【ユーザー事例】“デジタル市役所”実現へ、カード交付体制を強化
マイナンバーカード交付予約・管理システム > 福島県郡山市
市民部市民課 課長 塩田直木 氏 / 主任主査兼マイナンバーカード係長 村上成道 氏 /マイナンバーカード係主任 戸田貴博 氏 / 住民記録係主査 根本浩好 氏
- 住所
- 福島県郡山市朝日1-23-7
- 電話
- 024-924-2491
- 面積
- 757.2平方キロメートル
- 人口
- 329,532人(2021年6月1日現在)
──カード交付の体制強化の一環として、今年4月に専用窓口「マイナンバーカードセンター」を開設されました。
塩田 行政デジタル化の推進に加え、特別定額給付金やマイナポイント事業が追い風となり、郡山市でも昨年からマイナンバーカードの申請件数が急激に増加しています。件数が増え始めた当初は、他部署の応援を受けながら市民課で対応していましたが、このままではいずれ処理が追いつかなくなることは明らかでした。また、市民の利便性という点でもコロナ感染防止策としての密状態の回避や、待ち時間の解消などが急務でした。
実は、もともとマイナンバーカード交付円滑化計画の一環として「マイナンバーカード係」を設置する構想がありました。そこで、この計画を前倒しするとともにマイナンバーカードセンターをオープンし、カードの申請補助や交付など関連業務を集約しました。現在、センターの業務時間は平日が8時半~19時、第二・四の日曜日が9時~17時です。ここに9カ所の窓口を設け、23名(会計年度任用職員19名を含む)が交代で対応しています。
増える問い合わせにも的確に対応
写真左から、村上係長、塩田課長、戸田主任、根本主査
村上 市民の利便性向上とともに、管理業務の効率化を図るにはシステム化が欠かせないと考え、「マイナンバーカード交付予約・管理システム」を採用しました。これに合わせて業務フローを見直した結果、申請受付や来庁予約、交付までの一連の業務が最適化されたと感じています。
それまでの管理台帳(エクセル)は、カードがいつ届き、いつ交付通知書を発送したかなどの“記録”に力点を置いていため、カードごとの“管理”という点では十分なものとはいえませんでした。それがいまでは、カード発行一覧表とマイナンバーカードの券面情報を読み取ることで、管理台帳を容易に作成できます。これにより、住所を手入力する手間から開放されるとともに、入力誤りの防止にもつながっています。また、交付通知書の発送にかかる作業も簡略化されました。
その結果、従来はカードの受領から交付通知書の発送までに約1カ月半かかっていましたが、2週間程度に短縮することができました。
根本 特に管理面では、カードごとに〈いまどういう状況にあるのか〉がひと目で把握できるようになったのが便利ですね。申請件数が増えたことで、市民から「カードはいつ頃届くのか」といった問い合わせも増えていますが、そうした場合に、誰が対応しても即座に明確な回答ができます。
戸田 また、以前は窓口で1~2時間市民をお待たせすることもありましたが、こうした状況はカード普及の阻害要因となりかねません。しかし、現在は予約時間に来庁していただければ、窓口で待つことなく20分程度で手続きが完了するため、申請件数の拡大という点でもプラス効果につながっていると感じています。
DX推進へ、普及拡大に一層注力
──今後の計画をお聞かせください。
マイナンバーカードセンター
村上 現在、各地区の行政センターでは日曜日のみ電話予約を受け付けていますが、今後はオンライン予約にも対応したいと考えています。
政府がQRコード付き交付申請書を送付したのに加え、マイナポイントの締め切りもあって、3月と4月の2カ月間で2万7000件を超える申請となりました。また、カードの交付率は23・4%(2021年4月時点)とこの1年間で倍増し、30%を超えるのも時間の問題となっています。
民間企業のビジネスが一定の普及率に達すると拡大期を迎えるように、マイナンバーカードも今後は普及に一層拍車がかかっていくでしょう。その点では今後、マイナンバーカードセンターを核として、「申請時来庁方式」や「出張申請」を推進しさらなる普及率向上を目指すとともに、カードの利活用にも積極的に取り組んでいこうと考えています。
塩田 山市では、2003年からスタートした『高度情報化計画』で「デジタル市役所」の推進を掲げ、以来その実現に向けて積極的に取り組んできました。そして、いま市区町村では「自治体DX推進」が大きなテーマとなっています。このDX推進の施策として、市では①ペーパレス、②キャッシュレス、③カウンター(窓口)レス、④ファイルレス、⑤会議(ムーブ)レス──の「5レス推進」を掲げています。
特に、カウンターレスという点では、市の約4300手続きの100%オンライン化を進める計画です。具体的には、〈本人確認が不要〉と〈本人確認が必要〉の二つのグループに分けてオンライン化を進めます。このうち本人確認が不要なものは、これまでも利用してきた「TASKクラウドかんたん申請システム」を活用します。また、本人確認が必要なものについてはマイナンバーカードを活用した新たなシステムの導入も検討します。
一方で、窓口サービスは今後もなくなることはないため、この点でもマイナンバーカード等を活用した市民の利便性向上と業務効率化が欠かせません。
やるべきことは山積みですが“どんな手続きでも、かんたんに、いつでも、どこでもできる”デジタル市役所を目指して、これからも継続的な取り組みを進めていきたいと考えています。
掲載:『新風』2021年7月号