導入事例 CASE STUDY
山陰石油株式会社 様
統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例
仕訳連携機能をフル活用し
経理業務の効率化を実現
鳥取県米子市に本社を置く山陰石油は創業70年超の石油販売会社。最近はガソリンの供給に加え、メンテナンス、車検、レンタカーなど自動車を中核に据えた多彩な事業を展開している。坂口元昭社長に経理担当の今田仁美次長、播間匡広顧問税理士を交え、同社の経営・財務戦略を聞いた。
多彩なニーズに柔軟に応え快適なカーライフをサポート
──1950年創業と長い業歴をお持ちですね。
坂口元昭社長
坂口 終戦直後に創業して以来、70年以上にわたりエネルギーの安定供給に取り組んできました。当社の商圏である鳥取県・島根県には創業100年を超える会社が多く、「老舗」と名乗るのは憚られるのですが(笑)。それでも、こうして70年以上も事業を続けてこられたのは日ごろから地域に密着した経営を目指し、多様化するお客さまのニーズに速やかに対応してきたからだと自負しています。ちなみに創業者は祖父で私は2007年に社長に就任しました。
──詳しい業容を教えてください。
坂口 メインの事業はガソリンの販売です。サービスステーション(SS)は直営店9拠点、販売店12拠点という構成で、一部の店舗ではガソリンの供給だけでなく中古車販売やメンテナンス、車検、自動車保険も取り扱っています。このほかレンタカーやカーリース事業も行っており、レンタカー事業では鳥取と島根の主要都市を中心に営業拠点8店舗、およそ400台の車を保有しています。
──強みは何でしょう。
坂口 車に関するお悩みをワンストップで対応できるところでしょうか。中古車を購入したい、車検を受けたい、保険に加入したい、車体の傷を直してほしい……など、ありとあらゆるニーズに柔軟に応えられる体制を整えています。当社には自動車整備士の資格を持ったスタッフが多く在籍していますから、ちょっとした困りごとでもSSにお越しいただければ懇切丁寧に対応します。
──特に好評なサービスは?
「マイクロリペア」はちょっとした傷、凹みを
短時間・低価格で補修
できるサービス
坂口 保険がきかないようなちょっとした傷・凹みを補修する「マイクロリペア」はお客さまから高い評価をいただいています。
──どのようなところが?
坂口 車種を問わずすべての車で作業可能なところ、そして、短時間・低価格で対応できるところでしょうか。マイクロリペアでは20センチ以内の傷であれば1万4,300円、21~40センチであれば2万8,600円……といったように、傷の大きさに応じて段階的に料金が上がる仕組みになっており、20センチ以内の細かい傷であれば最短1日で修理が完了します。
──使い勝手の良いサービスですね。
坂口 山陰地方は冬になると大雪の降る日が多く、雪に隠れた縁石に乗り上げてしまい、バンパーを傷つけてしまったというケースが後を絶ちません。こういった不注意で付いてしまった傷や凹みをスピーディーに補修してほしいという方にご利用いただいています。
──足元の景況はいかがですか。
坂口 ご存じのとおり原油価格高騰の影響が直撃しています。一時は小売価格が170円台まで上昇したこともあり、昨年度は40億円という近年では比較的高水準の売上高を計上しましたが、もちろん原価も上がっているので限界利益そのものはあまり伸びていません。その分、助成金等の支援策を積極的に活用したことで経常利益はある程度確保できています。
──その他の事業は?
坂口 コロナ禍の影響でレンタカー事業の業績が大幅に落ち込みました。利用者のほとんどが観光客ですから、2020年から21年後半にかけてはどん底の状態でしたね。22年に入り経済活動が徐々に元に戻るにつれて利用者数も増え始めました。現在は売り上げも回復基調に転じつつあります。
仕訳入力の負担を減らしクリエーティブな仕事に注力
──まほろば税理士法人坂口事務所との関係について教えてください。
坂口 創業当時からのお付き合いと聞いています。70年以上も前のことなので当時を詳しく記憶している人はいないんですが……。
今田 毎月15~20日ごろに播間先生が来社され、前月の業績確認や税金に関する情報提供など、税務・会計まわりのことを手厚くフォローしていただいています。本当に頼りになります。
播間匡広顧問税理士
──『FX4クラウド』を導入した理由を教えてください。
播間 主に二つあって、一つは部門ごとに細かい業績管理ができるところです。坂口社長がお話しされたように山陰石油さんはガソリン販売のほか、レンタカーやリース、保険など多岐にわたる事業を展開しています。SSの拠点数も多く、関連会社として物流業や産業用電源の販売も営んでおられる。これらの部門ごとに細かい業績管理を行うには『FX4クラウド』の部門階層別管理機能を使うほかないと判断しました。
──もう一つは?
播間 仕訳連携機能の豊富さですね。以前は各部門が手書きで記帳していた出納日報の内容を今田さんが一つ一つ手入力されていたので、『FX4クラウド』の連携機能をフル活用すれば仕訳入力にかかる負担が大幅に減らせるだろうと思いました。
──実際の運用方法は?
今田 売り上げ、仕入れ等の販売データは各部門が作成したエクセルシートをそのまま『FX4クラウド』に読み込ませており、預金やクレジットカードの取引データは「銀行信販データ受信機能」を使って仕訳を計上しています。さらに、当社では『PX4クラウド』で給与計算を行っているので、給与の支給データも連動しています。このほか、定型の取引はすべて「仕訳辞書」に登録してあるので手入力の量は圧倒的に少なくなりました。
──連携機能による具体的効果は?
今田仁美次長
今田 『FX4クラウド』を導入する前は各科目の数値や合計額、摘要などを一つ一つ漏れなく会計ソフトに打ち込んでいました。入力業務に丸々1週間ほどの時間を割いていたでしょうか。気が遠くなるような作業をよくやっていたと自分で自分をほめたいぐらいです(笑)。現在はほとんどの取引がシームレスに計上できるようになり、日々の業務がだいぶ楽になりましたね。これまで入力に割いていた時間は就業規則の改定など、山陰石油で働くすべての従業員にとって働きやすい職場づくりに使っていきたいと考えています。
──帳表の活用方法は?
坂口 当社の役員や直営SSの責任者、石油元売りであるコスモ石油の担当者などが出席する毎月の経営会議で店舗ごとの業績シートを配布し、過去の業績確認や今後の営業戦略などについてディスカッションしています。この業績シートは「マネジメントレポート(MR)設計ツール」を使って作成しているのですが、同ツールは意思決定を促すような資料を自在に作成できるのでとても重宝しています。
脱炭素と災害対応を両立するビジネスモデルの構築を目指す
セルフステーション米子中央
──今後の目標は?
坂口 脱炭素の流れや電気自動車の普及など石油業界はいま岐路に差し掛かっています。当社も車検やメンテナンスなどガソリンに依存しないビジネスモデルを確立していますが、今後はこういった取り組みをより拡充しなければならないと考えています。具体的には電気自動車の充電設備をSSに設置する、電気自動車のレンタカーやリースでの取り扱いを開始するといった方策を通して脱炭素の流れに対応していきます。
その一方で、災害発生時でもエネルギーを安定的に供給できる体制を整えなければならないとも感じています。日本は世界有数の災害大国ですし、山陰地方ではライフラインがストップするほどの大雪が降ることもあります。このような事態に対応するためにもガソリンの備蓄はもちろんSSに衛星電話や非常用電源を設置するなど、停電時でも速やかにエネルギーを供給できる仕組みづくりを進めているところです。
脱炭素社会の実現とエネルギーの安定供給。この二つを両立することは非常に難しいのですが、いろいろと試行錯誤しながらこれからの社会にふさわしいビジネスモデルを確立していきます。
企業情報
セルフステーション浜乃木
山陰石油株式会社
- 設立
- 1950年12月
- 所在地
- 鳥取県米子市末広町127(本社)
- 売上高
- 約40億円
- 社員数
- 約100名(パート・アルバイト含む)
- URL
- http://sanin-sekiyu.com/
顧問税理士 副所長・社員税理士 播間匡広
まほろば税理士法人 坂口事務所
- 所在地
- 鳥取県米子市角盤町4-109
- URL
- https://saka-ao.tkcnf.com/
(『戦略経営者』2023年1月号より転載)