ニュースリリース
デジタル完結による自治体業務の効率化・有効性を検証へ、兵庫県多可町と、ペポルインボイスの実証実験
2025年2月17日
株式会社TKC(本社:宇都宮市/代表取締役社長:飯塚真規)は、兵庫県多可町(町長:吉田一四/2025年2月1日現在人口1.86万人)と共同で、市区町村における「ペポルインボイス」*の活用による業務の有効性および効率性向上に関する実証実験を行います。
本実証実験はペポルインボイスの受領はもとより、受け取った請求書データを財務会計システムに取り込み、伝票への自動転記・起票、電子決裁から支払いにいたる事務処理の“デジタル完結”の効果や課題を検証するものです。この結果を踏まえ、TKCでは来春のサービス実用化を目指して自治体向け財務会計システムの機能を強化するとともに、さまざまな機会を通じて市区町村に対してペポルインボイス導入に向けた理解促進に努めます。
ペポルインボイス 実証実験イメージ
TKCでは、ペポルネットワークで送受信するデジタルインボイスのことを「ペポルインボイス」と定義しています
「ペポル」とは、請求書などの電子文書をネットワーク上でやり取りするための国際的な標準仕様です。日本ではデジタル庁が日本版の標準仕様を公開し、会計システムのベンダーなどで構成される「デジタルインボイス推進協議会」(代表幹事法人:株式会社TKC)とともに、ペポルインボイスの普及に取り組んでいます。
ペポルインボイスを活用することで、請求書の送り手はこれまでのように紙の請求書を発行する必要がなくなり、一方、受け手側では人の手を介することなく財務会計システム等にデータを容易に連携でき、保管・管理の手間も省けるなどバックオフィス業務の効率化の観点から市区町村でも注目度が高まっています。
TKCでは、今後も各種システム・サービスの開発・提供、運用支援を通じて、市区町村における一層の「行政効率の向上による住民福祉の増進」の実現に貢献してまいります。
実証実験の詳細
1.検証期間
2025年2月17日~3月21日
2.主な検証内容
市区町村がペポルインボイスを活用することによる内部事務の効率化・適正化の効果、課題などを検証する。
- ペポルネットワーク(検証環境)を経由したペポルインボイスの受信の検証
- 請求書データ(ペポルインボイス)の財務会計システムへの取り込み、および伝票への自動転記の検証
- 運用面の課題点の洗い出し、解決策の検討 など
ペポルインボイスに対応予定の財務会計システム「TASKクラウド公会計システム」
TKCの取り組みについて
TKCは、2022年8月にデジタル庁とペポルの管理団体であるOpen Peppolから、国内初のペポルサービスプロバイダーに認定されました。また、「デジタルインボイス推進協議会」(EIPA)の代表幹事法人として、ペポルインボイスの普及促進に取り組むとともに、受け取ったペポルインボイスから仕訳データを生成する特許(特許第6950107号)を取得するなど、民間企業に向けてペポルに対応した各種システムを提供しています。
デジタルインボイスをペポルネットワークでやり取りするには、ペポルのアクセスポイントを経由する必要があります。TKCはペポルサービスプロバイダーとしてアクセスポイントを提供し、現在、7,000社を超える事業者がこれを利用してペポルネットワークに参加しています。
このように民間企業を中心に国内でもペポルインボイスの利用は着実に広まっていますが、地方公共団体(主に市区町村)に目を向けると未だ“紙”の請求書によるアナログな処理が中心となっています。しかしながら、「令和6年度の地方財政の見通し・予算編成上の留意事項等について」(2024年1月22日/総務省事務連絡)において、市区町村でもデジタルインボイスの積極的な導入が要請されたこともあり、今後、バックオフィス業務のデジタル化と合わせてペポルインボイスの活用機運が急速に高まると想定されます。
こうした状況を踏まえ、TKCでは自治体向け財務会計システム(TASKクラウド公会計システム)などでペポルインボイス対応を進めるとともに、実務面での“デジタル完結”の有効性を検証するため兵庫県多可町の協力を得て実証実験に取り組みます。
【今後の展開】
今回の検証結果を踏まえ、自治体向けに提供する財務会計システムのさらなる機能拡充を図り、来春をめどに市区町村向けサービスの実用化を目指します。
また、さまざまな機会を通じて、市区町村に対してペポルインボイスの活用メリットの理解促進に努めるとともに、今夏以降、パートナー各社とともに積極的な提案活動を展開する計画です。並行して、市区町村がペポルインボイスを導入する上での課題について、お客さまとともに解決策を検討することにも取り組みます。こうした取り組みを通じて、市区町村における内部事務のデジタル化を支援してまいります。
ご参考
ペポル(Peppol)とは
請求書などの電子文書をネットワーク上でやり取りするための「文書仕様」「運用ルール」「ネットワーク」の標準仕様です。ベルギーに本部を置く国際的な非営利組織Open Peppolによって管理され、欧州各国など世界30カ国以上で利用されているほか、日本でもデジタル庁がこれをベースとした日本のデジタルインボイスの標準仕様(JP PINT)を公開しています。
1.ペポルの仕組み
ペポルインボイスは、送り手と受け手それぞれがアクセスポイントを経由して電子メールのようにデジタルインボイスを送受信する仕組みで、双方が利用するシステムが異なっていても、ペポルネットワークに参加する全てのユーザーとやりとりすることができます。
2.市区町村がペポルインボイスを導入するメリット
ペポルインボイスを活用することで、これまでのように紙の請求書を発行・保管・管理する必要がなくなり、市区町村とその取引先事業者の双方で“デジタル完結”による業務の効率化や生産性向上につながります。
(1)バックオフィス業務の効率化
ペポルインボイスには、適格請求書発行事業者の登録番号や取引先の名称、品名、単価、数量、取引金額など必要な情報がセットされています。そのため、請求書の受け手側(市区町村)では、人の手を介することなく財務会計システム等にデータを容易に連携できます。
(2)保存するデータ容量は最小限
ペポルインボイスのデータは、構造化されたデジタルデータ(XML形式)のため、PDFなどのイメージファイルで作成された電子インボイスに比べてデータサイズが格段に小さく、請求書の受け手/送り手ともにデータ保管が楽に行えます。
以上
当リリースに関するお問い合わせ先
株式会社TKC 東京本社 広報部
TEL:03-3266-9200