税務官公署出身会員に聞く

開業して1年、毎日が興奮と感動の連続です

小髙正之会員(千葉会東総支部)
小髙正之会員

小髙正之会員

45歳で日本橋税務署を退官後、事務所を開業した小髙正之会員は、開業からわずか1年、紹介のみで18件の関与先を得た。小髙会員は、関与先同士を結びつけることも積極的に行い、「たくさんの人とお会いすることが私の仕事です」と語る。

 

尊敬する先輩に近づきたいと45歳で開業

 ──国税当局でのご経歴についてお聞かせください。

 小髙 東京国税局の普通科42期で本科30期です。当時は、渋谷、麹町、芝、浅草、麻布、江戸川北、調査部等で法人税調査を担当していました。

 印象深いできごとは、調査部の特官室にいたとき、スーパーゼネコンの調査で、インドネシアへ出張に行ったこと。それから、特別調査部門にいたときは、通常の調査は日の出から日の入りなのですが、都内の某クラブを、夜中の3時まで調査したこともありました。

 ──税理士を志したきっかけは。

 小髙 私には税務署時代に尊敬する4人の先輩がいました。そのうちの1人は江東西の調査官として初めて調査に出たときの統括官だった、中島茂幸(TKC北海道会)先生です。調査のいろはを一から教わりとても勉強になりましたね。そして、その人たちに少しでも近づきたいと思いながらも、現職のときにはとてもかなわないと思っていたので、税理士になることで「おまえにはかなわないよ」と言われる仕事がしたいと思うようになりました。そして、45歳になって2カ月経った平成21年1月に、日本橋税務署を最後に退官しました。

 平成21年5月に税理士登録後、システム導入に関して相談した税理士の方に「TKCシステムはいいよ」と言われて、入会を検討するようになりました。そして同じ頃、初めて行った千葉県税理士会の総会で、TKCブースに立ち寄った縁で「事務所にうかがいたい」という電話がかかってきました。後日、朝8時に千葉会の勝畑元宏先生と八幡寛史先生、千葉SCGサービスセンターの赤平センター長、神田センター長代理の4人がそろって事務所にいらっしゃって、とてもびっくりした反面、人間同士のつながりのある温かい組織だなと実感し、TKC入会を決めました。TKCに入会して約1年経ちますが、毎日が興奮と感動の連続で、こんなに楽しくてよいのかと思うほどです。

車なら3千キロごとに関与先が増える感覚

 ──関与先拡大はどのように行っておられますか。

 小髙 現在、18件の関与先のうち、法人、個人は約半分で、そのうち2件は今年法人成りをしたところです。おかげさまで、関与先は全てご紹介をいただいています。直接営業しているわけではないのですが、お客さま同士をつなげていくことが、結果的に関与先の拡大に結びついているのかもしれません。「たくさんの人とお会いすることは私の仕事」だと思いますし、自分が動いた分だけご縁は広がっています。車の走行距離に例えるなら、1年3カ月の間に5万5千キロ走っているので、3千キロごとに関与先が1件増えるという感覚です。

 また、5月にはお客さま2人を連れて、石垣島にある関与先で研修会も企画しました。研修会の目的は、決算書の見方、変動損益計算書を活用できるようにし、FX2の導入をスムーズに進めること。今後もこのような研修会を定期的に行いたいと考えています。

 ──TKCシステムを使われたご感想はいかがですか。

 小髙 FX2は考えて作られている分、最初は持て余しましたが、慣れたら早いうえに入力した分の業績をすぐに確認、分析することができてとても便利です。FX2は7件導入していて、今後も導入を進めていきます。また、沖縄の石垣島にも関与先があるため、インターネット技術を活用したFX2(.NET版)を導入すれば、ますます便利になるのではないかとも考えています。

 ──TKCのサポート体制についてはいかがでしょうか。

 小髙 千葉SCGサービスセンターの担当SCGは、いつも親身な応対で、とことん付き合ってくれています。本当に助かると同時に、職員同様の信頼関係が築けるので、心からありがたいと感じています。

先達会員の思いのつまった宝箱を開けてみる

 ──事務所経営の今後のビジョンとメッセージをお聞かせください。

 小髙 今は私と妻と職員2名の事務所ですが、今後関与先15社ごとに1人ずつ職員を増やしていきたいと思います。そして、3年で関与先数60件を目指し、52歳で事務所を安定させることが目標です。そして、60歳までの8年間は、TKCに恩返しをしていきたい。そのためにはTKCシステムをどんどん活用し、効率的に仕事を進めていきます。

 先輩会員は皆さんオープンですし、「こういう点に苦労した」などの知恵もノウハウもあるのが、TKCの魅力です。TKCシステムは、先達会員の思いがつまった宝箱のようなものなので、それを自分自身で開けてみることが大事なのではないでしょうか。

 誌面をお借りして、全国の税務署普通科42期生の皆さんに伝えたい。一歩の勇気が100人の仲間を得られます。いずれ、TKC全国会の中に42期会を作る日がくることを楽しみにしています。

小髙正之税理士事務所

(TKC出版 益子美咲)


小髙正之(おだか・まさゆき)会員(46歳)
 平成21年退官、同年5月税理士登録
 TKC入会:平成21年6月
 ■小髙正之税理士事務所
  千葉県香取市北2丁目8番地12第1KSビル303号室

(会報『TKC』平成22年6月号より転載)