【ユーザー事例】新しい米百俵実現へ、市民視点の行政DXを推進

かんたん窓口+スマート申請 > 新潟県長岡市

市民協働推進部市民課 窓口担当 係長 小森欣恵 氏 / 主査 根立友樹 氏 / 主事 大倉知佳子 氏 / DX推進部行政DX推進課 主任 武田竜大 氏

住所
新潟県長岡市大手通1丁目4番地10
電話
0258-35-1122
面積
891.05平方キロメートル
人口
256,568人(2024年6月1日現在)
新潟県長岡市

──行政手続きのデジタル化について、取り組み状況を教えてください。

武田 長岡市では『長岡版イノベーション』を掲げ、市民生活の向上や行政事務の効率化などに取り組んでいます。その一環として、市政のあらゆる分野でデジタル技術の導入による変革に取り組み、〈誰にでもやさしいデジタル社会〉を目指すため、22年にDX推進部会を設置しました。最初に着目したのが、窓口のデジタル化でした。窓口は行政サービスにおいて市民に最も身近な接点であり、DXの効果をいち早く感じてもらえると考えたものです。
 22年7月に、部局横断による窓口デジタル化ワーキングチームを発足。今後の進め方として、①行かない市役所、②書かない窓口、③知りたいことがすぐ分かる情報発信、④効率的で働きやすい窓口業務──の四つの視点を掲げた『窓口デジタル化ビジョン』を作成しました。そして、24年2月から転出・転入・転居など36手続きで書かない窓口の利用を開始しました。繁忙期には一時的に紙の申請書での運用に戻したことで、利用件数は月に400件程度とまださほど伸びていません。

ワンストップ窓口をデジタル化

武田 かない窓口で手続きをされた市民に行ったアンケートでは、96%の満足度となりました。やはり〝書かない〟ことが便利と感じているようです。

根立 長岡市では、身近な手続きを本庁舎1階フロアに集め「総合窓口」を形成しています。また、総合窓口は11の窓口で構成され、さらに窓口名称も〝市民視点〟で目的別に分かりやすく表記しています。加えて、各種届出やおくやみに関する手続きの「ワンストップサービス」も提供してきました。
 このうち転出・転入・転居などで書かない窓口を先行スタートしたのですが、これまでのワンストップによる窓口運用を極力踏襲したことで、システムへ落とし込むのに苦労しました。これについては各課で設問形式や手続き案内などを検討する中で、TKCの協力も得ながら自分たちのやりたいことを具現化していきました。

──書かない窓口の導入で何か変化は。

大倉 窓口が空いている場合など、市民が窓口で申請書を記入することがあります。その場合、記入が終わるのを職員が待つ形となり、市民は心理的ストレスを感じていたと思います。この点、書かない窓口ではコミュニケーションを取りながら手続きを進められるため、お互いに心理的な負担が軽減されていると感じています。

根立 書かない窓口で転入届を受け付けたのですが、前住所と新住所などの情報が利用可能で、これは便利だなと感じました。また、システム操作に慣れてくれば、書かない窓口の方が早く処理できると思います。さらに、細かな運用などを職員自身が自分たちのタイミングで柔軟に変えられる点も便利だと感じています。

繁忙期対策で、事前申請を検討

──今後の計画を教えてください。

小森 いま、書かない窓口の端末は窓口にのみ設置していますが、その形態がベストなのか引き続き検討が必要でしょう。また、繁忙期対策として書かない窓口をどう活用できるのかも大きな課題です。これについては、いまスマート申請システムを活用した事前申請の導入を検討しています。その場合、自宅などから申請するだけでなく、窓口で順番を待つ間にスマートフォンなどで事前申請してもらうことができないかと考えています。それにより、窓口対応の迅速化や混雑緩和が期待できるのではないでしょうか。

武田 書かない窓口では、各課に実現できそうな手続きをピックアップしてもらい、まずは36手続きを対象にサービスをスタートしました。これに加えて、窓口デジタル化ワーキングでは、おくやみや出生関連の手続きでの活用検討も始めました。出生関連の書かない窓口が実現すれば、派生して福祉分野でもこんな活用ができるといったことにもつながっていくでしょう。まずは、そうしたできそうな手続きから徐々に広げていこうと考えています。
 窓口デジタル化ビジョンの四つの視点で、一番大事なのは〈行かない市役所〉の実現です。そのため、オンライン申請ができる手続きを拡大します。また〈情報発信〉では、市民が利用できる手続きをオンライン検索できるようにすることも検討しています。〈効率的で働きやすい窓口業務〉では、やはり標準化後の基幹系システム連携がポイントといえ、公共サービスメッシュなどの動向にも注目しています。

武田 長岡市では、すべての市民のための「行かない」「書かない」「スムーズな」行政サービス推進事業として、全ての市民に〝簡単・便利・親切〟な窓口サービスを提供するため、オンライン申請サービスの機能拡充や書かない窓口、キャッシュレス決済の導入などを一体的に進めてきました。

根立 また、市民課独自の施策としてもオンラインで事前に受け付けた申請データをRPAツールで加工し、申請書や異動届の事前作成などに取り組んできました。今後、スマート申請システムでの事前申請に移行すれば、申請受付がよりスムーズになるだろうと期待しています。窓口も紙ベースの申請から徐々に移行している段階ですが、新たな環境に慣れればより多くの職員が活用効果を実感できるようになるでしょう。

武田DXの取り組みはまだスタートしたばかりです。長岡版イノベーションに掲げた「新しい米百俵」実現を目指して、これからもデジタル化による市民生活の向上と行政事務の効率化へ取り組みます。

写真左から小森係長、武田主任、根立主査、大倉主事

写真左から小森係長、武田主任、根立主査、大倉主事

  • お客様の声
  • TKCインターネットサービスセンター「TISC」のご紹介