税務官公署出身会員に聞く
TKCの仲間からの学びが事務所を成長させる
高田充征税理士事務所 高田充征会員(中国会鳥取県支部)
高田充征会員
20年間の勤務を経て退官し、平成22年に鳥取県倉吉市で独立開業した高田充征会員。支部主催の「事務所経営塾」には100%の出席率で「仲間からの学びを事務所経営に活かし、可能性を広げたい」と述べた。
鳥取県の包括外部監査人を経験
──まずは、ご経歴を教えていただけますか。
高田 期別は普通科46期、本科37期です。20年間勤めてきた中で、最初の配属は大阪市内の税務署、次に大阪国税局、最後が地元鳥取市にある鳥取税務署でした。一番長かったのは10年ほど在籍していた大阪国税局で、そこでは上場企業を中心とした税務調査に従事し、出張も多くハードな業務でしたが、非常にやりがいがありました。
──独立開業のきっかけは何ですか。
高田 もともと辞める予定はなかったのですが、鳥取税務署に勤務しているときに家族が病気をしまして、広島国税局への異動の話が出たので、退官して独立開業することを決意しました。
20年間の勤務では税理士試験の全科目が免除にはならず、勉強しながら2年ほどTKC未入会の税理士事務所に勤務しました。試験合格と税理士登録を機に、ご縁があって倉吉市の浜上秀行先生の事務所に移ることとなり、その際にⅢ型会員としてTKCに入会しました。Ⅲ型会員のときに、多くの研修に行かせていただき、TKCの理念やシステムについて学ぶことができたので非常にありがたかったです。その後、平成22年9月に妻の出身地である倉吉市で独立開業し、もうすぐ丸6年になります。
──これまでのご経験が現在の業務に活きていると感じますか。
高田 知識や税務的な判断に関するノウハウは、直接今の税理士業務に活きています。
それから、今年の3月まで3年間にわたって鳥取県の包括外部監査人を務め、地方自治体の監査に携わってきました。特に大阪国税局時代の上場企業の税務調査の経験を活かして、抵抗なく取り組むことができました。この公的な活動を通じて、新たに関与先となった公益法人などのお客さまもいらっしゃいまして、直接的ではありませんが、事務所にとって意味がある取り組みだったと実感したところです。
本音で語り合える「事務所経営塾」
──開業時には迷わずTKCに入会されたのでしょうか。
高田 Ⅲ型会員だったこともあって、TKCについてはおおよそ理解していましたので、情報量の多さや新規開業会員に対する手厚いフォローに期待して、特に迷うことなく入会しました。
最初に勤めた事務所で他社システムを使用していた分、よけいにTKCシステムの使いやすさ、精度の高さを感じており、自分にとってプラスになる部分が多いと感じていたことも理由の一つです。
──TKCに入会されたご感想は。
高田 何といっても圧倒的な組織力に驚きました。TKCの先輩会員やSCGの方々はこちらが申し訳ないと思うくらい、本当に丁寧に何でも教えてくれます。
税務の質問をするにしても「資産税ならあの先生、所得税ならこの先生」という方がいらっしゃり、随分頼らせてもらっています。その代わり、比較的得意分野である法人税で何か質問があれば遠慮なく聞いてもらってお答えするという姿勢でいます。
──鳥取県支部で開催されている「事務所経営塾」には欠かさず出席されているとお伺いしました。
高田 そうですね。出席率は今のところ100%です。「事務所経営塾」は繁忙期を除いてほぼ毎月開催されており、参加者は10人前後なのですが、参加される会員の皆さんは「そんなことまで言ってしまっていいんですか(笑)」と私が思ってしまうほど本音で話してくださいます。
具体的な事務所経営に関する経験談やノウハウを惜しみなく公表し合い、本音で議論ができる場というのは本当にありがたく、こんな環境はTKC以外にはありえないだろうと思います。
普段から、勉強会を開催したり、ちょっとしたことでも不安な点があれば会員同士のネットワークで相談したりと、交流の機会は多いですね。
自分の可能性が広がる感じが一番うれしい
──今後の事務所経営における課題とビジョンについて語ってください。
高田 今後は、関与先の拡大を課題の一つとして考えています。最近は、お客さまからの紹介や懇意にさせてもらっている他士業の方からの紹介が多く、今あるつながりを大事にすることの重要性を身をもって学んでいるところです。
TKCの研修会でもたびたび言われる「関与先の離脱防止」という言葉の重みはニューメンバーズ時代にはピンときませんでしたが、開業して6年になる今になってしみじみと感じています。既存のお客さまへ提供するサービスの質は現状維持ではだめで、自分自身が成長し続けながら、常にプラスアルファのものを提供できるように取り組んでいかなくてはなりません。誠心誠意を尽くすことでお客さまに喜んでいただき、結果としては顧問料の値上げや新たなお客さまの紹介につながる、これがまさに「自利利他」なのかと自分なりに解釈しています。
独立開業したことで責任が大きくなって大変な部分もありますが、頑張れば頑張った分だけ成果が数字として表れて、自分の可能性が広がっていくように感じられることが一番うれしくやりがいのあるところです。
事務所経営は課題も多く、まだまだこれからというところですが、1人では心細いところをTKCのつながりのおかげで、「1人ではないような感覚」でいられますので、非常に心強いです。今は、特に「事務所経営塾」が自分にとって大きな支えになっていると感じますが、今後もTKCの研修や勉強会などに積極的に参加して学びながら、その中で自分にできることは何かを考え、成長していきたいと考えています。
(TKC出版 小早川万梨絵)
平成22年9月税理士事務所開業。平成27年度の鳥取県包括外部監査人。
■高田充征税理士事務所
(会報『TKC』平成28年8月号より転載)