事業計画書の作成
収益
まず、収入ですが、収入の大部分を占めると思われる保険診療収入については、次の算式で計算します。
保険診療収入 = 1日当たり外来患者数 × 1人1日当たりの診療単価 × 年間稼働日数
このうち、「1日当たり外来患者数」については、診療圏調査で算出した見込患者数を用います。ただし、開業当初からその患者数を確保できることは稀ですので、1年目は平均で約5~6割程度、3~4年でほぼ見込患者数に近づけていくという計画にします。
「1人1日当たり診療単価」については、診療科目、診療内容、院内・院外処方によって異なります。例えば、内科の院外処方の無床診療所であれば、5,000円前後というところでしょう。
「年間稼働日数」は、休診日等を考慮して概算で計算します。
そして、自由診療収入や介護保険収入、雑収入等を適切に見積もります
費用
費用は、大きく分けると変動費、人件費、地代家賃、減価償却費・リース料、その他の経費、支払利息があります。費目別に考えていきましょう。
変動費
収入に対する比率で考えます。この比率は、診療科や診療内容により異なり、一般的に医薬品費は、院内処方で25~35%程度、院外処方ではほとんどかかりません。この他、診療材料費と検査委託費を数%ずつ見込みます。
人件費
職種別に〔人数×月給与額×月数〕で計算します。月数は正職員ならば賞与を考慮し、年間で16か月分などとするのが通常です。また、これとは別に、奥様等の専従者給与を計算します。さらに、人件費に対して、10%程度の法定福利費を見込むことを忘れないようにしましょう。
地代家賃
土地・建物を賃借する場合に必要となります。
減価償却費
設備投資として見込んだ建物、医療機器等について 定額法もしくは定率法で計算します。医療機器等をリースで導入した場合には、減価償却費の代わりに毎月のリース料を計上することにご留意ください。
その他経費
消耗品費、水道光熱費、通信費、保険料、租税公課 広告宣伝費など、内容別に適切な額を見込みます。
支払利息
借入返済計画から毎期の利息額を計算します。
事業計画書のサンプル
TKC全国会医業・会計システム研究会のTKCクリニック開業支援アドバイザーは、下記の「事業計画書」の作成を支援しています。
- 6か年目標変動損益計算書
- 月次目標変動損益計算書(3年分)
- 6か年資金繰り計画表
- 月次資金繰り計画表(3年分)
- 6か年目標要約貸借対照表(「6か年」とあるのは、開業初年度の月数が12か月以内となるためで、開業後5か年分の計画の立案を想定しています。)ここでは、「6か年目標変動損益計算書」のサンプルをご紹介します。