もみ処 癒し屋 様

もみ処 癒し屋

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

店舗別の固定資産残高管理で
迅速な投資判断を実践

福岡、山口に9店舗を展開する『もみ処 癒し屋』。創業者はもと大手外食チェーンのサラリーマンという変わり種。マッサージや整体という比較的古い業態で旋風を巻き起こしている同社は、事業戦略と財務管理のさらなる融合によってより「強い会社」になろうとしている。吉永健路社長(41)と、松本絵里奈専務、顧問税理士の市来道啓氏、さらには会計システムの構築に尽力した市来事務所の竹内勝彦氏に話を聞いた。

「人間性」と「サービス」が差別化の最大のポイント

──独立前は大手外食チェーンのサラリーマンだったとか。

吉永健路社長

吉永健路社長

吉永 22歳の時から、8年間勤めました。現場から入り、最後は西日本エリアのマネジャー的な役職で終わりました。株式未公開から一部上場企業へと成長する会社の変遷を経験できたことは貴重だったと思います。

──なぜ独立を。

吉永 若い時から自分で事業をやりたいと考えていました。もちろん、飲食業でも良かったのですが、ちょうどその頃、整体というものに出会ったのです。サラリーマン時代は出張続き。ホテルで毎日のようにマッサージを受けるのが唯一の楽しみであり癒しでした。で、だんだんうまい人と下手な人の技術の差も分かってきた。そうこうするうち、ひょっとしたら自分でもできるのではと考えるようになったのです。

──すごい発想の転換ですね。

吉永 さっそく専門学校で基礎を学び、まずは個人で出張サービスを始めました。並行して16名もの整体の先生に師事し、技術や考え方を学びました。つまり、16種類の「手技(しゅぎ)」を混在させて、現在のトータルリラクゼーション事業に結びつけたのです。

──法人化されたのは2010年だとか。

静かなホールは癒しの空間

静かなホールは癒しの空間

吉永 個人でも十分に稼げていたのですが、ある顧客の「稼ぐだけでいいの? 赤字覚悟で店を創れば?」という言葉に触発されて、法人化を目指しました。良い技術を持っておられる整体の先生方も、「マネジメント」ができずに、結局、合理性を前面に打ち出す大手に仕事を奪われてしまう現状があります。私は、そこに一石を投じたかったのです。

──投じた一石とは?

吉永 法人化し、経営管理を持ち込みつつ、人を含めた整体やマッサージの高い技術を伝承していこうと考えたのです。2006年に個人で1号店を出店しましたが、価格をやみくもに安くするのではなく、高い付加価値を確保しながら企業として成長していくモデルを模索したのです。

──いまでは9店舗にまで拡大されています。大手に対抗できているのはなぜですか。

確かな技術と行き届いた接客が売り

確かな技術と行き届いた接客が売り

吉永 技術はもちろん大きな要素です。しかし私は、このビジネスの90%は「人間性」と「サービス」だと考えています。そのためには精神的なものも含めて従業員教育をしっかりと行うことが重要。当社では、朝、7時半にスタッフ全員で近くの神社におもむき、「顧客の健康」を祈ります。「商売繁盛」だと顧客の不健康を祈ることになりますからね(笑)。あるいは責任者会議や幹部会議を頻繁に開き、その都度、接客などのサービスの部分で課題を見つけ、話し合い、そして解決するようにしています。ちなみに、当社の顧客の8割はリピーターで、客単価も約6000円と高レベルを維持しています。

──社員の定着率も高いとお聞きしました。

吉永 この業界は、独立が比較的しやすいという特徴があります。技術を持てば、個人でも営業できますからね。そこで当社では、店長には他社の約1.5倍程度の報酬を出せるような仕組みをつくりました。この仕組み作りのためにも計数管理は絶対に必要なものだったのです。

重層的な部門別管理がより深い分析を可能に

──計数管理の話が出ましたが、社長は数字に非常にお強いと聞いています。

市来道啓顧問税理士

市来道啓顧問税理士

吉永 実は、税理士を目指して専門学校に通っていたことがあるんです。その下地があったので数字の重要性は当初から認識していました。しかし、さすがに法人化をするなら、自社管理は難しい。そこで、良い税理士を探していた時に、知り合いのつてで市来道啓先生にたどり着き、顧問に就任していただきました。実際、その頃には店舗が非常に繁盛しはじめていて、とても社内だけで計数管理を行うことは無理になっていました。

市来 関与当初から『FX2』を導入して自計化を行い、巡回監査、月次決算というTKC方式の計数管理を行ってきました。吉永社長はクレバーでビジネスセンスのある経営者だけに、毎月の巡回監査時など、話をする際には、ぴりぴりした雰囲気がありましたね。一方で情に厚く、人間的魅力もある。将来性のある経営者だと見ていましたが、やはりこの目に間違いはありませんでした。

──最近、『FX4クラウド』にバージョンアップされたとか。

松本絵里奈専務

松本絵里奈専務

松本 それについては、監査担当の竹内(勝彦)さんに、きめ細かい仕組みの構築までやってもらいました。店舗が増えて、事業の多角化(新電力PPS事業、損保代理店、不動産事業、エクスチェンジ事業など)が進むに連れて、やや、どんぶり勘定的な部分が見えてきていた時に、『FX4クラウド』をご提案いただき、タイミング的にも良かったと思っています。このソフトでは情報が整理されて出力されるので、ひと目で部門の状況が分かる。本当に〝触りたくなるソフト〟〝遊べるソフト〟だと感じますね。

──具体的にはどこが変わったのでしょう。

竹内 機能面では複数名(現在2名)利用が可能になったこと、あるいは「銀行信販データ受信機能」の採用など、業務の効率化の面でもメリットはいろいろあるのですが、財務会計が管理会計にも活用できるようになったことが、最も変わったところです。『FX4クラウド』は、貸借対照表科目において部門別残高管理をしたい科目を抽出し、表示・管理ができます。そこで、事業別・店舗別に、有形固定資産残高管理をするのと同時に、毎月計上する減価償却累計額にも部門設定を施しました。これにより、各店舗や各事業に対する有形固定資産の未償却残高が分かり、各部門計算で、正確な実力を測れるようになりました。吉永社長からは、投資の判断がしやすくなったと評価を受けています。

吉永 個別店舗が儲(もう)かる儲からない、投資の価値があるかないかが明確になりました。最近、福岡の店舗を小倉に集約したのも、この機能のおかげです。

竹内勝彦氏

竹内勝彦氏

──部門別管理も、より重層的になったとか。

竹内 今後の事業活動・展開も鑑み、余力ある部門4桁コードを採用しています。第1層は会社全体、第2層は事業別、第3層は各店舗集計、第4層は店舗内業務単位として準備しました。共通費は、第1層のみならず第2層にも設定したため、事業実態に合わせた共通費配賦を行うことができ、より正確な部門損益を把握できるようになりました。

松本 これまで〝ざっくり〟だったのが、より深く分析できる仕組みができあがった感じです。まず、幹部会の資料として有効に使えるようになりました。幹部が自分の担当店舗や事業の実力を正確に把握することで、自ら判断がしやすくなります。

吉永 ちなみに、当社では幹部に権限を委譲し、自主性を尊重しています。みんな、自部門の数字を詳しく理解しているので、私が発案してもはっきり「NO」を突きつけられたりします(笑)。また、銀行に決算書や事業計画書を提出した際に、「変わりましたね。見やすくなりました」との評価をいただいたりもしました。

市来税理士事務所

市来 金融機関の信頼感が高いことは、TKC方式の会計の最大のメリットです。そこがより強化されたということは、今後の事業展開においても良い影響が出ることが期待されます。

吉永 いまからの時代は利益です。店舗数の無理な拡大はリスクを高めるだけ。より精緻なスクラップ&ビルドを継続して、強い会社になっていきたいですね。そのためにも、市来税理士事務所さんと『FX4クラウド』の力が今後も必要だと強く感じています。

企業情報

もみ処 癒し屋

もみ処 癒し屋

設立
2010年9月
所在地
福岡県北九州市小倉北区吉野町10-19
売上高
3億円
社員数
約15名
URL
http://www.momidokoro.jp/

所長 市来道啓税理士
市来道啓税理士事務所

所在地
福岡県宗像市赤間駅前1-5-12
URL
http://www.tkcnf.com/ichiki-ao/

『戦略経営者』2018年1月号より転載)