【ユーザー事例】窓口改革へ、おくやみ手続き支援に先行着手
かんたん窓口システム > 茨城県筑西市
総務部 行政改革推進課 課長 成川幸夫 氏 / 主事 野田英寿 氏 /市民環境部 市民課 係長 奥田健一 氏 / 主任 米田香代子 氏
- 住所
- 茨城県筑西市丙360番地
- 電話
- 0296-24-2111
- 面積
- 205.3平方キロメートル
- 人口
- 99,812人(2021年2月1日現在)
──かんたん窓口システムを活用して、今年1月20日から「おくやみ手続支援窓口」のサービスをスタートされました。その経緯を教えてください。
成川 筑西市では、2020年3月に『第4次筑西市行政改革大綱』を策定しました。ここで掲げた改革の一つの柱が〈市民サービスマネジメント〉で、デジタル技術を活用した行政手続きの簡素化などによる市民サービスの向上に取り組んでいます。このほど市民課に新設した「おくやみ手続支援窓口」もその一つで、各種行政手続きのデジタル化(書かない窓口やオンライン申請など)の先陣を切ってサービスを開始しました。
死亡手続きは亡くなられた方によって必要となる手続きが異なるため、以前から「分かりづらい」という意見が寄せられていました。また、関係する課も多く、ご遺族は何度も同じ情報(氏名や住所など)を申請書に記入するなど、手続きに時間も手間もかかっていました。そこでご遺族の負担を軽減するため、その方に必要な手続きを案内し、それらの申請書作成を補助する専門窓口を設置しました。
満足向上へ継続改善に取り組む
──利用状況はいかがでしょうか。
奥田 サービス開始から1カ月で70件の利用がありました。
窓口ではタブレット端末(かんたん窓口システム)を使って、手続きに来られた方に20項目ほどの質問に答えていただき、必要となる手続きの案内票と、あらかじめ氏名や住所などを印字した申請書をお渡ししています。現在、市民課の職員が対応していますが、システムの操作時間は平均で10分弱となっています。
また、利用者にはアンケート調査をお願いしています。まだ詳細分析ができるほどの回答数ではありませんが、これまでのところ〈職員の説明・窓口対応〉や〈プライバシーへの配慮〉などでは、おおむね満足していただいているようです。その一方で、手続きが多いことから〈ワンストップサービス〉を期待する声も寄せられています。
米田 これにより手続きにかかる時間がどの程度短縮されたか、単純比較が困難なため定量的な効果を示すことはできませんが、アンケート結果を見ると〈全ての手続きにかかった時間は1時間半から2時間〉との回答が多いことから、迷わずスムーズな手続きの実現には役立っているのではないかと感じています。
デジタル化の先陣を切ってスタートした「おくやみ手続支援窓口」
──なるほど。サービス開始にあたり検討部会を組織されたと伺いました。
成川 そうですね。導入準備と継続的なサービス向上を図るため、「おくやみ手続支援窓口検討専門部会」を発足しました。メンバーは関係各課の係長以上の職員で、ここではご遺族が窓口を回りやすいよう手続き案内票の順番を工夫するほか、おくやみ手続支援窓口の業務マニュアルの作成などにも取り組みました。
野田 手続き案内のための質問項目の設計では、事前に関係する死亡手続きを調査し、それをもとに行政改革推進課が原案を作成して、関係各課がチェックする──という具合に連携して取り組みました。その質問内容も、できるだけ専門用語などを避け、市民に分かりやすい表現となるよう知恵を絞りました。
なお、アンケート調査で要望のあったワンストップ対応については、車椅子の利用者などフロアの移動に配慮が必要な方にはすでに実施しています。スペースが限られるため現行では限定的な運用としていますが、アンケート結果など利用者の声を参考に専門部会で改善策を検討し、さらなる市民の満足向上へ取り組む計画です。
成川 死亡手続きは年間約1200件に達し、ご遺族の負担を少しでも軽減するためおくやみ手続支援窓口の拡充と並行して、市役所以外で必要とされる手続きまで分かる『おくやみハンドブック』の制作も進めています。
未来のために、いまできる改革を
──市民サービス向上へ、今後もさまざまな取り組みを計画されています。
成川 筑西市では、各種証明書の交付申請にかかる市民の待ち時間・手続きを簡素化するため、20年1月からかんたん窓口システムを活用しています。このシステムが持つもう一つの〈手続き案内・申請書作成支援機能〉を活用して、おくやみ手続支援窓口のサービスを開始しました。
死亡手続きからの導入は少し難易度が高かったかなと感じていますが、この機能を活用して、いずれは転入転出、出生届などでも“書かない窓口”の実現を期待しています。
ほかにも『第4次筑西市行政改革アクションプラン』では、各種申請手続きのデジタル化・オンライン化を計画しています。これに向けて現在、押印を必要とする手続きについて調査するほか、マイナンバーカードの普及・利用促進、手数料等支払い方法のキャッシュレス化などの準備を進めています。これらにより、さらなる市民サービスの向上へ取り組みます。
また、サービス提供に必要な事務処理の効率化という点では、業務フローの見直しを図るとともに、AI・RPAなどを活用して、働き方改革も推進します。今年度は三つの業務でRPAを導入しており、今後も活用範囲を拡大する計画です。
人口減少・少子高齢化、多様化する市民ニーズへの対応、厳しい財政状況などの課題を解決する特効薬はなく、行政改革は避けられないテーマです。持続可能な市民サービスを将来にわたり安定して提供し続けることができるよう、〈いまできる改革・いますべき改革〉へ積極的に取り組んでいきたいですね。 (松本真理恵)
掲載:『新風』2021年4月号