常盤電機株式会社様

常盤電機株式会社の皆さんと橋脇税理士

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

部門別業績の“見える化”で
「創造的技術商社」めざす

常盤電機は、「関西ナンバー1の創造的技術商社」をめざす姫路の産業用電気機器商社。製造業の動力源・冷熱などのユーティリティ設備を主力に、コンサルティングからメンテナンスまでの一貫提供体制を強みとしている。この強みの源泉となっているのが、同社幹部社員の部門経営能力だ。常盤充社長は、顧問の橋脇公彦税理士の支援を受けながら「部門別業績管理によって幹部の経営能力向上をはかってきた」という。

導入企業の声

顧問税理士の声

導入事例紹介ムービー

FX4クラウドの導入企業と顧問税理士の声を動画でご紹介

コンサルからメンテまで工場全体をトータル支援

常盤充社長

常盤充社長

――100年以上続く老舗企業と聞いています。

常盤 1907(明治40)年に鋼材商・常盤商店としてスタートしました。私はその4代目になります。
 業種は産業用電気機器商社で、1935年から日立製作所の特約店になっています。日立の特約店は全国に73社ありますが、当社はその中でもだいぶ古いほうだそうです。

――現在の事業セグメントと売り上げ構成比を教えてください。

常盤 構成比の高い順に、重電・産業機器事業40%、冷熱事業30%、電動工具事業10%、ソーラー発電事業10%、半導体その他事業10%です。工場の動力源や冷熱などのユーティリティ設備が主力で、直接・間接の販売先は製造業が約8割となっています。仕入先は日立グループが6割で、ほかはルネサスさん、京セラさんなどです。

――差別化要因は何でしょう。

常盤 関西ナンバー1の創造的技術商社をめざしてきていまして、省エネコンサルティングやソリューション提案、エンジニアリング、メンテナンスまでを一貫してトータルに請け負うことを強みにしています。
 エンジ(ニアリング)とメンテ(ナンス)には40年前から注力してきました。以前はエアーコンプレッサーだけ、器械単体だけの省エネ対策といった部分的な提案でしたが、やっとここ3、4年で工場全体をトータルに支援できる力がついてきました。

――直近だとどんなニーズが?

日立グループ特約店

創業105年の老舗企業。日立グループ特約店は
昭和10年からで77年の歴史をもつ

常盤 一例を挙げると、関西地域は大震災後の電力不足が長びいて、関西電力などはこの冬も10%程度の節電を呼びかけていました。こうした電力不足をどうコントロールするかを顧客に提案しています。

――ソリューションだけでなく、さらにメンテナンスまでを一貫体制で提供していますが、こちらは?

常盤 メンテナンスは儲からないので、やめてしまう業者が少なくありません。当社は、顧客満足度を高めるためあえて強化し続けています。

――動力源が一時的にでも止まったら工場はたいへんです。顧客にすれば、メンテナンスを行う地元業者の存在は心強いでしょうね。

常盤 おっしゃる通り。特にエアーコンプレッサーは、いわば工場の心臓ですからね。信頼性がすごく求められるんです。
 エンジニアリングや省エネ対策の場合、競合他社は大阪や東京の企業になるんです。なので、工場で何かあったとき、彼らは距離があるからすぐに駆けつけられないし、コストも高くなる。その点、当社は地元企業なので小回りが利きます。しかも何十年にもわたって顧客と普段からお付きあいしていますから、的確な処置が迅速に行える。社内では「地域の工場の"かかりつけ医"になろう」と言っています。

――地域密着というわけですね。ただ一方で、いま海外に生産拠点を移す製造業が増えています。御社の海外展開の可能性は?

常盤 確かにお客さまの海外移転の話は少なくなくて、当社も何度か一緒に海外進出してほしいというお誘いをうけたこともありますし、実際に海外に出ている同業者もいます。ただ私は、そう簡単ではないと考えているんです。海外進出はチャンスかも知れないけどよほどの力を入れないと、失敗するリスクが決して小さくない。海外に注力した結果、地元の既存のお客さまに迷惑を掛けたら本末転倒です。
 第一、まだまだ商圏内のシェアが高いとはいえない。新規開拓の余地があるし、既存顧客との関係強化もしなければなりません。年に一度は海外を視察するなどして情報収集はしていますが、現状では地域でやることが残っていると感じています。

《MR設計ツール》活用で幹部社員の能力向上をはかる

――そうした方針や戦略を包括した表現が「関西ナンバー1の創造的技術商社」であるわけですね。

倉庫

常盤 そうです。そしてこの目標を達成するには「量」「質」「人材育成」の3つの点で戦略が必要になると考えています。  まず量とは、顧客数の拡大です。商圏でいうと伝統的に播磨(兵庫県西域)がホームタウンでしたが、さらに神戸東部へと広げていくつもりです。つぎの質は、トータル的なソリューション力に磨きをかけること。たとえば蓄電設備などのように、まだ当社のノウハウが不十分な領域は残っている。そこを継続的に強化していきます。最後の人材育成は、量と質の向上の推進力になるもので、この3つをバランスよく高めていく必要があるんです。

――人材育成についてはどのような取り組みを?

常盤 部門業績管理の仕組みが重要です。橋脇先生に指導していただき、会社の現状を部門単位で"見える"ようにしてもらいました。

――部門ごとの業績把握と人材育成がどうつながるのでしょうか。

橋脇税理士 常盤電機さんの年商は42億円ですが、この規模になるととても社長一人では動かせません。どうしても社長の分身としての幹部社員が必要になってきますし、この幹部社員の能力が全社の業績を左右するようになる。そして幹部社員の能力を向上させるには、部門ごとの業績を明確にし、部門経営者としての自覚と責任を持たせる必要があるというわけです。

橋脇税理士

橋脇税理士

常盤 以前から部門ごとに業績を把握する工夫はしてきたのですが、2008年に先生に顧問になってもらうまでできませんでした。大手システム会社にシステム構築を依頼したこともあったのですが、数千万円の見積もりがきて、しかも時間と労力も相当かかると言われた。それで先生に相談したところ、「できると思う」というのでお願いしました。
 当社は4本部1支店で計20部門があり、いまは各部門が独立した会社のように損益管理を行い、時間あたり採算までつかんでいます。

橋脇 以前から「経営実績表」という独自の管理会計用の帳表を作成されていて、これがTKCシステムの《変動損益計算書》に近い発想のものだったんです。で、「これならできる」と思ったんですね。
 作業としては、『FX4』を導入して、まずは《MR設計ツール》で以前と同じ「経営実績表」を迅速に作成できるようにし、次に部門貢献利益の算出精度向上のため、社長と幹部の方々と部門別管理の処理ルールを検討していきました。具体的には、複数部門が関わる工事の社内取引価格の算定などをしていきました。

常盤 前はエンジ、メンテ、物流の人件費までは社内共通費として配賦していました。いまは管理部門以外のすべてをプロフィットセンター化できています。「経営実績表」の改良によって、ずいぶん部門長のコスト意識は高まりましたね。

――現在は『FX4』ですが、『FX4クラウド』への変更予定は?

常盤 もちろん切り替える予定です。クラウド化を心待ちにしていました。事業継続計画(BCP)の観点からいってこれは必然ですよね。

部門別業績管理体制を幹部候補の育成にも

常盤電機株式会社の皆さんと橋脇税理士

――部門業績は待遇にも反映を?

常盤 部門のエゴが強くなる危険があるのでそれはしていません。同一顧客に対して、複数の部門が連携してサービスを提供するといったことが多いからです。
 それに待遇にまで反映させなくても、人は誰でも良くなりたいという気持ちがあるから、業績が悪かったら自ずと課題を探して改善しようという気になるんです。それを経営者はじっと見ているだけでいい。
 大事なのは、社員自身が自分の仕事の結果がどう数字に現れるのかを理解することなんです。

――業績検討会などの開催は?

常盤 毎月、23日に営業会議を行っています。20日に締めて2、3日で「経営実績表」が出るので会議に間に合うようになりました。そこで部門長が「一般行事費が増えているのは展示会を開催したからで、これは半年後の成果につながります」とか「粗利率が高かったのはエンジの売り上げが増えたからです」などと説明する。前は何も分からなかったものが、いまは利益の増減要因を話せるようになりました。経営感覚がついてきているのを実感しています。
 またあわせて、後継幹部の育成にも着手しています。3年前に5カ年経営計画を作成しまして、その中で「常盤グランドデザイン」という事業ビジョンの検討会議を行いました。この検討会議に35歳以上の比較的若い社員を参加メンバーとして募集したんです。参画した若手は13人で、彼らが当社の次代を担う人材になっていくはずです。

橋脇 「常盤グランドデザイン」の会議の様子は、当時よく社長からお聞きしていました。社外から見ても、これがきっかけで参加した若手社員が目に見えて活性化するのを感じていました。たとえば、それまであまり目立だっていなかった倉庫業務担当の社員の方が、会議のメンバーになってから自主的に業務改善を行うようになり、結果、コスト削減で大きな成果を挙げた、といったことがありました。
 常盤電機さんが半期に一度開催する活動方針発表会にも出席していますが、毎回、幹部候補社員の方々の発表には感心させられます。彼らの存在が、社内に非常に良い影響を与えていると思いますね。

――つまり、自ら問題を発見して改善に取り組む「自律型人材」に育ってきていると......。

常盤 意識がだいぶかわりましたね。『FX4』を活用した部門別業績管理体制は、経営計画の進ちょくを見える化し、彼らがきちっと育っていく上でも大きな役割を果たしてくれていると考えています。

企業情報

常盤電機株式会社

常盤電機株式会社

代表者
常盤 充
所在地
兵庫県姫路市北今宿2-4-1
TEL
079-298-1122
売上高
42億円
社員数
81名
URL
http://www.tokiwa-electric.co.jp/

顧問税理士 橋脇公彦
橋脇税理士事務所

所在地
兵庫県姫路市飾磨区三宅1-74
TEL
079-288-6884
URL
http://www.tkcnf.com/hao/

『戦略経営者』2012年4月号より転載)