原健会長

小河原健会長

小河原健会長 あえて路面店を出さないのは、いくつかの飲食会社を渡り歩いた経験のなかで、その不利益さをずっと感じてきたからです。われわれの強みは、ホテルの中に出店して確実に収益を出せるオペレーションの仕組みや、料理メニューのあり方を完全に「パッケージ化」しているところにあります。ホテルの宿泊率や喫食率から、ある程度の売り上げが読めるし、利益もしっかり出せている。ホテル側にしてみれば、うちをテナントにすれば確実に家賃収入が得られるわけです。その意味からすると、飲食業というより、小さな「装置産業」と変わらなくなりつつあると思っています。

──共栄社とK・HOUSEと、2社で展開している理由は?。

会長 ブランドで使い分けている感じです。「大地の恵」をより強く打ち出しているのが、K・HOUSEのほうです。

──大手ホテルチェーンとの信頼関係をよく築けましたね。

会長 ずばり「飲みニケーション」のおかげ、これにつきると思っています。われわれがどんな考え方で事業をしているかを知ってもらうためにも、飲みながら話をするのは大事なのです。

「京都 銀ゆば」等のブランド名で大手ホテルチェーンを中心に出店。朝食バイキングも手がける

「京都 銀ゆば」等のブランド名で大手ホテルチェーン
を中心に出店。朝食バイキングも手がける

社長 もちろんホテル側にとっても、専門の飲食店をテナントにすることにメリットがあります。とくに私たちの場合、朝食バイキングがうりのひとつで、それが非常にありがたがられていますね。
 実は、朝食が会社全体の収益を生み出すうえでの重要な要素となっています。ここできちんと利益を獲得できているため、たとえランチやディナーの客足がそれほどでもなかったとしても採算を合わせられる。朝食は、前日からホテルの宿泊率をもとにどれくらい出るかを先読みできるので、利益を出しやすいんです。

──ところで、お二人の役割分担はどうなっているのですか。

会長 基本的には、出店契約やオーナーさんとの折衝などの「渉外」を私が担当し、弟が社内のマネジメントを担当するといった感じです。某たこ焼きチェーンの本部で社員として働いていたときも、そんな役割分担でした。
 その会社で出店戦略やマーケティングなど飲食ビジネスのノウハウを学んだうえで、つぎに某豆腐メーカーが展開するFC事業を兄弟でやらせてもらいました。そこでさらに経験を積んだのち、2人で会社を立ち上げました。

──それにしても、ずいぶん兄弟仲が良いですね。

会長 今でこそそうですが、たこ焼きチェーンにいたころは相当ケンカもしました。酔っ払って入った深夜の牛丼屋で、仕事のやり方をめぐって大げんかをはじめたら、お店の人に「帰ってくれ!」と叱られたこともありましたね(笑)。でも最近は違って、取引先の社長さんなんかも「仲いいね。兄弟なんだから、これからも仲良くやれよ」とよく声をかけてくれる。これが私たちのウリになっているので、社名をいっそのこと「KG(KOGAHARA)ブラザーズ」に変えてしまおうかと思っているくらいです(笑)。

社長 それ、昨日したばかりの話じゃないか(笑)。

「MR設計ツール」を使い自社独自の帳表を作る

──TKCのシステムを使いはじめたのは、8年前からだそうですね。

小河原淳社長

小河原淳社長

社長 温井会計に税務顧問をお願いするようになってからです。当初は『FX2』を使っていて、昨年『FX4クラウド』に切り替えました。

──導入の決め手は何だったのでしょうか。

会長 階層別の部門別管理がしやすいことや、自分たちでデータの管理をしなくても済むといったクラウドシステムならではの魅力に引かれて導入を決めました。

──実際に使ってみての印象は?

社長 独自帳表の自由設計が可能な「マネジメントレポート(MR)設計ツール」はいいですね。この機能を使って「売上高」「食材費」「人件費」「地代家賃」などの項目を全店舗横並びに記した一覧表を作っています。今は忙しくて温井(德子)先生の毎月の巡回監査にほとんど立ち会えなくなってきているので、この一覧表を月次決算後にメールで送ってもらい、外出先からアイパッドで確認したりしています。

──業績管理のポイントを教えてください。

社長 これら独自帳表をみながら、食材原価などをもとに予測した予算と実績とが大きくかけ離れていないかどうかを毎月チェックしていることでしょうか。

会長 各店舗の店長も、予算に対して実績がどうだったかなど、毎月の数字の動きをすべて理解しています。店長として、料理がうまいかどうかだけではなく、利益を出すための管理がしっかり出来ているところが、われわれの最大の強みでしょう。

──たいていの飲食店は料理の味だけに関心が行きがちですが…。

会長 うちでは、そんなやつは辞めてしまえという話ですよ。数字を“共通言語”にして会話できない店長は正直いらないです。

料理

社長 要は、バランスの問題です。たとえば食材費を引き上げることでお客さまの満足度があがり、それ以上の売り上げ増が見込めるなら、それは絶対にやるべきなんです。
 うちでは各店長に、全店で統一したメニューに加えて、「ご当地メニュー」を出してもいいとする裁量権を与えています。たとえば沖縄のホテルの朝食に沖縄料理が出たら、東京の人はうれしいじゃないですか。それで喫食率があがる(来店客数が増える)のなら、どんどんやるべき。ただしこうしたことは、あくまで具体的な数字をもとに判断していくべきで、店長にも数字で判断できるスキルを身につけてもらいたいと思っています。たとえばスタッフの増員を求める店長から「お客からクレームがありました。人が少なくて店が回っていなかったせいです」と感覚で言ってきた場合、即口上をやり直させます。最低でも「ランチタイムの1時間、店内のオペレーションを円滑に回すために一人増員したいのですが……。ついては人件費率が0.1%あがります」「じゃあ、増やすべきだよ」といったくらいの会話ができないと困ります。

「仕訳読込テンプレート」でデータの二度打ちから解放

──部門別管理はどのようにされていますか。

社長 現在、グループ全体を6社に分割しており、(1)共栄社(2)関東共栄社(3)関西共栄社(4)西日本共栄社(5)K・HOUSE(6)K・HOUSEジャパン(旧K・HOUSE倉敷)があります。それらを部門にみたてると共に、その下に各店舗をぶらさげる形で階層的な部門別管理を行っています。たとえば共栄社の下に京都店などが、関東共栄社の下に高崎店などがぶらさがっているわけです。これにより、各地域ブロックごとの業績と、各店それぞれの業績も把握できます。

──「仕訳読込テンプレート」機能も有効活用されているとか?

社長 POSレジの売り上げ集計データと、各店舗の小口現金のデータをこの機能を使って『FX4クラウド』に仕訳読み込みさせています。従来は、約30店舗分の小口現金データをすべて手作業で入力していました。仮に1店舗ごとに50件あったとしたら、ぜんぶで1,500件にもなり、それを本部のスタッフが打ち込むとなると相当な労力を要します。しかし今は各店舗から集めたデータを仕訳データに変換して読み込むだけです。

温井德子顧問税理士

温井德子顧問税理士

温井德子税理士 つまり、データの二度打ちをする必要がなくなったわけです。大幅な時間の短縮と正確性が担保されました。

──今後の展望についてお聞かせください。

会長 実はインドで、国内とはまったく違うモデルで事業を展開しようとすでに動きはじめています。たまたまインドで和食のフェアをやってくれという要請があり、それを通じて現地の人とのコネクションができたんです。先日「K・HOUSEインディア」の名前で合弁会社を先日つくり、日本のウイスキーを十万単位でインドの大手酒造メーカーに販売するという商社的な仕事をする話も進展しています。ほかにも電気自動車関係のビジネスや、現地の魚をインド以外の国に輸出する計画なんかも……。まあ、いまの段階で言っても、絵空事のように思われるかもしれませんが、きっと実現させてみせますよ。2~3年後を楽しみにしていてください。テレビのドキュメンタリー番組に、私たち兄弟がきっと取り上げられているはずですから(笑)。

企業情報

共栄社 K・HOUSE

共栄社 K・HOUSE

設立
2004年5月
所在地
埼玉県越谷市千間台西1-12-1
TEL
048-978-7747
売上高
約18億円
社員数
450名
URL
http://www.gin-yuba.com/

顧問税理士 温井德子
温井会計事務所

所在地
東京都中央区八重洲1-6-3八重洲ビル4階
TEL
03-6225-2665
URL
http://nukui-tax.com/

『戦略経営者』2013年5月号より転載)