事務所経営
7000プロジェクトで関与先の黒字化支援を!─経営改善支援の標準業務化を目指して─
7000プロジェクト職員座談会
とき:平成27年9月3日(木) ところ:TKC東京本社
7000プロジェクトの実践が進む中で、「事務所で1件」から「担当者1人1件」へとさらに実践を拡大することが求められている。先行して実践が進んでいる事務所ではどのように取り組んでいるのか。実際に取り組んだ巡回監査担当者3名に実践を通じて感じたこと・学んだこと等を語っていただいた。
出席者(敬称略・順不同)
中岡俊太郎氏(関東信越会・増山英和事務所)
小田切 丈氏(巡回監査士、関東信越会・松﨑堅太朗事務所)
西岡和宏氏(中国会・秋山伸事務所)
司会/7000プロジェクトリーダー
佐藤正行会員(近畿京滋会)
プロジェクトの話を聞き「とうとうやるときが来た」
──今日は現場で実際に経営改善計画策定支援事業(以下「当事業」)の業務に携わった巡回監査担当者の皆さまにお集まりいただきました。まずは自己紹介をお願いします。
小田切 丈氏
小田切 長野県駒ヶ根市の松﨑堅太朗事務所から参りました小田切と申します。年齢は24歳です。この9月で入所してちょうど3年が経ちました。担当している関与先は16件、当事業の実践件数は事務所全体で8件、すべて計画書は作成済みで、同意までできているのが4件です。このうち、私は2件を担当しており、そのうち1件は最初から自分が中心となって対応したので、今日はこの事例を中心にお話ししたいと思います。
中岡 茨城県水戸市の増山会計事務所の中岡です。年齢は33歳になったばかりです。前職は信用組合に勤めていました。現在の事務所の勤務年数は1年半です。担当している関与先は16件で、事務所では当事業の取りまとめを担当しています。事務所全体での実践件数は、申請が13件、計画書の作成まで終わったのが8件、同意まで得られているのが4件です。
西岡 秋山伸事務所の西岡と申します。年齢は38歳、勤務年数は14年です。一般企業で少し働いた後、今の事務所に勤めています。月次の担当先は20件です。当事業の実践件数は、事務所全体で10件申請しており、私が担当しているのは3件、うち2件はモニタリングの段階に入っており、1件は計画策定中です。
──事務所で7000プロジェクトに取り組むことを最初に聞いたとき、どう思いましたか。
小田切 最初は所長から事務所の朝礼で方針発表があり、国の動向や会計事務所に求められる業務が変化してきているという話を聞きました。私個人としては、内容がよく分からず、どういうスキームで展開していくのかイメージできませんでした。正直なところ仕事が増えるのかなということを感じていました。
うちの事務所では原則として全社に継続MASシステムで5カ年計画を提供しているので、わざわざ7000プロジェクトで計画書を作成する必要性についても疑問に思っていました。
実際に支援した関与先は、巡回監査の中で資金繰りの厳しさや財務状態の悪さは感じていました。所長がピックアップした支援対象先にその関与先があり、所長から「やってみないか」と話があって、分からないなりにもとにかくやってみようと思い、取り組みました。
中岡 うちの事務所では、7000プロジェクト開始前に手掛けていた案件がありましたが、職員の間では「お客さまに新たな金銭負担が発生するし通常の継続MASの経営計画で十分ではないか」という意見も多かったですね。私個人としては前職の経験からも、経営改善計画で金融機関を説得するという業務に大きな意義を感じていましたので、7000プロジェクトがスタートして、「これで本腰を入れて取り組めるな」という思いがありました。
西岡和宏氏
西岡 認定支援機関の制度ができたときから、所長が新しいことに取り組むチャンスだと捉え、「事務所全体でこのチャンスを活かしていこう」と言っていました。もともと認定支援機関向け研修を受講していたので、7000プロジェクトの話を聞いたときは「とうとうやるときが来たな」と思いました。
実際に取り組んでみると、認定支援機関研修で学んだことが金融機関調整などの場面で役立ちました。また、プロジェクトがスタートしたときには、制度ができた当初よりもハードルが下がっていたのでこれはやりやすいなと思って取り組みました。
──最初の認定支援機関研修のゴールのイメージはハードルが高く、難しかったですね。それが1年ほど前に、中小企業再生支援全国本部から「当事業で策定する計画はこれぐらいでよい」というモデルが出て、ハードルが大分下がりました。この点は多くの職員さんに十分認識していただきたいですね。
経営者への説明時は必要に応じて所長が出る
──支援する対象先はどのように選び、経営者にはどのように伝えましたか。
小田切 対象先に関しては、まず所長が選定して、その担当者と個別相談をする形です。月次巡回監査を行っている先だったので、月次巡回の際に「関与先企業向けパンフレット」を使って、当事業の概況をご説明させていただき、経営改善計画書を作成する必要性についても話をしました。その後、別の日に所長と同行訪問して、所長から再度詳しく説明してもらいました。
中岡俊太郎氏
中岡 うちは主に苦しいから条件変更してもらいたいという先に今回のスキームを使うことを提案しました。各担当者の判断で資金繰りが苦しかったり、借り換えを希望していたりする関与先の担当者から、所長か私に相談があって、そこから進めるパターンが多かったですね。
所長から借入金で心配な点がある先は常に意識しろと言われています。決算3カ月前に所長に着地予測のレビューを出すのですが、その報告に使うチェックリストの項目にも、2期連続赤字、債務超過という項目が追加されています。
経営者には私ともう1人の金融機関出身者の2名で、対象先の巡回監査に同行して、お伝えしています。予定が合えば所長も同行します。
西岡 支援対象先は、まず資金繰りで困っている先や、すでにリスケを受けている先を担当者から挙げるように所長から言われました。私の担当先もリスケを受けている先があって、そこをまず1件目に選びました。
経営者には「この事業は費用を負担いただく必要がありますが、金融機関の合意が得られて足並みもそろいますから取り組みませんか」と所長が説明しました。
──核心の話は所長がして、巡回監査担当者に任せきりにしているわけではないと。この辺りは皆さん共通していますね。
当事業の利用を伝える前にメイン行・サブ行に根回し
佐藤正行プロジェクトリーダー
──利用申請書を出す前の金融機関とのやり取りはどのように行いましたか。
小田切 金融機関と事前の打ち合わせを何度か行いました。社長と同行させていただいて、メインの金融機関を訪問したのですが、金融機関の最初の一言が「何だ、これは?」でした。
まだ金融機関の現場の担当者までは当事業の情報が伝わりきっていなかったようで、まずは会社にご説明したときと同じで、パンフレットで事業自体を説明してご理解いただきました。
そして確認書に押印いただくために経営改善計画のたたき台を作って、確認書と一緒にお渡ししました。
──所長は同行していないんですか?
小田切 はい。社長と私だけです。基本的に社長から会社の現状と今後の見通しについてお話しいただいて、私はあくまでフォローで同行させていただき、当事業の中身の説明だけしました。
──金融機関から「何だ、これは?」って言われたら心が折れそうですが、よく頑張りましたね。素晴らしい。
中岡 私も最初は小田切さんが言われたように、金融機関の支店にまでは当事業が全然浸透していなくて、話が伝わりませんでした。それで、最初の1件、2件は所長に同行してもらい、所長から全部説明してもらいました。今ではだいぶスムーズになってきましたが、支店レベルで理解してもらえないときは金融機関の本部に直接電話し、相談に乗ってもらいます。
──当事業の開始当初と比べれば金融機関の認知度も上がってきて、支店長や副支店長クラスであれば認識はされていることが多いですね。
西岡さんはどうですか。
西岡 最初に利用申請書を出したのは、去年ですけれども、TKCで行っていた「実践会」に出させていただいて、そこでメイン行、サブ行に事前に根回しする必要があることを教えてもらっていました。ですからまずはメイン行、サブ行に電話をして、社長と一緒にお願いに行きました。
──皆さん金融機関に行く際は基本的には所長が同行せずに行っているんですね。
金融機関が知りたいと思われる点を経営者から聞き取る
──経営改善計画を策定する際に工夫した点、苦労した点をご紹介ください。
小田切 私は社長と打ち合わせを何回も重ねて、現状の問題点をはじめ、今後の事業の改善方法や運営方法を徹底的に見直し、それを計画書にまとめたという感じです。
正直、今まで継続MASシステムを踏み込んで使っていなかったので、金融支援の内容や金融機関からの要望を計画書に反映させる操作に少し手間取りました。
──計画の策定には所長は携わらず、小田切さんだけで?
小田切 はい。私たちの事務所では、社長とのやり取りは基本的に巡回監査担当者の仕事です。もちろん計画書は所長にも見てもらうので、そのときに何かあればアドバイスをもらいます。
──数値的なものをまとめるのは継続MASですね。窮境要因の分析やSWOT分析、重点課題の抽出など、いわゆる事業DDのようなことも行ったのですか。
小田切 いえ、そこまでは行っていません。
──ということは、特別な能力がいるようなものを作成しなくても金融機関に同意をもらえていると。
多くの事務所では、非常にレベルの高い計画書を作らなくてはいけないのではないかという思い込みがあるようです。そこでみんな戸惑っているんですけど、必ずしもそうではないということですね。
小田切 本当に経営改善支援センター様式の中でまとめただけです。
──24歳の巡回監査担当者が1人でできたということですから、素晴らしい。未経験の人は、巡回監査担当者が作ったものでは、支援センターや金融機関が認めてくれないだろうという思い込みがある。だけど現実にできている方がいるわけです。素晴らしい24歳ですね。年齢にこだわって申し訳ないけど(笑)。
中岡さんはどうですか。
中岡 数字の作成に関しては、もう全部継続MASシステムに依存する形で、なおかつ、細かいB/Sの推移などはその関与先の担当者に質問して作っています。
金融機関に勤めていたといっても、会計についての知識はまだまだ不十分です。それでも継続MASを使えばできますね。
──金融機関の担当者からすると、P/LはイメージできてもB/Sがどう変わっていくかというところはなかなか難しいものですか?
中岡 担当者にもよると思いますが、B/Sの変化まで連動して確認されることはあまりありませんでした。
金融機関の方に確認しながら進めることを意識して対応しました。
──ここは極めて大事なところです。会計については金融機関にとっても分かりづらい点があるからこそ、その部分をわれわれ会計人が一緒になって担っていかないといけませんね。
中岡 そうですね。だから、工夫という点では、計画策定において金融機関が知りたいであろうことを全部お客さまに聞くようにしました。
苦労したのは、そのお客さまの業態や業界の流れ、売り上げの中身といった細かい部分を金融機関に説明するのに、どういう文章を作ったらよいのかという点です。結局、それを監査担当者や所長に見てもらったり、銀行に直接「これで分かりますか」と聞いたりしました。
──西岡さんは。
西岡 経営改善計画を策定したときに商工会議所の専門家派遣を利用し、中小企業診断士の方と一緒に仕事をさせていただきました。事業DDは診断士の方、財務計画等を作るのはうちの事務所という分担です。診断士さんが経営者に売り上げの中身や根拠について質問しているのを聞いていて、すごく新鮮に感じました。自分は数字のことばかりでそういうことは全然聞いていなかったなと。
そういうことがあったので、行動計画と数字の計画がこうなっていますと、理論付けて経営改善計画を作れたかなと思います。
──会計事務所はどうしても数字をきちんと合わせるためにどうしたらいいかというアプローチの発想になってしまうけれども、ぱっと発想の転換ができたと。素晴らしいですね。そういう感覚を持った職員さんが増えるということが大事なんですよ。この7000プロジェクトは。
信用保証協会は一番の債権者
金融機関と同時に相談する
──信用保証協会や経営改善支援センターとのやりとりで印象に残っていることはありますか。
小田切 長野県は信用保証協会がとても協力的で、支援対象先の信用保証協会内での評価の現状を教えていただいたり、改善に向けてのアドバイスや情報提供をしていただいたり、保証協会主導で動いていただいた部分もありました。
バンクミーティングを計3回行いましたが、それも保証協会の「信州サポートミーティング」を活用させていただきました。
中岡 私は逆に保証協会がらみでちょっと失敗しました。基本的に茨城県もすごく協力的にしていただいているのですが、報告するときなどに金融機関を先にして保証協会を後回しにしていたのです。
最近の案件で「条件変更するにしても何をするにしても、銀行に相談するときはうちにも相談してね。一番の債権者はうちだからね」と言われたのが印象的でした。
西岡 私は経営改善支援センターの対応が印象に残っています。岡山の経営改善支援センターは、申請書を提出する前にメールでもチェックをしてくれます。また、事前に試算表や決算書を持っていくと、通るかどうかの感触を教えてもらえるので、申請して途中で駄目になることがなく、安心して取り組めるということがありました。
自分の力だけでやろうとせず外部機関の力を活用する
──実践する際にはどういったツールが役に立ちましたか。
関与先企業向けパンフレット
小田切 先ほどの話の中にも出てきましたが、まずは制度を理解をしていただく点では、「関与先企業向けパンフレット」は大変重宝しました。
あとProFITの7000プロジェクト支援コーナーに、一連の書類が全部印刷できるようになっているので、書類を探す手間も省けますし、ステップ別に整理されているので、自分の進捗確認にもなりました。
あとは所長が実践した前例があったので、その際の書類等を参考にして、確認しながら進めました。
──まず所長が一つ実践した案件が事務所の中にあるわけですね。それを皆が見ることによって、そういう判断ができるようになるのはいい環境ですね。
中岡 私の中で一番役に立ったのは、「よろず支援拠点」のサポートですね。正直、「ここは自分の手には負えないんじゃないかな」というのが何件かありまして、そのときに所長から「よろず支援拠点」に相談してみるようアドバイスを受けたのです。お客さんにも負担がかからないので。
先ほどの西岡さんの話とも少し重複しますけれども、そのときに中小企業診断士の方が言っていた言葉が印象的でした。「私は正直、この業界に関しては素人です。だから、素人の質問しかしないけど、それで何か変わるのだったらいいじゃないですか」とおっしゃっていたんです。聞いている内容も本当に普通のことで「なんでこれって駄目なんですか」「これって消せないんですか」というようなものでした。
私は数字から先に作ってしまうという癖が付いていますが、その中小企業診断士の方は、まず言葉としてアクションプランを並べて、じゃあ実際に数字はどうなるか試算してみようという形で参考になりました。
そういうふうに外部機関の中小企業診断士などの力を借りたことで動きやすくなりました。こういった外部機関の活用が進めば、もっと簡単に進められるのではないでしょうか。
──会計事務所は所長も職員も自分たちで全部やらなければいけないと思ってしまう傾向が強いです。でも、自分では手に負えないと思ったら、外部機関に相談して、協力を得ながら一緒にやっていくということも有効ですね。
西岡 私の場合はちょうど利用申請書を出す前に「実践会」があって、実際の案件の資料を持っていって、そこである程度の方向性などについて、講師の先生からかなり教えていただけたので、それがすごく役立ちました。
あと、利用申請書を出すときに必要になる事務所の料金の見積もりについて、岡山県で先行して取り組んでいた会員の先生が、ひな形を提供してくれて、自分で一から作らなくて済んだので、時間がすごく短縮できてありがたかったです。
同意書のひな形なども同様にProFITに掲示されているものを活用させていただいて、文言や表現などを自分で考えなくて済むので安心できました。
社長の意識が変わり自分のレベルアップにつながる
──7000プロジェクトに取り組んでよかったことはなんですか。
小田切 やっぱり社長の意識が変わったというところですね。最初は社長も乗り気ではなかったですし、金融機関を交えて自分の会社について話すのは初めてのことで不安だったと思います。しかし、バンクミーティングが進められていく中でさまざまな意見が出て、自分の会社のために金融機関が真剣に協力してくれていることを感じていただけたと思います。
今では社長が自ら「今月は売り上げがこれだけいった」とか、「前年よりこれが改善できた」「経費がこれだけ掛かった」というようなことをどんどんお話しされるようになりました。以前よりも前向きになられて、「経営改善計画に取り組んだおかげで、今後の会社の方向性を細かく見直すことができた。計画通りにいくよう頑張っていきたい」と毎月のようにおっしゃっていただけています。それがプロジェクトに取り組んでよかったことです。
金融機関や信用保証協会の内々の事情や、融資先の会社をどのように見ているかという目線が分かったのもよかったと思います。
あとは継続MASの操作もレベルアップできたと思いますし、自信にもなりました。
──国の新しい制度を使って、金融機関や関与先を説得し、いろいろな人を巻き込んだ中で一つの仕事を成し遂げたのですから、大いに自信にしていただいていいと思います。中岡さんはどうですか。
中岡 私の場合は、金融機関に勤務していたときに、つぶれそうな先を助けきれなかったことに悔しい思いがありました。逆に今回それを中心にやらせていただいて、まだ件数は少ないですけど、お客さまの手助けができたと思っています。
リスケを受けている企業だと、社長さんも自分の仕事に集中できないと言われていました。会社を立て直さなくてはいけないのに集中できないことが出てきてしまうと。そのような会社が立ち直るきっかけを作るお手伝いができたことが一番うれしかったですね。
会計事務所の本業は税務と会計です。なおかつ、所長から言われているのは「過去会計をやっていたのではつぶれてしまう。未来会計でやっていかなくてはいけない」ということです。それも含めた上での7000プロジェクトだと思うので、その一翼を担えて、巡回監査担当者としての勉強にもなったので、すごく自分のレベルアップにつながったなと思います。
──過去会計、税務申告というのは、やらなければならない仕事なので、どうしても会計事務所は、そっちに引っ張られてしまうんですよ。それで別のやるべき仕事が、おろそかになっていくという傾向があるので、中岡さんの存在は、事務所としても極めて大きかったのではないかと思います。
西岡さんはどうですか。
西岡 社長とコミュニケーションがしっかり取れるようになって、少しでも信頼していただけるようになれたのが非常によかったと思います。もちろん、会社もそれで立ち直って、できれば元通りに約定返済できるようになっていただきたいですし、そうなれるように、会社と一緒に成長できるところがいいなと思いました。
あと、先ほど言ったように中小企業診断士の方と一緒に仕事をさせていただいて、そういう方の仕事の仕方とか、話し方などを学ぶことができましたが、そういうことを自分で勉強しようと思ったらお金も時間もすごくかかることだと思うので、少しではあってもそういう体験をできたというのは非常によかったと思います。
恐れずに1件取り組んでみればそれほど大変ではないと思える
──最後に今後の抱負とこれから実践する巡回監査担当者へのメッセージをお願いします。
小田切 私はまだ社会人になって3年なので、会計事務所の人間としてどのように仕事に取り組んでいけばいいか、今やっていることが正しい方向に向かっているのか、疑心暗鬼なところがありました。
うちの事務所は「KFSを回す」という方針なのですが、今回、この事業を通してそれが間違っていなかったんだなということを感じました。今後もさらに、そのKFSの質を高めていくことが課題であり、抱負です。
私も最初は、所長に言われてやったことなので、分からないことも多く、手探りの状態でやっていて、正直負担感もありました。でも結果として自分のレベルアップになりましたし、一番はやっぱり社長が変わっていただけたことが大きな喜びでした。7000プロジェクトに必要なツールやノウハウは整備されているので、まずは関与先のためと思って、全力で1件やってみればいいのではないかと思います。
中岡 私自身はまず巡回監査のレベルを上げていかなければいけないということがあります。事務所全体として当事業の実践20件という目標をまだ達成していないので、状態の悪い会社だけが対象ではなく、「経営改善」を推進するのだということを、事務所全体にもっと浸透させていきたいと思っています。
月次巡回監査をしていて、FX2を導入している企業であれば、7000プロジェクトでやることは計画書作りと申請書を出すことだけです。計画書を作るのは大変かもしれないけど、スケジュールをうまく組めば、通常の勤務時間内で収められます。恐がらないで取り組んでいただければ、すぐに1件できるのではないかと思います。
西岡 うちは経営改善計画の策定を標準業務にしていくという方針があるので、まずは今支援している先を、うまく改善できるようサポートしてノウハウを溜めていきたいと思っています。
この事業に取り組めば必ず自分のスキルアップになりますし、取り組む前は大変そうに見えるかもしれませんが、1件やってみればそんなに大変ではないと思うようになると思います。
──銀行や所長から言われてやるのではなく、積極的に自分の担当先に取り組める先がないかという目で見ることが大事です。前向きな気持ちで誠意を持って1件取り組むということに挑戦してほしいですね。
7000プロジェクトを筆頭にTKCの活動には大変な部分もあるかもしれませんが、それに前向きに取り組まれている職員の皆さんはとても魅力的だと感じました。今日は本当にありがとうございました。
(構成/TKC出版 蒔田鉄兵)
(会報『TKC』平成27年10月号より転載)