大創株式会社様

大創株式会社の皆さんと小泊顧問税理士

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

複数拠点からの分散入力で
スピーディーな経営を実践

紙器・段ボールメーカーを主な取引先にして、パッケージ抜型(木型)の製造販売をしているのが、大阪府大東市に本社を置く大創だ。木型に装着する各種備品の販売も手がけている。「提案力と若い人材が会社の強み」と話す大塚雅一社長(41)に、『FX4クラウド』導入の経緯などを聞いた。

「木型」製作の現場を担う人材育成に力を入れる

――「パッケージ抜型」製作をメーンにされているそうですが、どんなものか教えてください。

大塚雅一社長

大塚雅一社長

大塚 紙箱や化粧箱などのパッケージは、箱の展開図のかたちをした一枚の厚紙(板紙・段ボール)から作られます。その展開図のかたちに打ち抜くための木型が、すなわちパッケージ抜型です。紙器・段ボールメーカーの工場内にある打ち抜き機(トムソン機)にセットして使います。その打ち抜き機に木型をセットし、印刷された厚紙のシートをプレスすると、展開図のかたちに仕上がります。

――抜型工程をバックアップするための製品(木型備品)の販売も行っているそうですね。

大塚 代表的な商品に『Gテープ』があります。パッケージを思い浮かべてみればイメージが湧くと思いますが、展開図の“辺”の部分に「折れ筋」が入っています。Gテープを使用して折れ筋を入れると、筋の折り曲げ精度が高くなり、仕上がり寸法精度の高いパッケージができあがると重宝していただいています。
 従来は手作業で折れ筋を入れるのが一般的でしたが、当社がGテープを考案したことで作業の効率化が一気に進みました。Gテープは全国約1000社の紙器・段ボール製造業者に利用されているほか、中国や東南アジアの代理店を通じて海外にも輸出しています。

――このほか、木型とは関係のない商品の販売事業も手がけられているとか?

大塚 ええ、3年ほど前から第二創業的な位置付けで、メーカーから直接仕入れた「防犯・防災用品」「現場環境改善用品」「節電・熱中対策用品」などの販売を始めています。具体的には、折りたためるヘルメット、コーン標示カバー、瞬間冷却スプレーなどの商品があり、ホームセンターでの販売のほか、ネット通販もしています。

――会社の歴史を教えてください。

大塚 もともとは木型を使う側だった父親が、東大阪市に大塚木型製作所という個人企業を創業したのは1971年のことでした。その後Gテープのヒットを経て、全国展開を図ってきました。94年に九州工場を開設したのを皮切りに、神奈川工場(寒川町)、東京工場(千葉県野田市)と続いていったのですが、私はそれら新工場の立ち上げにいずれも携わらせてもらいました
 現在会長を務める父から「社長」のバトンを託されたのは、昨年でした。ちょうど会社創設40周年の節目にあたる年です。

――新社長としての経営戦略をお聞かせください。

大塚 大手メーカーの海外移転などによって、国内の紙器・段ボール業界全体が厳しい状況にあるのは確かで、工場を閉鎖するメーカーも増えています。そんな中でわれわれが目指すべきなのは、市場占有率のさらなる向上です。そして、そのために不可欠なのが「人材育成」にほかなりません。当社の場合、「ヒトづくり」が「ものづくり」にそのまま直結するからです。5~10年選手をピックアップして年4回の研修を行うなど、人材力の強化には本気で取り組んでいます。ベテランが培ってきた技術的なノウハウをいかに若手に継承させられるかが当社の今後を左右すると考えています。

《部門別限界利益一覧表》を使い「ガラス張り経営」を実践

小泊順二顧問税理士

小泊順二顧問税理士

小泊順二顧問税理士 私たち会計事務所と大創さんとのお付き合いは、大塚会長の代から数えて35年にわたります。

大塚 小泊先生はNPC(Next President Club)という名前で後継者育成のための勉強会を開催していますが、私はその1期生として参加していました。じつは神奈川の工場から月に1回の勉強会に通わせてもらっていたそのころが、私がちょうど一番グレていた時期(笑)。「この仕事をやめて他のことをしようか」と、悩みや葛藤にさいなまされ、父親と話をしても理解し合えない。事業継承せずに、会社を辞めて海外に行ってやろうかと思っていたときでした。そんな私に、小泊先生は「お父さんの分身にならなければならない」とか「お前が創業者の側に立たないでどうする」と、親身になって諭してくれました。いま振り返って考えると、私が道を踏み外さないで済んだのは、小泊先生のおかげと言えます。

――そんな小泊会計が提案したのが『FX4クラウド』でした。導入を決めた経緯は?

大塚 以前からTKCの財務会計システム(『FX2』)を使っていましたが、複数のパソコンで分散入力できないところに少し物足りなさを感じていました。だからといって、高額なサーバーを買わなければならない以前の『FX4』を導入する気持ちにはなれなかった。ところが、サーバーを買う必要のないクラウド版が出たということで内容を確認させてもらったところ「これはいいな」と感じ、導入に踏み切りました。

――実際に導入してみての感想は。

大塚 全国の各拠点ごとにデータ入力ができるようになったことから、従来以上にリアルタイムに近い情報が入手できるようになりました。私は社長になってまだ間もない「ひよっこ」なので、先代が当然もっている経営感覚はまだ持ち合わせていません。それを補うためにも、きちんとした数字を経営判断の拠り所にしていく必要があります。『FX4クラウド』はその重要なツールとなっています。

――部門別管理はどのようにされていますか。

大塚 部門は、(1)GS事業部(2)大阪工場(3)九州工場(4)神奈川工場(5)東京工場(6)CSM事業部(防犯用品等)の六つがあり、それぞれ毎月の損益が出せるようにしています。月次決算を終えた後、巡回監査担当の鬼塚さんにみてもらい、「もっと在庫を減らしたほうがいい」などの業績改善のアドバイスをもらっています。

――「ガラス張りの経営」を標榜されているそうですね。

大塚 TKCシステムから打ち出した《部門別限界利益一覧表》はPDFにしてグループウエアに貼り付け、各部門長がみられるようにしています。だから幹部社員たちは、「会社にどれだけ利益があるか」「どの点が計画通りにいっていないか」などをみんなよく知っています。

ムダな経費を削減して限界利益率の向上を目指す

上から二つめの写真が『Gテープ』

上から二つめの写真が『Gテープ』

――限界利益率を高めるためにどんなことをしていますか。

大塚 とにかくムダな経費を減らすことに注力していますね。ちなみに今期の経営計画書(予算計画)では、前年と比較して変動費1%削減、固定費1%削減、残業時間10%削減というのを目標にしています。これを各部門長が先頭に立って実践してくれています。

――売り上げを高めることで限界利益を増やすという観点ではどうでしょうか。

大塚 最近、営業マン全員にアイパッド(タブレット端末)を支給しましたが、これは業務効率と顧客満足度を高めて、売り上げアップにつなげていきたいという意図からでした。
 パッケージの商談は、お客さんから展開図をメールやFAXで送ってもらうことから始まりますが、外回り中の営業マンは会社に届いたFAXを見ることができません。しかしアイパッドがあれば、内勤者が届いたFAXを複合機でPDF化してメールで送ってあげることですぐに確認できる。そのうえでお客さんのところに電話すれば、商談はあっという間に決まり、結果的に納品までのリードタイムは短縮される。関西風に言うと「勝負がはやい」ということですが、お客さまにも対応が早いと喜んでいただいています。

――『FX4クラウド』なら、大創さんが見ているのと同じ画面を小泊会計からも見ることができます。このあたりのメリットをどう感じていますか?

大塚 いろいろ相談したいときに、会計事務所からも同じ画面を見てもらいながら、電話で話せるので非常に便利ですね。「クラウド」ならではの強みはこうした点にあると実感しています。

――「マネジメントレポート(MR)設計ツール」は使っていますか。

大塚 当社には期末までの「中間報告」を記した独自フォーマットの書類があるのですが、今後、その使い慣れたかたちにあわせてMR設計ツールで資料を作成することを考えています。スプレッドシートを使って自由にオリジナル帳票が作成でき、しかもその中に『FX4クラウド』の数字を流し込めるわけだから、使わない手はありません。

――今後の抱負をお聞かせください。

大塚 会社創立50周年にむけて会社をどう発展させるかが、自分が社長としてどれだけやってこられたかの答えになると考えています。満足できる結果を残すためにも、いま目の前を吹いている逆風をフォローの風に変えて、全社員一丸となって進んでいきたいです。

企業情報

大創株式会社

大創株式会社

所在地
大阪府大東市大東町10-10
TEL
072-875-2951
売上高
約14億円
社員数
約120名(パート含む)
URL
http://www.daiso-net.com/

顧問税理士 小泊順二
小泊会計事務所

所在地
大阪府東大阪市長田東2-1-33
TEL
06-6744-5000
URL
http://www.tkcnf.com/kotomarikaikei/

『戦略経営者』2012年12月号より転載)