導入事例 CASE STUDY
株式会社ユニフロー様
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
「ボトルネック」を改善し
組織全体の生産性を高める
スーパーや百貨店等でよく見かける「スイングドア」で国内シェア80%を保持するユニフロー。石橋さゆみ社長のもと、「TOC」(セオリー・オブ・コンストレインツ)の実践を通じて、生産体制の強化に力を注いできた。そんな同社が最近導入したのがTKCの『FX4クラウド』。これにより「知りたい数字が以前よりもスピーディーに入手できるようになった」という。
「スイングドア」で国内シェア80%を誇る
――スーパーや工場などの各種開口部商品(業務用ドア)を製造販売されていると聞きました。
石橋さゆみ社長
石橋 一番の主力商品は「スイングドア」という、スーパーや百貨店等の売り場スペースとバックヤードを仕切るドアです。従業員がカートを押して開けるような、観音開きのドアといえば思い当たるのではないでしょうか。バネは使わず、ドアの重さで自動で閉まるシンプルな構造で、寿命が長いという特徴があります。10年以上使ってもらっているケースもざらなんですよ。このスイングドアについては現在約80%の国内シェアを持っています。
ほかにも、病院や介護施設などでよく目にする、ほんのわずかな力で開け閉めできる横開きの「スライドドア」や、工場や物流センターなどにある高速シートシャッター、「スムーザー」を手がけています。売り上げ構成は、スイングドア40%、スライドドア10%、スムーザー30%、その他商品20%といった比率です。その他商品には、スーパーのオープンケース(冷凍冷蔵ショーケース)を覆うナイトカバーなどがあります。
――東京・五反田にある本社以外にも、全国に拠点をお持ちですね。
石橋 北海道から九州まで7つの支店・営業所があるほか、埼玉県本庄市に生産工場があります。全国を網羅するネットワークを築くことで、きめ細かいメンテナンスサービスを可能にしています。また、中国にも生産拠点(上海)と、販売拠点(深セン)を置いており、アジアを中心とした海外の新興市場を積極的に攻めています。
――それにしてもスイングドアの国内シェア80%はすごい。
石橋 もともと当社は、アメリカから全自動製氷機などの商品を輸入販売する仕事をしていて、1977年にスイングドアを日本で初めて紹介しました。最初のうちは一般のドアより高額だったこともあり、なかなか普及しませんでしたが、根強い営業努力と、時代的にもアメリカのスーパーのやり方を積極的に学ぼうという機運が日本の小売業者の間に高まってきたことから、しだいに販売先が増えていきました。
さらに84年に輸入販売会社からメーカーへと業態転換をしてスイングドアを自社生産するようになると、いっそうシェア拡大に拍車がかかりました。店舗や工場の開口部のサイズにミリ単位であわせたオーダーメードでの注文が受けられるようになったことで、それまで以上に多くの企業から引き合いがくるようになったのです。
――現在の経営環境はいかがですか。
売り場とバックヤードを仕切るスイングドア
石橋 スーパーや大型ショッピングセンターの建設が一時期に比べ減っていることや、円高などを理由に国内メーカー各社の工場が海外に出て行っていることなどから、厳しい経営環境にあるのは間違いありません。
そうした中で私たちが力を入れているのは、介護など今後成長が見込める分野への営業活動の強化や、新たな需要を喚起するような魅力的な新商品をつぎつぎにリリースしていくことです。
――新商品には例えばどんなものがありますか。
石橋 化学工場向けに防爆仕様の高速シートシャッターを開発したり、芯材に樹脂を使うことでリユース・リサイクルを可能にした『エコスイング』などを新たに商品化しています。エコスイングは水洗いができるという長所もあり、HACCP対応の食品工場や介護施設など、厳しい衛生管理が求められる場所に最適です。このほか、レストランやファーストフード店で使ってもらえるようにデザイン性を凝らしたスイングドア(商品名『スマートスイング』)などもあります。
BCP対策の点からも「クラウド」に注目
――新たに『FX4クラウド』を導入されましたが、その経緯は。
石橋 それまで使っていたO社の会計システムのリース切れが近づいたころ、監査役として毎月社内の役員会に参加してもらっている松本先生(顧問税理士)からご紹介を受けたのがきっかけでした。さまざまな検討を重ねた結果、われわれ経営者層が知りたい数値がスピーディーに入手できる点や、自前でサーバーを購入する必要がないことから初期費用を抑えられる点を評価して導入を決めました。
松本憲二顧問税理士
松本憲二顧問税理士 石橋社長に出力帳表の一つである《変動損益計算書》の考え方について説明したところ、その反応がすごかった。石橋社長は以前から「TOC」(セオリー・オブ・コンストレインツ/制約理論)という、イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラット博士が唱えた生産管理・改善のための理論を勉強しており、変動費と固定費とに分ける管理手法をすでにご存じだったんです。『FX4クラウド』に興味をもってくれた背景には、こうしたこともありました。
――自社の会計データをインターネット上(TKCのデータセンター)に預けるという、クラウドの仕組みそのものに抵抗感はなかったですか。
石橋 とくにありませんでした。むしろBCP(事業継続計画)対策という観点からもメリットのほうが大きいという認識でした。データを保管するTKCデータセンターは地震や火災に対する備えは万全だし、複数のサーバーに分散してデータ保管しているといいます。自社のサーバーに置いておくよりもずっと安心と言えます。
また、『FX4クラウド』のバックアップ機能を用いれば社内でデータのバックアップを簡単にとれるため、二重に安心感が得られます。先日、試しにやってみたところ、5分ほどの作業ですみました。
――実際に導入してみての印象はどうでしたか。
石橋 『FX4クラウド』の特徴の一つに「遠隔地にある事業所から同時アクセスが可能」というのがありますが、まさにそのメリットを実感しています。全国にある拠点からのデータ入力が同時に行えるようになったことで作業効率が大きく向上しました。本社の経理担当者によると、たとえ4~5人が同時にアクセスしたとしても処理スピードが遅くなるようなことはないそうです。
「仕訳読込テンプレート」で生産管理システムとデータ連携
――黒字経営を実現するための工夫・取り組みについてお聞かせください。
石橋 企業にとって大事なのは、成長戦略をもっているかどうかです。私の場合は、とりわけ「安定性」と「安全性」の2つを意識した成長戦略を描いています。安定した土台の上なら安心して飛び跳ねることができますが、逆に土台が不安定だとなかなか大きなジャンプはできません。近年、TOCの実践を通じて安定性を重視した組織体制づくりに注力してきたのはそうした思いからで、これこそがまさしく黒字経営を実現するための取り組みに他なりません。
――なるほど。
TOCについては、エリヤフ・ゴールドラット博士から
直接薫陶を受けた
石橋 TOCでは、効率的な生産活動ができる会社組織を目指すにあたって、「ボトルネック」となっているところ(工程)を見つけ出して、そこを重点的に改善していくことにより「スループット」(変動損益計算書における限界利益にちかいもの)の増大を目指します。社員みんなが一丸となってスループットをせっせせっせ、チャリンチャリンと増やしてきたことが今の好調な業績につながっていると言えるでしょう。
松本税理士 ユニフローさんではTOCを通じて社内の合理化を進めてきた結果、売上高を前年比約20%も増やすとともに、利益を数倍に増やすことに成功しています。3年前に赤字を計上したことがウソのようです。
――部門別管理はどのように行われていますか。
石橋 基本的には、工場や各地方の支店・営業所を部門に見たてて部門別業績管理をしています。本社については、営業部、エンジニアリング部、貿易部とにわけています。
部門別管理により、スループットを多く出している部門がどこかをすぐに見極めることができるようになったのは確かで、さらにその部門がどんな改善をして、どんな成果を上げたかを詳しく分析し、そのベストプラクティスを横展開していくようにしています。
――社内の業務システムと『FX4クラウド』とのデータ連携についてはいかがですか。
石橋 今まさに進めているところです。ちょうど生産管理システムのリプレースをしている最中なので、そちらとうまくデータ連携させるためのテスト作業を行っています。「仕訳読込テンプレート」を使えば簡単にTKC以外の業務システムともデータ連携できるところも『FX4クラウド』の魅力ですね。
それと今後は、「MR設計ツールによるオリジナル帳表作成機能」を使って、役員会で使う資料をいまより見やすいものに変えることも考えています。『FX4クラウド』の数字を切り出したスプレッドシートが自由に設計できるということなので、ぜひ利用してみたいと思っています。
――会社の今後の展望をお聞かせください。
石橋 当社は3年後に50周年を迎えます。私のミッションは、この会社を100年、あるいは1000年続く企業にしていくこと。TOCの実践などを通じて、その足がかりを作っていきたいものです。
企業情報
株式会社ユニフロー
- 所在地
- 東京都品川区西五反田2-30-4
- TEL
- 03-5719-6700
- 売上高
- 約42億円
- 社員数
- 160名
- URL
- http://www.uniflow.co.jp/
顧問税理士 松本憲二
税理士法人 青山アカウンティング
ファーム
- 所在地
- 東京都港区南青山2-13-2
- TEL
- 03-3403-8030
- URL
- http://www.aoyama-af.or.jp/
(『戦略経営者』2012年9月号より転載)