特集
自由民主党「金融調査会・地域金融機能強化PT会議」で坂本孝司TKC全国政経研会長が提言
とき:令和5年2月27日(月) ところ:自由民主党本部7階
金融調査会・地域金融機能強化プロジェクト(PT)では、自由民主党(自民党)内で金融面の諸問題への対応を検討し、政府へその政策を提言しています。本調査会がとりまとめる金融政策は、政府の「成長戦略」や「骨太の方針」に反映されるなど大きな影響力を持っています。今回、自民党金融調査会長の片山さつき参議院議員(全国比例)の指示のもと、PT座長の高木宏壽衆議院議員(北海道3区)からTKC全国政経研究会(政経研)に要請があり、昨年に続き、本調査会へ坂本孝司会長が招聘され単独で参加しました。当日は、国会議員10名、オブザーバーとして金融庁監督局長をはじめ、財務省、中小企業庁から審議官他幹部が多数参加しました。政経研からは、主に昨年度『金融調査会 提言2022』に引用された「TKC月次指標(月次BAST)」を用いた直近の中小企業の業種毎の業況説明と認定支援機関制度の活用に関して提言しました。
二極化する中小企業の現況と認定支援機関活用の有効性を強調
片山さつき
自民党金融調査会長
本会議での政経研による提言の主な成果は次の3点です。
- ①中小企業の2021年(コロナ禍2年目)の経営指標を「TKC経営指標(BAST)」に基づいて説明し、さらに「月次BAST」を元にして直近の業況を伝えることができたことにより、全体では回復傾向、業種毎には差があり、さらに同業種でも二極化の傾向があることの認識を持っていただけた。
- ②認定支援機関(制度)は、日本全国で約3万5千超の多くの士業や商工会、商工会議所、金融機関等が認定を受けている日本で唯一の認定制度であること、また、本制度が中小企業の金融・経営支援に有効に機能していることを周知できた。
- ③さらに、金融調査会が検討している「コロナ債務免除(仮)」の制度設計上、その線引き・要件に認定支援機関を活用する方法もあるとの認識を持っていただけた。
政経研からの提言と、本調査会幹部からの「昨年の参院選において、コロナ債務免除(仮)を公約に掲げているので実行していきたい」といった発言を踏まえ、参加議員からは、「仮に債務免除を実行するとなるとモラルハザードが起きるおそれがある。もし、現在、救済すべき中小企業の経営指標の基準などがあれば教えてほしい」といった質問がありました。これに対して坂本会長からは、「『月次BAST』に基づきご説明した通り、中小企業の現況は同じ地域や業種間でもバラツキがあり一概には言えないため基準を示すことはできない。だからこそ、全国に存在する多くの認定支援機関を活用して個々の企業の実態に合わせた支援が必要」と応答し、参加議員の多くが納得された様子でした。
金融調査会による事業者支援決議文に 「税理士など認定支援機関の活用」が明記
坂本孝司
TKC全国政経研会長
後日、3月15日に中小企業庁ホームページで「ポスコロ事業」の2回目利用が1年延期(2024年3月まで利用可)されることが公表されました。これについて、今回の会議に出席していた前自民党経済産業部会長の石川昭政代議士(茨城県5区)から、「この1年延期の判断は、TKC全国会がこの1年間で「ポスコロ事業」を1千2百件超実践したこと、そのうち2回目利用が250件近くあり、金融調査会に参加していた議員はもとより関係省庁も事業の重要性について認識を深めたのだと思う。坂本会長が指摘されていたとおり、各地域で様々な状態にある中小企業を個別具体的に支援できるのは、全国3万5千件超ある税理士等認定支援機関が最適任なので、引き続き、当該事業を活用して中小企業支援に役立ててほしい」と連絡をいただきました。
3月15日に取りまとめられた本調査会の決議(次頁掲載)に基づき、同28日参議院予算委員会において片山議員が岸田文雄総理、西村康稔経産相に質疑しました。それに対し、西村経産相からは、「ポストコロナにおける中小企業支援には税理士等を始めとした認定支援機関約3万5千件の支援が必要」といった答弁がありました。予算委員会という国会でも注目が高く重要な場面において、「ポストコロナでは、全国約3万5千件超の税理士等認定支援機関の支援が必要」との質疑と答弁があったことは、非常に重要な意味を持ち、今後公表される政府の「成長戦略」などへの具体的な反映が期待されます。
(TKC全国政経研究会事務局 木多英幸)
(会報『TKC』令和5年5月号より転載)