株式会社システック様

株式会社システックの皆さんと河越則人監査担当、飯田龍監査担当

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

人材育成と計数管理で目指すは
“物心両面での幸福創造企業”

受託設計製造、自社製品開発、技術者派遣と、幅広い業態を手がけるシステック。どんな注文にも対応できるメーカーとしての総合力とともに、独自のエコ製品を世に問うなど独創性にも定評がある。その経営・財務戦略について、梶村一成常務取締役と田中聡経理課責任者、そして税理士法人坂本&パートナーの河越則人課長をまじえて話を聞いた。

「内職仕事」からスタートし最先端分野を扱う高技術企業に

――1974年に梶村武志現社長が六畳一間から創業されたのだとか。

梶村一成常務取締役

梶村一成常務取締役

梶村常務 ハーネス線材の被膜をはがし、カットして長さをそろえるいわゆる「内職仕事」からスタートした会社です。その後、大手電機メーカーのプリント基板の実装などのアッセンブリーを請け負うようになりますが、社長の創業以来の夢は「設計から製造まで自社で手がけた製品を世に問う」ことでした。そのためにはまず「技術」「ソフト開発」のノウハウが必要です。そこで、取引先と掛け合い、ソフトウエア開発の現場に技術者を派遣するビジネスを80年代に始めました。現在の派遣業のはしりだったと思います。そのようにして教育された技術者たちがいつしか当社に戻ってきて、社内に技術を蓄積。現在のシステックの礎を築いたわけです。以来、電気・通信機器や放送用機器など、多様な製品のLSI(大規模集積回路)設計ソフトウエアの開発というような最先端の分野も手がけるようになっていきました。

――それにしても幅広い業態を抱えておられますね。

梶村 技術者の人材派遣事業もいまだに80名を擁して継続しています。その人材派遣と受託開発を手がける「エンジニアリングサービス事業」で特に今好調なのはエネルギーマネジメントシステムの開発です。この分野は国内だけでなくグローバル需要が高まりつつあり、大手電機メーカーと技術協力を図りながらソフトウエア開発を拡大しています。また開発から生産まで一貫体制で請け負う「ソリューション事業」では、地上デジタル放送電波の強弱を測定する機器をOEM生産するなど主に通信・放送機器のハードウエアを手がけています。最近では、ろうあ者向けの放送受信システムも厚生労働省の委託を受けて開発・生産しています。

――エコ関連製品も積極的に開発・販売されておられますね。

マイクロミニ風力発電機やソーラーパネル付きLED外灯などの

マイクロミニ風力発電機やソーラーパネル
付きLED外灯などの“エコ製品”も積極展開

梶村 「オリジナル事業」というセグメントで、マイクロミニ風力発電機やソーラーパネルとLEDを利用した外灯(ソーラーポールライト)あるいはトヨタ自動車と共同開発した工場周りの安全・安心製品なども生産しています。これらは当社の発案で開発した商品群で、社長の「自社製品で埋め尽くしたい」という志を体現するものです。

――ずいぶん早くから風力発電を手がけられたのだとか。

梶村 10年以上前です。売り上げは微々たるものですが、たとえばモーターボートや農機具の冬場の放電抑制用、あるいは理科の教材用として使われるなど、極めてニッチな市場ばかりですが徐々に認知されてきています。実はある偉大なメーカーの創業者の方が来社された際、「どこかで必ず火がつくからあきらめずに続けた方がよい」とアドバイスいただきました。とても勇気づけられましたね。

――京セラ独自の経営管理手法である「アメーバ経営」を導入されているとか。

梶村 1994年からです。著名な「時間当り採算制度」を取り入れると同時に、京セラさんのご指導を受けながら「人間として何が正しいのか」を追究する当社の「フィロソフィー」を掲げた手帳をつくりました。このフィロソフィーを朝礼やリーダー研修などで常に社員に落とし込むことで、企業の力が歴然として上がってきました。不思議なことに、業績がピンチの時にこのフィロソフィーに組織の意識が立ち戻るとなぜか数字が上向くのです。

――つまり売り上げが上がると。

梶村 はい。フィロソフィーを徹底すると、派遣社員も客先で積極的な提案ができるようになるなど行動が変わるわけです。「おたくの社員ずいぶん変わったねえ」と感心され、さらに新たな仕事が来る。受託開発の場合も同じですね。そんな好循環がここ2、3年は続いています。

常時約70の「係」に分け部門別管理を実施

――昨年の9月に『FX4クラウド』を導入されました。狙いは?

田中聡経理課責任者 もともと10年ほど前から『FX4』を活用させていただいており、これまで積み上げてきた財務の設計を変更しないでクラウド化できるということで、迷わず導入しました。セキュリティーやメンテナンスの面で、クラウドの方がクライアントサーバー型よりも優位性がありますからね。

河越則人監査担当

河越則人監査担当

河越則人監査担当 クラウド化によってこちら(税理士法人坂本&パートナー)からも自由にデータが閲覧できるようになったので、田中さんとの意見のすりあわせがスムーズになりました。

田中 それも大きいですね。

――部門別管理機能は活用されておられますか。

梶村 当社の場合は非常に細かく組織分けをしていて、末端の「係」では常時70くらいにはなると思います。『FX4クラウド』の部門別管理機能でそのすべての係を階層管理しています。 

田中 係は常に変動しますから、その都度、システム上で追加したり削除したりと修正しなければならないので大変です。

――なぜそこまで細かく分けているのですか。

梶村 これも、アメーバ経営の考え方なのですが、とにかく細かく組織を分け、責任分担を明確にし、リーダーを育成する仕掛けになっています。責任を明確にするためには、ベースとなる数字がはっきり分からなければならない。その意味でも『FX4クラウド』の階層管理機能はありがたいですね。

――どのような分け方を?

田中 ソリューション事業だと扱い商品単位、エンジニアリングサービス事業だと「派遣事業」は客先ごと、「受託開発」は工程ごとといったように、仕事によって変えています。これによって、どの商品、どの工程が稼いでいるのか、あるいはどの顧客のコストがかさんでいるのかなどが一目瞭然となります。

――『FX4クラウド』には部門階層別の「縦串」に「横串」を通す「部門グループ別」の管理機能もありますが……。

田中聡経理課責任者

田中聡経理課責任者

田中 たまに使います。たとえば商品単位で分けられた部門業績に、顧客単位のデータの横串を通したりといったことですね。

――すごく緻密ですね。

河越 そもそもシステックさんは経理部門のレベルが非常に高い。たとえば、先日の税務調査においても修正事項のまったくないいわゆる「申告是認」でした。

梶村 坂本&パートナーさんのおかげです。

田中 当社では『FX2』からはじまって『FX4』『FX4クラウド』と常にTKCさんの自計化システムを活用させていただいてきましたが、いずれも使いやすいインターフェースで、消費税など税法への対応もタイムリーです。その上、毎月監査担当の方に必ず来ていただきスムーズな月次決算もできています。この間の申告是認も、坂本&パートナーさんと『FXシリーズ』があったからこそでしょう。

河越 それもこれも社長や常務といった経営陣の「財務管理をきっちりと行う」という意思が反映されてのことだと思います。

規模よりも質を重視し社会に貢献できる会社に

――常務は財務や経理に対してはどのようにお考えですか。

生産ラインは高い技術レベルを誇る

生産ラインは高い技術レベルを誇る

梶村 まず言えるのは、厳格さが財務管理の第一の条件だということ。その上で、財務諸表の内容すべてを注視していくわけですが、とくにBS(貸借対照表)を健康体にし、「美しい決算書」を保ちたいですね。そのためには経常利益率10%をにらみながら、PL(損益計算書)やキャッシュフローを精査し、綿密な目標を設定して全社一丸となって進んでいくことだと思っています。

――今後の目標は。

梶村 当社は「物心両面での幸福創造企業」を目指していますが、「本当にその通りだな」と、社員からも外部からも認められる企業になりたいです。そして、社長が創業以来"Small Giants"構想(小さくても世界に通用し社会に貢献できる会社になろう)を掲げてきたように、規模よりもむしろ質を上げていくことに注力していきます。質を上げれば量(規模)はあとからついてくる。そのための方策のひとつとして、人材を育成して事業を任せ、当社自体はホールディングカンパニーのようになっていく方向性を考えています。これを実現していくことが今後の私に与えられた重要な役目の1つかなと……。
 あとはグローバル化への取り組みでしょうか。当社はこれまでほぼ国産1本でやってきて、海外生産はほとんどありませんでした。が、やはり最近のコストダウン要請は厳しく、近い将来、海外でも可能なプログラミング業務などはASEAN地域でシェアできたらと考えています。

企業情報

株式会社システック

株式会社システック

創業
1974年7月
所在地
静岡県浜松市北区新都田1-9-9
TEL
053-428-4300
売上高
30億円
社員数
250名
URL
http://www.systec.co.jp/

顧問税理士 坂本孝司
税理士法人坂本&パートナー

所在地
静岡県浜松市中区高丘西2-9-27
TEL
053-437-7117
URL
http://www.tkcnf.com/sakamotoandpartner/

『戦略経営者』2013年3月号より転載)