導入事例 CASE STUDY
株式会社oneA 様
左から(税理士法人パートナーズ関西)杉野泰吾副所長、原田寛司税理士、露口和夫所長税理士、露口六彦税理士 (oneA)川上良康代表取締役会長、徳永一成取締役社長、川上良介常務取締役、中井達也取締役CFO
統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例
計数管理を精緻化させ
飛躍を遂げる老舗メーカー
アミューズメント施設向け呼び出しランプの製造販売を主力とし、2023年に創業100周年を迎えたoneA(ワンエー)。近年は産学連携によるヘルスケア商品を開発するなど、動向に注目が集まっている。クラウド型のシステムを活用した財務マネジメント手法について、川上良康会長を中心に話を聞いた。
環境変化に柔軟に対応し「国産初」を続々投入
──扇風機の製造販売からスタートされたそうですね。
1923年に製造開始した
「AEW 扇風機」
川上会長(以下会長) 1923年に祖父が立ち上げた朝日電工所が当社のルーツです。祖父は発明家でもあり、国産初のアルミファン採用の扇風機や、16ミリ映写機といった画期的な製品を開発しました。その後、父が緊急自動車用サイレン、回転灯の製造で技術を培い、私の代でアミューズメント業界に参入。国産初となるマイコン搭載型呼び出しランプが飛ぶように売れ、同製品におけるシェアは2%から50%まで一挙に伸長しました。
現在は①アミューズメント事業②金属切削加工事業③産業機器事業④EMS事業⑤ウェルネス事業の5本柱で展開しています。
──さまざまな変遷があったと。
会長 これまでの歩みを振り返ると、20〜30年周期で大きな出来事が起こっているのがわかりました。今日まで存続できたのは、時代の変化に合わせて事業内容をシフトさせてきたことにつきます。
──直近ではコロナ禍もありました。
会長 全社売上高におけるアミューズメント事業のシェアは7割ほどを占めますが、コロナの感染拡大期は5割以下まで落ち込みました。“入り”の少ないときは“出”を抑える。これがわが社の伝統ですから、いっときは週休5日制をしくなどして経費節減を徹底しました。ただあわせて、新商品の開発は継続するよう指示しました。
──強みを挙げるとしたら?
各種呼び出しランプを製造
会長 国内に製造拠点を置き、開発から製造販売、出荷にいたるまで一貫して手がけられるところです。従来は国内3カ所に製造拠点を設けていましたが、社長の徳永の陣頭指揮のもと業務改善に取り組んだ結果、面積効率が大幅に向上し、拠点を1カ所削減できました。納期も短くなり、20日以上かかっていたリードタイムを3日に短縮できた製品もあります。
徳永社長(以下社長) 以前勤務していた会社で、いわゆるトヨタ生産方式による工場の業務改革を担当していました。oneAでもその手法を応用できるのではと考え、12年ほど前に生産体制の見直しに着手しました。スピード感ある対応と、変化を恐れない体質。これらも強みであると感じています。
──ウェルネス領域で手がけられている事業を教えてください。
会長 快眠をサポートするウェアラブルデバイス「Sleeim」を販売しています。睡眠時にスマートフォン専用アプリと連携して、いびきや呼吸レスの状態を確認できるほか、それらを検知し振動により快眠状態に導きます。大阪電気通信大学との共同研究により生まれた商品で、いびきの抑制に役立つとユーザーの方から喜ばれています。今後、医療機器認証の取得にもトライしたいです。
川上常務(以下常務) BtoC領域の商品であるため、目下の課題はいかに多くの人たちに商品を認知してもらうか。ウェブマーケティングを活用した販売促進にさらに注力していきます。
独自の分析資料を作成し最新業績を不断に確認
露口六彦税理士に贈られた感謝状
──税理士法人パートナーズ関西の露口六彦税理士とは長年のお付き合いをされているとか。
会長 今年(2023年)でちょうど50年になります。税理士事務所開業前に勤務されていた会計事務所の職員時代からの付き合いです。先生が事務所を開業されて以降は、税務顧問、監査役として経営を指導いただいています。
露口六彦税理士 先だって開催された創業100周年記念パーティーでは、「感謝状」を授与いただきました。川上会長が代表に就任されてから書面添付(※)を毎期実践しており、いっそう手堅く優秀な会社になりましたね。
──2012年から『FX4クラウド』を利用されていると聞きました。
中井CFO それまで利用していたクライアントサーバ型のシステムから移行しました。10台ほどのパソコンで運用していますが、インターネット経由で各パソコンのプログラムを更新でき、かつ複数の社員が仕訳入力やチェックを同時に行えるようになり、非常に助かっています。
──どのような資料で業績を確認していますか。
会長 毎月開催している役員会議では、『FX4クラウド』の業績データをもとに作成した資料を配布しています。なかでも注目しているのは、限界利益率や自己資本比率といった項目。原材料価格の高騰が続くなか、前月からいくらコストダウンを図れたかもチェックしています。最新の業績データを加工してオリジナル資料を作成し、気になる指標をひと目で把握できるのは便利です。
──役員会議以外で業績を確認する場はありますか。
社長 役員と部課長クラスの社員が参加する「オフィスユニット会議」でも、各部署から『FX4クラウド』で把握した直近の業績について報告を受けています。いわゆる月次報告会のようなものですね。その後、業績の見通しと打ち手について侃々諤々の議論を交わしています。
中井CFO 前年同月比較だけでなく、「TKC経営指標(BAST)」に収録されている同業他社の業績データと比較しながら、経費が適正であるか判断できるところも重宝しています。
露口和夫所長税理士 特筆すべきは、川上会長ご自身が「簿記1級」を保有されているところで、経営陣の方々の計数管理能力が優れているのは間違いありません。
※書面添付制度(税理士法第33条の2)
申告書作成のプロセスにおいて、計算、整理、相談に応じた事項を明らかにした書面を申告書に添付し、税務の専門家である税理士が、その申告が誠実に行われていることを示す制度。この書面添付を行うことで、顧問税理士が税務署から意見聴取を受けた上で企業への税務調査が省略されることがある。
クラウドによる効率化で月次決算が最短4日に
大阪市鶴見区にある本社
──クラウド型のシステムに移行して、どんなところに利点を感じられていますか。
会長 複数の社員が同時に仕訳入力できるので、月次業績をよりスピーディーにつかめるようになりました。以前は商品在庫の確認や請求書等のやり取りに時間を要し、月次決算を締めるのに2週間ほどかかっていたんです。それがさまざまな業務改善活動もあいまって、今では最短4日で月次決算を終えられるようになりました。
──部門別業績管理機能は活用していますか。
杉野副所長 川上会長が説明された5つの事業を『FX4クラウド』に部門登録し、各事業部の詳細な業績を把握できる体制になっています。私と税理士の原田が月次巡回監査時にうかがう際には、修正すべき箇所のほぼない状態で仕訳データが完成しています。
原田税理士 oneAさまを担当して1年半になりますが、これまで取り組まれてきた経費節減策が功を奏し、業績はコロナ禍から順調に回復しています。
──展望をお聞かせください。
会長 われわれが呼び出しランプを手がけるようになって30年になりますが、これにとって代わる商品を開発できていません。常務が中心となり全社員参加によるプロジェクトを発足し、新事業を立ち上げるべく議論しているところです。介護のマッチングアプリ等、若手社員の柔軟な発想からさまざまなアイデアが生まれつつあります。
また、事業承継を予定しており、円滑な承継に向け「特例承継計画」の策定を露口先生にご支援いただいています。
常務 新商品の開発とあわせて、既存事業のテコ入れにも取り組んでいきたいと考えています。主力商品である呼び出しランプは、昨今デザインや機能性が重視されているため、ソフトウエアの開発体制を強化していきます。目指しているのはモノ売りではなく、コト売りです。
企業情報
グッドデザイン賞受賞の
ウェアラブルデバイス「Sleeim」
株式会社oneA
- 創業
- 1923年10月
- 業種
- 電子応用機器製造販売
- 所在地
- 大阪府大阪市鶴見区放出東3-30-20
- 売上高
- 約45億円
- 社員数
- 約145名
- URL
- https://www.one-a.co.jp
顧問税理士 露口和夫
税理士法人パートナーズ関西
- 所在地
- 大阪府和泉市桑原町247-6
- URL
- https://www.tuyuguti-tax.jp
(『戦略経営者』2024年1月号より転載)