導入事例CASE STUDY
和田商事株式会社 様
前列左は一瀬麻希子経理担当。右は川本実由起監査担当
統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例
限界利益と支出を注視し
数字で語る習慣が定着
和田商事は営業力を武器に、北九州をはじめ全国へ取引先を拡大してきた。2代目の和田由宇希社長のMVVを基軸にした経営で、業績はコロナ禍からV字回復を達成。限界利益を重視するマネジメントの詳細を一瀬麻希子経理担当、中村哲明(よしあき)顧問税理士を交えて聞いた。
思いをMVVに集約し営業力に磨きをかける
──「SEN℃」というブランドを掲げられています。
和田由宇希社長
和田社長 職人がものづくりに注ぐ熱量(1,000℃)と新たな価値の創造(鮮度)、それらを掛け合わせた製品を届ける(send)という三つの意味を込めました。ブランドというより、われわれのものづくりにかける思いや使命、方向性を表すMVV(※)の役割を果たしています。
──ねらいを教えてください。
和田 人工大理石の製造は、他社との差別化を図るのがむずかしい業態です。また、人工大理石は高級品とのイメージがあり、気軽に問い合わせづらいという声をよく聞きます。顧客から選ばれるためには、当社に対する認知度を高める必要があると考え、2019年に社内プロジェクトを発足。外部のデザイナーの方に加わってもらい、目指す方向性について従業員と議論してきました。その成果のひとつが親しみやすさを押し出したロゴマークで、本社工場の外壁や商品カタログ、名刺などにあしらっています。
──どんな効果がありましたか。
和田 刷新した商品カタログや名刺を営業活動で用いることで、顧客の記憶に残り、ウェブサイトや交流サイト(SNS)経由の問い合わせに結びついています。ものづくりに専念している同業メーカーが多いなか、営業力と提案力を有しているのが当社の強みです。福岡、大阪、東京に拠点を置き、担当者が販路を地道に開拓しています。
人工大理石を加工して製作したテーブル等(左)
と営業活動に用いている商品カタログ
──インスタグラムでは、約1,000人のフォロワーを獲得されています。
和田 注力分野を人工大理石の製造から加工へ徐々にシフトしており、製品をイメージしてもらう入り口としてSNSを活用しています。意識しているのは、商品を売り込まないこと。その方針をぶれさせないよう私自身が写真を撮影し、文章を投稿しています。
インスタグラムにはほぼ毎日投稿していますが、ネタ探しは悩みの種です(笑)。ただ、投稿頻度を減らすと自社サイトのアクセス件数が如実に減少するので、モチベーションを維持できています。スマートフォンでの撮影時、製品のキズや汚れがよくわかり、従業員の品質向上、整理整頓意欲が高まったのは予想外の効果でした。
──そもそも人工大理石は、どのような原料で製造されていますか。
和田 水酸化アルミニウムなどの天然の鉱石粉に樹脂を混ぜ、チップや着色料を加え、色合いを調整してつくります。端的に言うと高価なプラスチック素材です。磨き、曲げ、接着という三つの加工技術を駆使し、職人が熟練の業で仕上げています。
──代表に就任されたのは20年7月でした。
和田 大阪で9年間営業職を経験した後、本社へ戻り、父から経営を引き継ぎました。当時はコロナ禍で、中東情勢が緊迫している現在と同様、先行きが見えない不安しかありませんでした。落ち込んだ業績を挽回できたのは、前向きな気持ちを持つ多くの従業員が奮起してくれたおかげです。
※MVV…Mission、Vision、Valuesの略
業績を即確認できるのが「クラウド」のメリット
──中村哲明顧問税理士と長年お付き合いされているとか。
和田 先代社長である父の友人から前身の柴田央敏税理士事務所さまを紹介され、顧問契約を結びました。以来40年間、経営をサポートいただいています。
中村哲明顧問税理士
中村 昨年、父が所長を務めていた中村啓一郎税理士事務所を事業承継し、事務所を開業しました。祖父である柴田から私まで、3代にわたりお付き合いしています。
──2年前に会計システムを『FX4クラウド』へ移行されたと聞きました。
和田 以前は『FX2』を利用していましたが、私自身、業績を確認する機会は多くありませんでした。というのも、システムが経理担当者のパソコンにのみ登録されていたからです。会長と私は儲けが出ているかどうか、ある程度イメージできていたものの、数字を元に説明できないもどかしさがありました。感覚経営に近い状態だったといえるかもしれません。
──システム移行後、どう変わりましたか。
和田 効果を最も実感するのは、自分のパソコンで最新業績をいつでも確認できるところです。業績面で気になる点があれば、システムを即座に立ち上げて原因を分析できるのはありがたいです。
──黒字経営を継続されていますが、どのような点を念頭に置いていますか。
和田 心がけているのは、従業員に数字で気づきを与え、意識させ、やる気にさせることです。
例えば、毎月オンライン形式で開催している営業会議では、限界利益が給与の原資となる点を伝えています。直近の業績を目標値と比較しながら営業施策を話し合い、議論が白熱すると2時間以上かかるときもあります。営業担当者は売り上げだけでなく限界利益目標額も設定しており、賞与査定の指標に目標達成率を用いています。給与をはじめ待遇面を充実させた結果、従業員に責任感と自覚が芽生えると同時に、成長意欲のある人材が育ち、組織がうまく回るようになりました。
──重点的に確認している項目は?
和田 売上高の推移はもちろん、支出額と限界利益に注目しています。大幅に変動した支出科目があると、月次巡回監査で監査担当の川本さんから質問されるので、毎月の支出額に気を配り、限界利益を意識することの重要性が理解できるようになりました。支出額のコントロールは経営者の大切な役割です。また、製品の取り付け工事も手がけているため、取引先への支払いが先行する場合があり、手元資金の状況をこまめに確認して手を打てるのは助かります。
精緻な業績予測を元に価格改定をいち早く公表
納品先は飲食店やオフィス、ホテルなど幅広い
──意思決定を迅速に行えるようになったと。
和田 そこは圧倒的ですね。現状、中東情勢の行方に危機感を覚えていますが、2月下旬の時点で業績の異変を察知していました。「当期決算の先行き管理機能」を活用して、業績が計画どおりに進捗しない点に疑問を感じていたんです。3月25日、当社サイトに中東情勢の悪化に伴う販売価格の見直しと、受注数量の制限に関する告知を掲載しました。このような意思決定をいち早く下せたのも、『FX4クラウド』で業績推移をウオッチしつづけてきた効用です。
──仕訳入力はどのように?
一瀬 『SX2』と『PX2』を併用しており、販売、給与データをエクセルでも『FX4クラウド』へ連動できるので便利です。金融機関の取引データについても「銀行信販データ受信機能」を用いることで仕訳入力の労力が減り、入力ミスの心配もなくなりました。
──金融機関へ業績を定期的に報告されているとか。
和田 「TKCモニタリング情報サービス(MIS)」を活用して、4行の取引金融機関に決算書データを送信しています。担当者の方から、業績をタイムリーにつかめるのでありがたいと評価されています。
中村 和田社長の経営手腕で特筆されるのは、柔軟性と実行力です。代表に就任されて以降、限界利益を重視する経営へ転換され、収益構造は着実に改善しています。
──展望をお聞かせください。
和田 コロナ禍に受注が伸び悩んだ要因は、人工大理石という特定分野に依存しすぎていたことにあると分析しています。現在はその反省を生かし、クォーツストーンやセラミック製品の販売から、左官、さらには造作家具の開発まで、多様なニーズに自社で応えられる体制への転換を進めています。造作家具の製造部門を今年本格始動させたのもその一環です。ゆくゆくは一般消費者向け製品の展開も視野に入れ、さらなる成長を目指します。
企業情報
SEN℃のロゴマークが
目を引く本社工場
和田商事株式会社
- 業種
- 人工大理石製造、加工業
- 設立
- 1976年9月
- 所在地
- 福岡県遠賀郡遠賀町鬼津丁口1662
- 売上高
- 約12億円
- 従業員数
- 33名
- URL
- https://wada-shoji.co.jp
顧問税理士 中村哲明税理士事務所
顧問税理士 中村哲明
- 所在地
- 福岡県北九州市八幡東区中央1-1-12-301号
- URL
- https://nakakei.tkcnf.com
(『戦略経営者』2026年6月号より転載)


