TKC全国会 中堅・大企業支援研究会(中大研)

掲載日:2017.07.10

事業承継税制と株価評価

第1回 株価評価の原則と会社区分

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士 坪多晶子

TKC全国会中央研修所租税法研修小委員長
中堅・大企業支援研究会会員
税理士 坪多 晶子

平成29年度税制改正においては、取引相場のない株式の評価の見直し、相続税・贈与税の納税猶予制度の見直しなど、事業承継に係る制度改正が行われています。
当コラムでは、株式評価の原則的な計算方法等を解説するとともに、今回の税制改正において行われた事業承継税制に係る改正の内容とその影響について解説します。

 非上場等の時価のわからない「取引相場のない株式」は、業種ごとに会社の従業員数や純資産価額、取引金額等によって会社を区分して評価します。その区分が平成29年度税制改正で大きく変更されましたので、まず、評価の計算方法及び今回の改正点とその影響を解説いたします。

Point
①大会社・中会社(大・中・小)の範囲が総じて拡大された
②従業員数の基準が引き下げ、年間の取引金額基準も大きく引き下げ
③卸売業を除き、帳簿上の総資産価額の基準も引き下げ(大・中会社)
④会社区分が大きくなれば類似業種比準価額割合が高くなり有利になることも

1.会社の大きさによって評価方法を変える

 「取引相場のない株式」について評価することは非常に困難です。また、取引相場のない株式の発行会社といっても、多種多様です。会社の規模が全く異なる株式を1つの方法で評価することには問題があるでしょう。
 そこで「財産評価基本通達」では、評価会社を従業員数、総資産価額(帳簿価額)、取引金額(売上高)等によって大会社・中会社(大・中・小)・小会社に分類し、それぞれについて異なる評価方法で、取引相場のない株式を評価することとしています。
 この財産評価基本通達の改正により、平成29年1月1日からの相続・贈与等から、図表1のように会社区分が大きく変更されました。この会社区分の変更により取引相場のない会社の株式評価額の変動が予想されますので、取引相場のない株式については株式評価額の見直しは必須です。

2.会社の規模ごとの評価方法

 取引相場のない株式は、この改正された財産評価基本通達による会社の規模区分に応じて図表2のような評価方法で評価することとされています。

3.改正とその影響

①会社の規模区分の改正

 今改正により、会社の規模区分は、図表1のとおりとなりました。上場基準の変更に伴って数字が改正され、大会社及び中会社について、従業員数の基準が引き下げられるとともに、年間取引金額の基準も大きく引き下げられました。また、大会社の卸売業以外の業種については、総資産価額の基準も引き下げられています。
 内部留保の多い会社及び資産に含み益の多い会社の場合には、類似業種比準価額の方が純資産価額より低いことが多いため、一般的には会社の規模区分が大きいほど有利になります。純資産価額の方が低ければ、純資産価額が採用されますのでご安心下さい。

②改正の影響

 この財産評価基本通達の改正により、会社規模の範囲が総じて拡大されたことにより、取引相場のない株式の評価額が下がることも想定できる改正です。まず、非上場会社は自社の会社区分をご確認下さい。

プロフィール

税理士 坪多 晶子(つぼた あきこ)
TKC全国会中央研修所租税法研修小委員長
中堅・大企業支援研究会会員

略歴
京都市出身。大阪府立茨木高校卒業。神戸商科大学卒業。1990 年坪多税理士事務所設立。
1990年 有限会社トータルマネジメントブレーン設立、代表取締役に就任。
2012年 税理士法人トータルマネジメントブレーン設立。代表社員に就任。
上場会社の非常勤監査役やNPO 法人の理事及び監事等を歴任、現在TKC 全国会中央研修所租税法研修小委員長、TKC 全国会資産対策研究会研修企画委員長。上場会社や中小企業の資本政策、資産家や企業オーナーの資産承継や事業承継、さらに税務や相続対策などのコンサルティングには、顧客の満足度が高いと定評がある。また、全国で講演活動を行っており、各種税務に関する書籍も多数執筆。
著書等

 他多数

主宰会社
税理士法人 トータルマネジメントブレーン
有限会社 トータルマネジメントブレーン
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