【ユーザー事例】住民・職員の利便性向上へ、推進体制を一新

マイナンバーカード交付予約・管理システム > 茨城県五霞町

町民税務課 町民グループ主幹 矢島征幸 氏 / 多並貞男 氏

住所
茨城県猿島郡五霞町小福田1162番地1
電話
0280-84-1111
面積
23.11平方キロメートル
人口
8,420人(2020年8月1日現在)
茨城県五霞町

──マイナンバーカード普及促進の取り組みが、全国から注目されています。

矢島 五霞町では住民サービスと満足度の向上を目指して、制度開始に合わせてマイナンバーカードの普及・活用促進へ積極的に取り組んできました。その結果、7月12日現在で申請率は45・4%、交付率が42・0%となっています。推進にあたっては小規模団体の強みを生かし、全職員が一丸となって「草の根ローラー作戦」を展開しました。中でも職員が地域に出向き、写真撮影から申請・交付までをサポートする独自の取り組みが好評で、これはその後、「行政区交付方式」として採用する団体が全国へと拡大しました。
 普及・活用促進というと、いきなりカードの申請や活用を考えがちですが、まずは住民の理解と共感を得ることが大切です。そこで、五霞町では〈見てもらう→知ってもらう→分かってもらう→申請してもらう→活用してもらう〉ことに、繰り返し取り組んでいます。その一例が、18年8月に公開した「マイナのおうち」です。見て・知って・分かってもらうため、親しみやすさにこだわって作成したもので、町内外を問わず多くの方に閲覧されています。また申請してもらうということでは、18年11月から常設型で申請補助サービスをスタート。さらに活用面では、メリットを実感してもらえるよう「証明書コンビニ交付サービス」(16年4月)や「かんたん窓口サービス」(18年8月)を開始し、いずれも順調に利用実績を伸ばしています

順調さの陰に隠れていた課題

矢島征幸 主幹

矢島征幸 主幹

矢島 とはいえ、活動を見返すと多くの課題がありました。その最大の課題が、〈知識やノウハウを組織的に継承する仕組みがなかった〉ことです。
 制度開始から5年が過ぎて、普及啓蒙活動に“終わった感”が広がり、担当課の職員数も減りました。一方で、今年はカード(5年)や電子証明書の更新手続きが1カ月平均で約130件発生するのに加え、新規申請者の急増も想定され、このままでは対応できないという危機感を抱きました。
 そこで取り組んだのが、中長期的に取り組む推進体制の整備です。そのため専任者(会計年度任用職員2名)を配置するとともに、「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」を導入しました。導入の狙いは〈住民と職員双方の時間削減〉に加え、〈職員の業務負荷の軽減〉と〈適正な業務継続性の確保〉です。
 特に、カードの普及拡大では迅速かつ円滑、適正な実務がカギを握ります。現在、更新や新規作成・交付、マイナポイントの設定などマイナンバー関連の用件で来庁する住民は前年の約30倍に増加していますが、そうした中でも五霞町ではカードの申請から受け取りまで早い人では20日もかかりません。新たな体制を整備したことで、申請勧奨や申請補助などにも再び注力できるようになりました。システムの活用で、こうした“攻め”の活動を再開できた効果は大きいと考えています。

──実際に使った感想は。

多並貞男 氏

多並貞男 氏

多並 テスト運用を含めて20年3月から利用を開始しましたが、以前に比べ格段に業務効率化が図られました。例えば、マイナンバーカードやカード発行一覧表から基本4情報や有効期限、カード製造番号などの情報を簡単に取り込めるので入力の手間がかからず、入力ミスもありません。Web予約も徐々に増えており、今後はこの部分でも業務の効率化が進むと考えています。
 また、申請から交付済みまで進捗状況が一目瞭然で、未処理案件も管理しやすくなりました。毎朝システムで全体の状況を確認していますが、前日のやり残しなどもすぐに把握でき、漏れなく効率よく仕事を進められます。さらに個人申請と申請補助を分けて管理できるので対応にも迷いませんし、自動集計も簡単で集計データを報告書などに利用できるのも便利ですね。
 業務の効率化や時間短縮、迅速・的確な対応は全団体に共通するテーマで、取り扱い件数が多い大規模団体ほどシステム化の効果は大きいと思います。

新体制で第二の大波を乗り切る

──今後の推進計画を教えてください。

矢島 今年度は「庁内一丸から専任・専属へ『目指すはNo・1』」をキャッチフレーズに掲げて、活動を展開しています。例えば、見て・知ってもらうために、ポスター等を独自に作成してインパクトを狙ったPRに努めています。また、引き続きマイナのおうちのPRに努めるほか、ここからカード等の申請・交付、更新の予約申し込みができるようにしました。さらに活用の観点では、マイナポイントの予約・申し込みを支援しています。また、マイナポイントにプラスして町独自の「ごかりんポイント」の導入も行います。こうした活動を通じて、申請・交付率に加え住民や職員の利便性などの面でもNo・1を目指したいですね。
 マイナンバーカードは、健康保険証との一体化などにより安全・安心で利便性の高いデジタル時代のツールとして、住民生活にますます欠かせないものとなっていくことでしょう。政府は〈22年度末までに約1億1000万枚のカード交付〉を計画し、一層の活用促進に乗り出しています。まさに第二のビッグウェーブの到来で、住民生活への影響を考えると、われわれもスピード感をもって対応していかなければなりません。五霞町ではこの変化に備え、いち早く体制を見直しました。今後は情報共有など他団体と協力しながら、みんなでこの大波を乗り越えていきたいと考えています。

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