導入事例 CASE STUDY
株式会社志満秀様
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
重層的な部門別管理で
自慢のエビせんを確実に売る
昭和25年の創業以来、瀬戸内海でとれる新鮮な魚介類を素材にして、自然のままの風味を生かしたエビ菓子を作り続けてきた志満秀。なかでも同社の「エビせんべい」は、全国の百貨店を通じてその存在を知られている。島光男社長(48)が、さらなる経営品質の向上を目指して昨年導入したのがTKCの『FX4クラウド』。その活用法などを聞いた。
商品開発力を強みに新たな販売ルートを開拓
島 光男社長
――老舗の「エビせんべい」メーカーとして、全国の有名百貨店に販路をお持ちだそうですね。
島 エビのすり身を原材料にした、主にギフト向けの高級なエビせんを製造しています。百貨店以外にも、卸売り(量販店・専門店)や、自社の直営店(5店舗)などでの販売もおこなっています。
――商品アイテム数も豊富だとか。
島 全部で100種類以上あります。素材本来の味を生かしたシンプルなエビせんのほか、ゴマ、野菜、ノリ、昆布などの風味を生かしたエビせん、エビ味の米菓・豆菓子などがあり、それらの詰め合わせセットが贈り物として喜ばれています。
このほか、若いユーザーの嗜好を意識してつくった『海老ラスク』や『えびチーズフォンデュ』などの商品もあります。さまざまなエビを丸ごと姿焼きにした『姿焼き詰め合わせ』も人気が高く、四国を代表する名物としてロングセラーになっています。
――「志満秀」という社名の由来を教えてもらえませんか。
島 私の祖父にあたる創業者の名前は島秀雄といい、戦後間もなく魚屋をはじめました。その後、仕出しの仕事や珍味加工を手がけるようになるなかで、昭和25年に島秀水産を設立しました。しかしやがて経営が行き詰まり、商売をやめようかとも考えたそうです。でも思い直して、もう一度やり直すことにした際に、「志に満ちあふれた秀雄」という自らの心境を文字に表した「志満秀」を社名にしたのだと伝え聞いています。
――会社の強み・特徴といえばなんでしょうか。
島 自然や素材のおいしさを強く打ち出せる瀬戸内・香川に本社があるということ自体が、まず一つ目の強みと言えます。それが、わが社のブランド力を高めてくれています。
つぎに「商品開発力」も自分たちが誇る大きな強み。かつては百貨店が会社全体の売上構成比率の70%ぐらいを占めていましたが、ご承知のとおり今は業界自体が厳しい環境にあり、百貨店という一つのルートに偏重することはリスク管理上、問題がある。そこで、卸売りやインターネットでの直販にも力を入れ、百貨店に偏った売上構成比率をもっとバランスよくしていく必要がありました。でも卸売りの販売ルートを開拓するときには、百貨店向けの商品を持って行ってもダメで、あくまで卸売り先の会社に喜んでもらえるような商品を提案していかなければならない。そのあたりの商品開発がきちんとできたからこそ、いまの好調な経営があると思っています。
――具体的にはどのような商品だったのでしょうか。
新鮮なエビを材料に使用した各種エビ菓子
島 代表的なのが、エビせんに写真やイラストをプリントした「プリントせんべい」。せんべいにプリントするための機械は、たまたま足を運んだ展示会で見つけました。たとえばブライダル商品を扱う会社に対して、新郎新婦の顔写真をプリントした『ウエディングせんべい』を積極的に提案していくなどしました。エビはもともと縁起物の食材とされ、長寿の証しでもある。結婚式の引き出物として人気を集められたのは、そうした理由からもであります。
ほかにも、携帯電話で読み取りが可能なQRコードを印刷した『QRせんべい』や、バーチャルアイドルの初音ミクをあしらった『みくせん』などを商品化しており、まとまった受注を得ています。QRせんべいは、販促用ノベルティーとして多くの会社に利用してもらっています。
――新商品のアイデアは何人ぐらいで考えているのですか。
島 私もその一人で、合計4名ほどです。女性社員がリーダーを務める「商品開発部」が中心となって新商品の企画を考えています。
階層別の業績管理により「選択と集中」の精度が増した
――『FX4クラウド』導入の経緯をお聞かせください。
吉田陽介顧問税理士
島 税務顧問をお願いしている吉田(陽介)税理士の提案を受けて、半年前に『FX2』から『FX4クラウド』に切り替えました。
吉田税理士 志満秀さんと顧問契約を結んだのは平成22年の秋でした。それを機に『FX2』を導入してもらい、営業部課ごとの部門別管理をしていましたが、志満秀さんのことを深く知るにつれ、百貨店、卸売り、直営店、通販という4つの販売ルートごとや、百貨店等に入っている末端の店舗それぞれの損益管理もできたほうがいいのではという気持ちがしだいに強まっていきました。
しかし『FX2』では重層的な部門別管理をするには限界がある。そこはやはり「階層管理」に長けた『FX4』という話になるわけですが、導入にはサーバー等の初期コストがそれなりにかかるため提案するのをためらっていました。ところが昨年、『FX4クラウド』が登場し、初期コストがだいぶ軽減されることになったことから、さっそく導入を持ちかけたところ、ご承諾をいただけたわけです。
――現在、どんな階層別の管理をしているか教えてください。
島 まず第1階層として、営業1課~8課(エリアごとに編成)、工場、本社管理、商品開発部に部門分けしました。つぎに第2階層を百貨店、卸売り、直営店などと販売ルート別に分け、さらに第3階層を企業グループ別(百貨店グループ別、量販店グループ別等)に設定。そして第4階層で末端の店舗の数字をそれぞれ見られるようにしました。トータルで249部門あります。
――じつに細かい管理ですね。
島 百貨店グループ別の採算と、各店舗別の採算の2つがタイムリーにわかるのは、「選択と集中」の経営判断をしていくうえで、私たちにとって非常にありがたい。要するに「どこの店舗を撤退して、どこに新たに出店するか」の判断が的確に行えるからです。当社の場合、単純に「不採算店であるかどうか」だけで撤退するかどうかを決めるわけにはいかないところがあります。というのは、その百貨店グループ全体でみると、十分に採算がとれている場合、不採算店だけを切り捨てて“いいところどり”するのは総体的な視野からすると得策ではないからです。『FX4クラウド』の導入により、このあたりのバランスをきちんとデータで確認しながら、撤退と進出を決断できるようになりました。
仕訳連動の機能により「データの2度打ち」から解放
――他社の販売管理システムと『FX4クラウド』を仕訳連動させているそうですね。
島 F社の販売管理システムのデータをエクセル形式で切り出し、1日1回、自動取り込み処理をするかたちで『FX4クラウド』に仕訳連動させています。こうしたデータ連携機能が充実しているのも『FX4クラウド』の魅力ですね。いわゆる「データの2度打ち」から解放されたことで、担当者の業務効率は格段によくなりました。以前は、個々の店舗の収支をつかむにはかなりの“力作業”が必要でしたが、その苦労は完全になくなりました。
――『FX4クラウド』にはいろいろな出力帳表がありますが、特に注目しているものは?
島 一番よく見ているのは、《365日変動損益計算書》です。経費を変動費と固定費に分けて限界利益を出す管理会計の手法は以前から本を読んで知っていましたが、実際にやってみると頭の中が整理される感じがして気に入っています。
――限界利益率を高めるために意識していることはありますか。
島 付加価値の高いオリジナル商品を開発して、さまざまな企業に提案していくというのがそうです。そのような商品なら、まず当社で適正な利益を乗せた値段で販売先に納入し、あとの販売価格についてはその販売先で自由に決めてもらうといったことができます。お互いにとってよい商品となるわけです。
吉田税理士 妊娠育児雑誌として有名な「たまごクラブ」「ひよこクラブ」とタイアップして、かわいいイラストと新生児の名前をプリントしたエビせんべいの販売を今春から本格的にはじめるなど、志満秀さんはユニークな独自商品をつぎつぎとマーケットに送り出しています。
――今後の抱負を一言お願いします。
島 人の嗜好や味覚は、時代とともに微妙に移り変わります。だから、老舗メーカーとして伝統を守り続けながらも、いまの消費者のニーズをふまえた商品開発に努めていく必要がある。それが持続的な経営を目指していくうえでも大切だと思っています。
企業情報
株式会社志満秀
- 代表者
- 島 光男
- 所在地
- 香川県三豊市山本町大野2876
- 売上高
- 12億5000万円
- 社員数
- 約200名
- URL
- http://www.shimahide.com/
監査担当者 松井宏樹
税理士法人吉田・内田税理士事務所
- 所在地
- 岡山県岡山市北区東島田町
1-1-8 - TEL
- 086-238-5230
- URL
- http://www.yoshidatax.net/
(『戦略経営者』2012年6月号より転載)